世界で工業生産が強い国ランキング

世界で工業生産が強い国ランキング エンタメ

「工業生産が強い国」を、国連の統計で並べます。使うのは国連統計部の国民経済計算データベース(National Accounts Main Aggregates Database)。各国が国連に報告した国民経済計算をもとに、産業別の付加価値額を同じ基準でそろえたもので、2024年の数値が最新です。

順位は製造業の付加価値額(米ドル建て)が大きい順に並べました。生産額そのものではなく付加価値で見るのは、部品を輸入して組み立てるだけの国と、素材から一貫して作る国を同じ土俵で比べるためです。

2024年の世界全体の製造業付加価値は16兆7001億ドル。10年前の2014年は12兆7920億ドルでしたから、この10年で30.6%増えています。

※以下、断りのない数値はすべて国連の国民経済計算データベースの2024年値です。「総付加価値に占める割合」は、その国の全産業の付加価値に製造業が占める比率で、GDPとは税金の扱いが異なります。

順位 国 2024年の製造業付加価値額 世界全体に占める割合 総付加価値に占める製造業の割合
1位 中国 4兆6853億ドル 28.1% 25.0%
2位 アメリカ 2兆8807億ドル 17.2% 9.9%
3位 ドイツ 8295億ドル 5.0% 19.7%
4位 日本 8211億ドル 4.9% 20.6%
5位 韓国 4992億ドル 3.0% 28.7%
6位 インド 4983億ドル 3.0% 13.9%
7位 メキシコ 3638億ドル 2.2% 21.0%
8位 イタリア 3529億ドル 2.1% 16.6%
9位 フランス 3023億ドル 1.8% 10.7%
10位 イギリス 2943億ドル 1.8% 8.9%

先に断っておきたいことがあります。台湾はこの統計に含まれていません。国連の国民経済計算データベースは国連加盟国などからの報告を集めたもので、台湾のデータは収録されていないためです。半導体を中心に台湾の製造業が大きいことは知られていますが、この記事の順位には反映されていません。

もうひとつ。この統計は米ドル建てなので、為替レートの影響を受けます。自国通貨では生産が伸びていても、その通貨がドルに対して安くなればドル建ての数字は縮みます。日本の章で、この差がはっきり出てきます。

1位 中国:4兆6853億ドル。世界の製造業の28%を占める

中国の製造業付加価値は4兆6853億ドルで、世界全体の28.1%を占めます。2位のアメリカの1.6倍、3位ドイツの5.6倍という規模です。世界の製造業の4分の1以上が、この1か国に集まっていることになります。

10年前の2014年は3兆1752億ドルで、世界シェアは24.8%でした。金額で47.6%増え、シェアも3.3ポイント上げています。世界全体の伸びが30.6%ですから、中国は世界平均を大きく上回るペースで製造業を拡大してきました。

元建てで見ると伸びはさらに大きく、19兆5069億元から33兆7226億元へ72.9%の増加です。ドル建ての47.6%との差は、人民元がドルに対して安くなった分にあたります。

一方で、国内での位置づけは下がっています。総付加価値に占める製造業の割合は2014年の29.7%から25.0%へ4.7ポイント低下しました。製造業そのものは伸びているものの、サービス業などがそれ以上に伸びたということです。

人口1人あたりに直すと、見え方は変わります。中国の製造業付加価値を2024年の人口14億897万人で割ると1人あたり3325ドル。金額では世界の4分の1以上を占める国が、1人あたりでは上位10か国のなかで8番目に落ちます。

2位 アメリカ:2兆8807億ドル。国内では1割を切る産業

アメリカの製造業付加価値は2兆8807億ドル、世界シェアは17.2%です。中国とアメリカの2か国だけで、世界の製造業の45.3%を占めます。

2014年からの伸びは39.8%で、世界平均の30.6%を上回ります。世界シェアも16.1%から17.2%へ上げており、「アメリカの製造業は縮んでいる」というイメージとは違う動きです。

ただし国内での比重は小さい。総付加価値に占める製造業の割合は9.9%で、この10か国のなかで唯一1割を切っています。2014年は11.7%でしたから、10年で1.8ポイント下がりました。金額では世界2位でありながら、国の経済のなかでは1割に満たない産業、という二重の性格を持っています。

1人あたりでは8473ドルで、上位10か国のなかで3番目。金額でも1人あたりでも上位に入るのは、アメリカとドイツ、韓国、日本の4か国だけです。

3位 ドイツ:8295億ドル。10年でわずか4%の伸び

ドイツの製造業付加価値は8295億ドル、世界シェアは5.0%。4位の日本とは84億ドル差で、ほぼ並んでいます。

2014年は7978億ドルでしたから、10年の伸びは4.0%にとどまります。世界全体が30.6%伸びるなかでのこの数字ですから、世界シェアは6.2%から5.0%へ1.2ポイント下がりました。

