アメリカのIT産業がどこに集まっているのか。シリコンバレーが1位だと思われがちですが、雇用者数で並べると先頭に立つのはシアトルのある郡です。
使うのは米国労働統計局(BLS)の雇用・賃金四半期統計(QCEW)。雇用保険の記録をもとに、産業分類ごとの民間雇用者数を集計した統計で、2025年の年平均値を使いました。
IT産業として集計したのは、産業分類(NAICS)の次の3つです。
- 5415 コンピュータシステム設計・関連サービス業(239万3,049人)
- 5132 ソフトウェア出版業(64万5,495人)
- 5182 コンピュータ基盤提供・データ処理・ホスティング業(48万3,954人)
3つを合わせた全米の雇用者数は352万2,498人、事業所数は57万6,017。民間雇用全体1億3,316万274人に占める割合は2.65%です。
※アメリカの統計は市ではなく郡(カウンティ)単位で公表されるため、順位も郡単位です。数値はいずれも2025年の年平均、民間事業所のみを対象としています。
| 順位 | 郡(州) | IT産業の雇用者数 | 民間雇用に占めるIT産業の割合 | IT産業の事業所数 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ワシントン州キング郡 | 132,408人 | 10.5% | 9,521 |
| 2位 | カリフォルニア州サンタクララ郡 | 125,946人 | 12.3% | 4,940 |
| 3位 | ニューヨーク州ニューヨーク郡 | 108,181人 | 4.8% | 7,015 |
| 4位 | カリフォルニア州サンフランシスコ郡 | 92,019人 | 15.7% | 4,488 |
| 5位 | バージニア州フェアファックス郡 | 83,799人 | 15.3% | 5,223 |
| 6位 | テキサス州ダラス郡 | 76,615人 | 4.7% | 4,487 |
| 7位 | テキサス州トラビス郡 | 73,468人 | 9.3% | 4,731 |
| 8位 | ジョージア州フルトン郡 | 55,544人 | 6.6% | 6,404 |
| 9位 | カリフォルニア州ロサンゼルス郡 | 54,466人 | 1.4% | 6,852 |
| 10位 | マサチューセッツ州ミドルセックス郡 | 53,383人 | 6.6% | 3,751 |
11位以下は、イリノイ州クック郡5万599人、アリゾナ州マリコパ郡4万6,339人、テキサス州コリン郡4万4,252人、ノースカロライナ州ウェイク郡3万7,019人、テキサス州ハリス郡3万5,566人、カリフォルニア州サンマテオ郡3万5,351人と続きます。
右から2列目の「民間雇用に占める割合」を見ると、順位とはまったく別の並びが出てきます。全米平均が2.65%のところ、サンフランシスコ郡は15.7%。働く人の6人に1人がIT産業にいる計算です。一方、雇用者数では9位のロサンゼルス郡は1.4%で、全米平均の半分ほどしかありません。
1位 ワシントン州キング郡:13万2,408人
IT産業の雇用者数は13万2,408人で全米最大。事業所数9,521も上位10のなかで最多です。
民間雇用125万5,504人に占める割合は10.5%。10人に1人がIT産業で働いている計算になります。
2位のサンタクララ郡(12万5,946人)との差は6,462人。ただし事業所数はキング郡9,521に対してサンタクララ郡4,940と、約2倍の開きがあります。1事業所あたりの雇用者数はキング郡13.9人、サンタクララ郡25.5人で、集まり方の形が違います。
2位 カリフォルニア州サンタクララ郡:12万5,946人
IT産業の雇用者数は12万5,946人、民間雇用102万1,232人に占める割合は12.3%でキング郡を上回ります。
1事業所あたり25.5人は上位10のなかで最も大きく、大規模な事業所に人が集まっている形です。
3位 ニューヨーク州ニューヨーク郡:10万8,181人
IT産業の雇用者数は10万8,181人で3位。ところが民間雇用に占める割合は4.8%と、上位5のなかでは最も低い数字です。
民間雇用が225万5,764人と、キング郡の1.8倍あるためです。IT産業の規模は大きくても、街全体のなかでの比重はそこまで高くない、ということになります。
