食料の値段がどれだけ上がっているかは、国によってまったく違います。日本で「また値上げか」と感じている間に、1年で食費が1.7倍になっている国があります。
今回使うのは、国連食糧農業機関(FAO)の食料価格インフレ率。各国が公表している消費者物価指数の食料部門をもとに、FAOが前年同月比として集計しているものです。最新は2026年3月で、198の国・地域に数値があります。
順位は2026年3月の前年同月比で付け、2025年の年平均も並べました。1か月の数字だけを見ると、その国が何年も高騰に苦しんでいるのか、最近急に上がったのかが分からないためです。
※原資料は国際通貨基金(IMF)と各国統計局の消費者物価指数で、FAOがそこから前年同月比を算出しています。FAOはこの数値に「推計値」の記号を付けています。中国とベネズエラは最新月の数値がありません。国ではない地域も含まれます。
| 順位 | 国名 | 食料価格インフレ率(2026年3月の前年同月比) | 2025年の年平均 | 2024年の年平均 | 2022年の年平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | イラン | +76.2% | +48.3% | +27.0% | +62.5% |
| 2位 | スーダン | +53.0% | +102.2% | +132.0% | +102.8% |
| 3位 | アルゼンチン | +32.7% | +37.4% | +242.9% | +73.0% |
| 4位 | トルコ | +28.4% | +33.4% | +58.6% | +85.2% |
| 5位 | ミャンマー | +25.4% | +30.6% | +28.8% | +23.9% |
| 6位 | 南スーダン | +23.9% | +139.7% | +90.3% | -8.8% |
| 7位 | ハイチ | +22.9% | +31.9% | +38.0% | +34.9% |
| 8位 | マラウイ | +20.0% | +33.4% | +40.4% | +26.8% |
| 9位 | レバノン | +19.4% | +20.5% | +47.0% | +292.0% |
| 10位 | リビア | +16.8% | +2.8% | +3.3% | +4.3% |
11位以下は、エジプト+16.2%、ボリビア+15.0%、ナイジェリア+14.3%、アンゴラ+12.7%、カザフスタン+11.9%と続きます。
右の3列を見ると、上位10のほとんどが数年にわたって高いままだと分かります。例外が10位のリビアで、2022年から2025年までずっと3〜4%台だったものが、直近だけ16.8%に跳ね上がっています。逆に1位のイランは2024年にいったん27.0%まで下がったあと、再び上昇しました。
198の国・地域の中央値は+2.8%。上位10はその6倍から27倍の水準にあります。
1位 イラン:+76.2%
2026年3月の前年同月比で+76.2%。1年前の同じ月は+41.2%だったので、上昇の勢いそのものが加速しています。
2025年の年平均は48.3%、2024年は27.0%、2022年は62.5%。2024年にいったん収まりかけたあと、再び跳ね上がったという動きです。上位10のなかで、直近の数字が2025年平均を上回っているのはイランとリビアの2か国だけです。
2位 スーダン:+53.0%
直近は+53.0%ですが、2025年の年平均は102.2%、2024年は132.0%。1年で食料の値段が2倍を超える状態が2年続いたあと、ようやく50%台まで下がってきた、という位置づけになります。
2022年の年平均も102.8%で、4年以上にわたって年50%以上の上昇が続いている国です。
3位 アルゼンチン:+32.7%
直近+32.7%、2025年平均+37.4%。2024年の年平均は+242.9%で、食料の値段が1年で3.4倍になっていました。
そこから2年で32.7%まで落ちてきたことになります。上位10のなかで、2024年から直近までの下がり方が最も大きい国です。
4位 トルコ:+28.4%
直近+28.4%、2025年平均+33.4%、2024年+58.6%、2022年+85.2%。4年かけて一貫して下がり続けています。
それでも中央値の2.8%とは10倍の開きがあり、ヨーロッパで比べる相手がいない水準です。
5位 ミャンマー:+25.4%
直近+25.4%、2025年平均+30.6%、2024年+28.8%、2022年+23.9%。4年間ほとんど動きがなく、20〜30%台で高止まりしています。
上位10のなかで、2022年から直近までの振れ幅が最も小さい国です。急騰でも鎮静でもなく、高い水準が固定されているタイプになります。
6位 南スーダン:+23.9%
この国が最も極端です。2025年の年平均は+139.7%で198の国・地域で最も高く、2025年3月の単月では+207.3%に達していました。
それが1年で23.9%まで下がっています。2022年の年平均は-8.8%で、当時は食料価格が下がっていました。3年で下落から3倍超の高騰へ、そしてまた減速へと動いたことになります。
7位 ハイチ:+22.9%
直近+22.9%、2025年平均+31.9%、2024年+38.0%、2022年+34.9%。4年続けて年30%前後で推移しています。
1年前の2025年3月は+28.2%だったので、わずかに下がった程度です。
8位 マラウイ:+20.0%
直近+20.0%、2025年平均+33.4%、2024年+40.4%。2024年を境に下がり続けています。
2025年平均の33.4%はトルコとまったく同じ数字で、この2か国は昨年1年を通して同じ水準にありました。
9位 レバノン:+19.4%
直近+19.4%、2025年平均+20.5%。落ち着いて見えますが、2022年の年平均は+292.0%です。食料の値段が1年で約4倍になっていました。
そこから2024年+47.0%、2025年+20.5%と下がってきています。同じ2022年、ベネズエラは+196.9%、ジンバブエは+144.8%でした。レバノンの292.0%は、その2か国も上回る水準です。
10位 リビア:+16.8%
上位10で唯一、直近だけが突出している国です。2022年+4.3%、2024年+3.3%、2025年平均+2.8%と安定していたところから、2026年3月に16.8%まで上がりました。
2025年平均の+2.8%は、198の国・地域の中央値とまったく同じ数字です。1年前まではごく平均的な国でした。
まとめ
物差しを2025年の年平均に変えると、順位はこう変わります。1位 南スーダン+139.7%、2位 スーダン+102.2%、3位 パレスチナ+48.9%、4位 イラン+48.3%、5位 ジンバブエ+44.6%、6位 アルゼンチン+37.4%。直近では147位のジンバブエ(+0.9%)が5位に、190位のパレスチナ(-3.8%)が3位に入ります。どの期間を切り取るかで、まったく違う国が並びます。
下がっている側も見ておきます。最下位の198位はニジェールの-19.3%、次いでギニアビサウ-10.6%、バヌアツ-8.3%、チャド-7.5%、コスタリカ-6.5%。ニジェールは2024年の年平均が+12.8%だったので、1年で大きく反転したことになります。
日本はどうか。2026年3月の前年同月比は+3.6%で198の国・地域中79位。2025年の年平均は+6.2%で、こちらは中央値の2.8%の2倍を超えます。アメリカは直近+1.9%の123位、ドイツ+1.3%の137位、韓国+0.5%の159位。日本の食料価格の上がり方は、先進国のなかでは高いほうに入ります。
最後に、旧版のこの記事との違いです。旧版は1位アルゼンチン、2位トルコ、3位ナイジェリアとしていましたが、この統計ではアルゼンチンは3位、トルコは4位、ナイジェリアは13位(+14.3%)です。そして旧版は1位のイラン(+76.2%)と2位のスーダン(+53.0%)にまったく触れていませんでした。
この記事の数値は、次の統計から集計しています。


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