ユーロ建てでは6005億ユーロから7664億ユーロへ27.6%の増加です。ドル建ての4.0%との差は為替によるもので、自国通貨で見ればドイツの製造業は世界平均に近いペースで伸びていたことになります。

総付加価値に占める製造業の割合は22.6%から19.7%へ低下しました。それでもアメリカの2倍近い比率で、製造業が経済の柱であることは変わりません。

1人あたりの製造業付加価値は9932ドルで、これは上位10か国で最も高い数字です。金額では3位でも、1人あたりで見ればドイツが世界の先頭に立ちます。人口8352万人という規模でこの金額を生んでいることになります。

4位 日本:8211億ドル。ドル建てでは唯一のマイナス

日本の製造業付加価値は8211億ドルで、世界シェアは4.9%です。2014年は9595億ドル・シェア7.5%でしたから、金額は14.4%減、シェアは2.6ポイント減。上位10か国のなかで、ドル建ての金額が減ったのは日本だけです。順位も3位から4位へ、ドイツに抜かれました。

ところが円建てで見ると、まったく違う絵になります。2014年の101兆6538億円に対し、2024年は124兆2909億円。22.3%の増加です。ドル建てで14.4%減った同じ10年間に、円建てでは2割以上増えていたことになります。

この差は、円がドルに対して安くなったことによるものです。日本の製造業の生産そのものが縮んだのではなく、ドルに換算したときの見え方が変わった——数字が示しているのはそこまでです。国際比較のランキングを読むときに、通貨の違いがどれだけ効くかが分かる例だといえます。

総付加価値に占める製造業の割合は19.8%から20.6%へ、わずかに上がっています。上位10か国のうち、この比率が10年で上昇したのは日本とメキシコの2か国だけです。国内の経済のなかでは、製造業の位置づけはむしろ強まっています。

1人あたりでは6623ドルで、ドイツ・韓国・アメリカに次ぐ4番目。ドイツの3分の2の水準です。金額の差は84億ドルとわずかでも、1人あたりで見ると日本とドイツのあいだには3300ドルの開きがあります。

5位 韓国:4992億ドル。製造業比率28.7%は10か国で最高

韓国の製造業付加価値は4992億ドル、世界シェアは3.0%。6位インドとの差はわずか9億ドルで、事実上並んでいます。

目を引くのは国内での比重です。総付加価値に占める製造業の割合は28.7%で、上位10か国のなかで最も高い数字。2位の中国(25.0%)を3.7ポイント上回ります。経済の3割近くを製造業が支えている国は、主要国のなかではほかにありません。

2014年からの伸びは13.5%で、世界平均の30.6%を下回ります。世界シェアは3.4%から3.0%へ、製造業比率も30.7%から28.7%へ、いずれも下がりました。

1人あたりの製造業付加価値は9646ドルで、ドイツに次ぐ2番目。人口5175万人と、上位10か国のなかでは小さい部類でありながら、1人あたりではアメリカや日本を上回ります。製造業比率28.7%という数字と合わせて、韓国は「規模」ではなく「密度」で強い国だといえます。

6位 インド:4983億ドル。10年で62%増と最も速い

インドの製造業付加価値は4983億ドル、世界シェアは3.0%です。

伸び方は上位10か国で最も速い。2014年の3078億ドルから61.9%増えました。中国の47.6%、アメリカの39.8%を上回るペースです。世界シェアも2.4%から3.0%へ0.6ポイント上げ、順位はイタリア・フランス・イギリスを抜いて6位まで上がりました。

一方で、総付加価値に占める製造業の割合は16.3%から13.9%へ下がっています。製造業の金額が6割伸びるあいだに、経済全体はそれ以上に伸びたということです。インドの成長がサービス業に強く引っ張られていることが、この数字から読み取れます。

1人あたりでは343ドル。ドイツの29分の1、中国と比べても10分の1以下で、上位10か国のなかでは突出して低い数字です。人口14億5094万人という母数の大きさが、そのまま表れています。金額で6位に入った一方で、1人あたりではまだ大きな差があるということです。

7位 メキシコ:3638億ドル。北米の生産拠点として伸びる

メキシコの製造業付加価値は3638億ドル、世界シェアは2.2%です。

2014年の2507億ドルから45.1%の増加で、これは中国(47.6%)に迫る伸び率です。順位も2014年の11位から7位へ上がり、イタリア・フランス・イギリス・ブラジルを抜きました。

総付加価値に占める製造業の割合は19.3%から21.0%へ上昇しています。前述のとおり、この比率が上がったのは上位10か国では日本とメキシコだけです。

アメリカと国境を接する立地が北米向けの生産拠点として働いている可能性はありますが、今回の統計から確かめられるのは、金額と比率がともに伸びているという結果そのものです。

