アジアの国・地域について、製造業の付加価値が国内総生産(GDP)に占める割合を比べ、高い順に並べました。1位はカンボジアの29.02%です。
旧版の記事は都市別の「工業団地の数」で順位を付けていましたが、アジアの都市を横並びで数えた公的な統計はありません。国単位で比較できる世界銀行の指標に置き換えています。
順位の決め方
使ったのは世界銀行の世界開発指標「Manufacturing, value added (% of GDP)」です。対象は国連統計部のM49分類で「アジア」に属する50の国・地域のうち、数値が公表されている46。トルクメニスタン、北朝鮮、シリア、イエメンの4つは公表がないため外しました。
数値はほとんどが2025年の値で、イラン(2024年)、日本(2024年)、レバノン(2021年)だけ基準年が異なります。表には基準年の列を立てています。
この指標は経済全体のなかで製造業がどれだけの比重を占めるかを示すもので、製造業の規模そのものではありません。金額で見れば中国の4兆8,227億ドルが圧倒的で、上位10か国の合計5兆9,699億ドルの80.8%を1国で占めます。比率と金額はまったく別の話になります。
※本記事の数値は2026年9月時点で世界銀行が公表している値に基づきます。
製造業の比率が高い10か国
| 順位 | 国 | GDPに占める製造業の割合 | 基準年 | 製造業の付加価値額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | カンボジア | 29.02% | 2025 | 149億ドル |
| 2 | 韓国 | 27.43% | 2025 | 5,135億ドル |
| 3 | ミャンマー | 25.10% | 2025 | 205億ドル |
| 4 | 中国 | 24.73% | 2025 | 4兆8,227億ドル |
| 5 | ベトナム | 24.53% | 2025 | 1,262億ドル |
| 6 | タイ | 23.74% | 2025 | 1,370億ドル |
| 7 | バングラデシュ | 22.44% | 2025 | 1,024億ドル |
| 8 | マレーシア | 22.10% | 2025 | 1,043億ドル |
| 9 | ウズベキスタン | 20.77% | 2025 | 305億ドル |
| 10 | イラン | 20.59% | 2024 | 979億ドル |
1位 カンボジア:29.02%
カンボジアはGDPの29.02%を製造業が占めます。46の国・地域で最も高い比率です。
一方で製造業の付加価値額は149億ドルで、上位10のなかでは最も小さい金額。4位の中国4兆8,227億ドルとは324倍の開きがあります。比率が1位でも規模は上位10で最小、という構図がこの指標の性格をそのまま表しています。2位韓国との差は1.59ポイントです。
2位 韓国:27.43%
韓国はGDPの27.43%。付加価値額5,135億ドルはアジアで中国、日本、インドに次ぐ4番目の規模です。
付加価値額がアジアで大きい上位5か国(中国・日本・インド・韓国・インドネシア)のうち、比率でも上位10に入っているのは中国と韓国の2つだけです。日本は18.82%(2024年)で13位、インドは13.47%で21位、インドネシアは19.07%で12位でした。比率では韓国が日本を8.61ポイント上回っています。
3位 ミャンマー:25.10%
ミャンマーはGDPの25.10%。付加価値額は205億ドルです。
2位韓国との差は2.33ポイントで、上位10のなかで隣り合う順位の差としては最大。ここが上位2か国と3位以下の切れ目になっています。
4位 中国:金額はアジアの他国と桁が違う
中国はGDPの24.73%で4位。付加価値額4兆8,227億ドルはアジアで最大で、上位10か国の合計5兆9,699億ドルの80.8%を1国で占めます。
2位の日本7,885億ドルの6.1倍、3位のインド5,329億ドルの9.1倍です。比率では4位でも、金額では他と比較になりません。
5位 ベトナム:24.53%
ベトナムはGDPの24.53%。4位中国との差は0.20ポイントしかありません。
付加価値額は1,262億ドルで、中国の38分の1。比率がほぼ同じでも規模はまったく違います。
6位 タイ:23.74%
タイはGDPの23.74%、付加価値額1,370億ドル。金額では上位10のなかで中国、韓国に次ぐ3番目です。
5位ベトナムとの差は0.79ポイント。東南アジアからは上位10にカンボジア、ミャンマー、ベトナム、タイ、マレーシアの5か国が入っており、10のうち半数を占めています。
7位 バングラデシュ:22.44%
バングラデシュはGDPの22.44%、付加価値額1,024億ドルです。
6位タイとの差は1.30ポイント。国連M49の南アジアからは、このバングラデシュと10位イランの2か国が上位10に入りました。同じ南アジアのインドは13.47%で21位です。
8位 マレーシア:22.10%
マレーシアはGDPの22.10%、付加価値額1,043億ドル。7位バングラデシュとの差は0.34ポイントです。
付加価値額は7位バングラデシュの1,024億ドルをわずかに上回っており、比率と金額で順位が逆になっています。
9位 ウズベキスタン:中央アジアから唯一の上位入り
ウズベキスタンはGDPの20.77%、付加価値額305億ドルです。
中央アジア5か国のうち上位10に入ったのはウズベキスタンだけ。8位マレーシアとの差は1.33ポイントでした。
10位 イラン:20.59%(2024年)
イランはGDPの20.59%で、上位10のなかで唯一2024年の値です。付加価値額は979億ドル。
9位ウズベキスタンとの差は0.18ポイントで、5位と4位の0.20ポイントを下回る、上位10で最小の差です。11位はバーレーンの19.89%で、イランとの差は0.70ポイントでした。
まとめ
46の国・地域の中央値は12.86%で、上位10はいずれもこれを7.7ポイント以上上回っています。最も低いのはマカオの0.65%、次いで香港0.93%で、1位カンボジアとは44.6倍の開きがあります。
国連M49の地域区分で顔ぶれを見ると、東南アジアが5か国(カンボジア・ミャンマー・ベトナム・タイ・マレーシア)で半数を占め、東アジアが2か国(韓国・中国)、南アジアが2か国(バングラデシュ・イラン)、中央アジアが1か国(ウズベキスタン)。西アジアからは1か国も入りませんでした。
最後に、この順位は「製造業が大きい国」ではなく「経済のなかで製造業の比重が大きい国」を示すものです。金額で並べると中国4兆8,227億ドル、日本7,885億ドル、インド5,329億ドル、韓国5,135億ドル、インドネシア2,756億ドルの順になり、上位10の顔ぶれは大きく入れ替わります。比率が高いことは、その国の経済が製造業に依存していることも同時に意味します。
算出に使った統計


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