4位 カリフォルニア州サンフランシスコ郡:9万2,019人。割合は全米最高の15.7%
IT産業の雇用者数は9万2,019人。注目すべきは割合で、民間雇用58万6,454人に対して15.7%。これは上位10のなかで最も高く、全米平均2.65%の約6倍です。
雇用者数では4位ですが、「街がIT産業でできている度合い」という物差しでは先頭に立ちます。
5位 バージニア州フェアファックス郡:8万3,799人
IT産業の雇用者数は8万3,799人、割合は15.3%でサンフランシスコ郡に次ぐ2番目。
西海岸とニューヨーク以外で、これだけIT産業の比重が高い郡は他にありません。バージニア州全体でも19万8,069人・5.82%と、州単位では全米で3番目の規模になります。
6位 テキサス州ダラス郡:7万6,615人
IT産業の雇用者数は7万6,615人、民間雇用164万3,802人に占める割合は4.7%です。
テキサス州は上位16のなかにダラス郡・トラビス郡・コリン郡・ハリス郡の4郡が入っており、州全体では37万5,081人でカリフォルニア州に次ぐ2位。特定の一点ではなく、複数の郡に分散しているのが特徴です。
7位 テキサス州トラビス郡:7万3,468人
IT産業の雇用者数は7万3,468人、割合は9.3%。同じテキサス州のダラス郡(4.7%)のちょうど2倍の比重です。
6位のダラス郡とは3,147人差。民間雇用はダラス郡164万3,802人に対してトラビス郡79万4,196人と半分以下なので、IT産業の密度でははっきり上回っています。
8位 ジョージア州フルトン郡:5万5,544人
IT産業の雇用者数は5万5,544人、割合は6.6%、事業所数は6,404です。
1事業所あたりの雇用者数は8.7人で、上位10のなかでは最も小さい数字。小規模な事業所が数多く集まっている形になります。
9位 カリフォルニア州ロサンゼルス郡:5万4,466人。割合は1.4%
IT産業の雇用者数は5万4,466人で9位。ただし民間雇用が392万7,366人と上位10で最大のため、割合は1.4%にとどまります。
これは全米平均2.65%の半分程度で、上位10のなかでは突出して低い数字。ロサンゼルス郡は「IT産業が大きい郡」ではありますが、「IT産業の街」ではない、ということが数字に出ています。
10位 マサチューセッツ州ミドルセックス郡:5万3,383人
IT産業の雇用者数は5万3,383人、割合は6.6%でフルトン郡と同じ。事業所数は3,751で、1事業所あたり14.2人です。
11位のクック郡(5万599人)とは2,784人差。マサチューセッツ州全体では12万3,856人・3.89%になります。
まとめ
郡ではなく州で並べ替えると、順位は次のようになります。カリフォルニア51万2,335人、テキサス37万5,081人、バージニア19万8,069人、フロリダ19万7,018人、ニューヨーク18万9,313人、ワシントン17万4,416人、ジョージア13万1,094人、マサチューセッツ12万3,856人、ノースカロライナ11万9,335人、イリノイ11万8,103人。
郡では1位だったキング郡のワシントン州が、州単位では6位に下がります。逆にカリフォルニア州は、サンタクララ郡12万5,946人、サンフランシスコ郡9万2,019人、ロサンゼルス郡5万4,466人、サンマテオ郡3万5,351人と複数の郡に大きな塊を持っており、州全体では51万2,335人と2位のテキサス州に13万人以上の差をつけます。
サンタクララ・サンフランシスコ・サンマテオの3郡を合わせると25万3,316人。これはキング郡の1.9倍にあたります。1つの郡で見るか、隣り合う郡をまとめて見るかで、「アメリカ最大のIT集積地はどこか」の答えは変わります。
民間雇用に占める割合で並べると、サンフランシスコ郡15.7%、フェアファックス郡15.3%、サンタクララ郡12.3%、キング郡10.5%、トラビス郡9.3%、フルトン郡とミドルセックス郡が6.6%、ニューヨーク郡4.8%、ダラス郡4.7%、ロサンゼルス郡1.4%。上位4郡と、それ以外とのあいだに大きな段差があります。
この記事の数値は、次の統計から集計しています。


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