1人あたりでは2780ドルで、上位10か国では9番目。人口1億3086万人に対する金額としては、中国(3325ドル)をやや下回る水準です。

8位 イタリア:3529億ドル。ヨーロッパで2番目の規模

イタリアの製造業付加価値は3529億ドル、世界シェアは2.1%。ヨーロッパではドイツに次ぐ2番目の規模です。

2014年の3007億ドルから17.4%の伸びで、ドイツ(4.0%)やフランス(3.8%)を上回ります。ただし世界平均の30.6%には届かず、世界シェアは2.4%から2.1%へ下がりました。

総付加価値に占める製造業の割合は15.6%から16.6%へ上昇しています。フランス(10.7%)やイギリス(8.9%)と比べると、経済に占める製造業の位置づけは明確に大きい国です。

1人あたりでは5986ドルで、上位10か国のなかで5番目。日本(6623ドル)に近い水準にあり、フランス(4410ドル)やイギリス(4248ドル)を大きく上回ります。

9位 フランス:3023億ドル。10年の伸びは3.8%

フランスの製造業付加価値は3023億ドル、世界シェアは1.8%です。

2014年は2913億ドルでしたから、10年の伸びは3.8%。上位10か国のなかでは、イギリス(1.0%)に次いで小さい数字です。世界シェアは2.3%から1.8%へ0.5ポイント下がりました。

総付加価値に占める製造業の割合は11.4%から10.7%へ低下。アメリカの9.9%、イギリスの8.9%に近く、上位10か国のなかでは製造業への依存が小さいグループに入ります。

1人あたりでは4410ドルで、上位10か国では6番目。イタリアの7割ほどの水準です。

10位 イギリス:2943億ドル。10年の伸びは1.0%

イギリスの製造業付加価値は2943億ドル、世界シェアは1.8%。10位でのランクインです。

2014年は2913億ドルで、10年の伸びは1.0%。上位10か国で最も小さい数字です。世界シェアも2.3%から1.8%へ下がりました。

総付加価値に占める製造業の割合は10.6%から8.9%へ低下し、上位10か国で最も低い数字になっています。金額では世界10位に入りながら、国内では1割を切る産業という点では、アメリカと似た構造です。

1人あたりでは4248ドルで、上位10か国では7番目。フランスとほぼ同じ水準で、この2か国が西ヨーロッパのなかでは製造業の密度が低いグループになります。

まとめ

2024年の顔ぶれを10年前と比べると、動いたのは上位より中位です。1位の中国と2位のアメリカは変わらず、この2か国で世界の45.3%。一方で3位と4位はドイツと日本が入れ替わり、インドは9位から6位へ、メキシコは11位から7位へ上がりました。落ちたのはイタリア(7位→8位)、フランス(8位→9位)、イギリス(9位→10位)、ブラジル(10位→圏外)です。

伸び率で並べると、インド61.9%、中国47.6%、メキシコ45.1%、アメリカ39.8%までが世界平均の30.6%を上回り、イタリア17.4%、韓国13.5%、ドイツ4.0%、フランス3.8%、イギリス1.0%、日本-14.4%と続きます。西ヨーロッパの3か国がそろって伸び悩んでいるのが、この10年の特徴です。

ただし、ドル建ての数字だけで判断すると読み違えます。自国通貨で見れば、日本は+22.3%、ドイツは+27.6%、中国は+72.9%。ドル建てで唯一マイナスだった日本も、円では2割以上伸びていました。ドル建ての順位は「世界市場での相対的な大きさ」を示すもので、その国の生産量が増えたか減ったかとは別の話です。

国内での比重という物差しを当てると、また別の序列になります。総付加価値に占める製造業の割合は、韓国28.7%、中国25.0%、メキシコ21.0%、日本20.6%、ドイツ19.7%、イタリア16.6%、インド13.9%、フランス10.7%、アメリカ9.9%、イギリス8.9%。金額で2位のアメリカが、この物差しでは9位に落ちます。「工業生産が強い」と言うとき、世界のなかでの規模を指すのか、その国の経済を支えている度合いを指すのかで、答えは変わります。

最後に、もうひとつの物差しを置いておきます。製造業付加価値を人口で割った1人あたりの金額で並べると、順位はこうなります。ドイツ9932ドル、韓国9646ドル、アメリカ8473ドル、日本6623ドル、イタリア5986ドル、フランス4410ドル、イギリス4248ドル、中国3325ドル、メキシコ2780ドル、インド343ドル。金額で1位の中国が8位、6位のインドが10位に落ち、代わりにドイツと韓国が上位に来ます。人口の規模を取り除くと、製造業の「濃さ」が残る——そういう並びです。(人口は世界銀行の2024年値を使用)

この記事の数値は、次の統計から集計しています。国・系列・年を選び直せば、同じ計算を自分で確かめられます。

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