ヨーロッパ各国の警察が認知した強盗の件数(人口10万人あたり)を、2014年と2024年で比べました。減少幅が最も大きかったのはフランスで、173.0件から82.8件へ90.2件の減少です。
比べられたのは33の国・地域。このうち29で強盗が減り、4で増えました。旧版の記事が1位としていたフィンランドは、この10年で強盗が最も増えた国です。
順位の決め方
使ったのはEurostatの「Police-recorded offences by offence category(crim_off_cat)」から、罪種は強盗(ICCS0401 Robbery)、単位は人口10万人あたりの件数です。2014年と2024年の両方に数値がある33の国・地域を対象としました。
ルクセンブルクとアルバニアは2023年まで、トルコは2016年から、イングランド・ウェールズとスコットランド、北アイルランドは2017〜2018年までしか収録がなく、ボスニア・ヘルツェゴビナとコソボも2024年の数値がないため外しています。
この統計は警察が認知した件数です。被害の届出率は国によって違うため、国どうしの水準をそのまま比べることには限界があります。一方、同じ国の同じ集計方法で年を追う比較には向いており、この記事は各国の10年間の変化を見るものとして作りました。
※本記事の数値は2026年9月時点でEurostatが公表している値に基づきます。
強盗の減少幅が大きい10か国
| 順位 | 国 | 減少幅(件/10万人) | 2014年 | 2024年 | 減少率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | フランス | 90.2 | 173.0 | 82.8 | −52.1% |
| 2 | ベルギー | 79.8 | 196.1 | 116.3 | −40.7% |
| 3 | ポルトガル | 61.2 | 149.6 | 88.4 | −40.9% |
| 4 | リトアニア | 45.7 | 57.4 | 11.6 | −79.7% |
| 5 | スウェーデン | 41.6 | 86.7 | 45.1 | −48.0% |
| 6 | セルビア | 36.5 | 45.2 | 8.7 | −80.8% |
| 7 | アイルランド | 28.4 | 57.1 | 28.7 | −49.7% |
| 8 | オランダ | 26.8 | 62.1 | 35.3 | −43.2% |
| 9 | ラトビア | 26.0 | 40.4 | 14.4 | −64.3% |
| 10 | モンテネグロ | 25.1 | 30.3 | 5.1 | −83.0% |
1位 フランス:173.0件から82.8件へ
フランスの強盗は人口10万人あたり173.0件から82.8件へ、90.2件減りました。33の国・地域で最も大きい減少幅です。
2014年時点の173.0件はベルギーに次ぐ2番目の高さでしたが、2024年の82.8件はスペイン、ベルギー、ポルトガルに次ぐ4番目まで下がっています。2位ベルギーとの差は10.4件です。
2位 ベルギー:2014年の水準は33か国で最も高かった
ベルギーは196.1件から116.3件へ79.8件の減少。2014年の196.1件は33の国・地域で最も高い数字でした。
減少幅では2位ですが、2024年の116.3件はスペインに次ぐ2番目の高さで、水準そのものは今も高いままです。3位ポルトガルとの差は18.6件あり、上位10のなかで隣り合う順位の差としては最大でした。
3位 ポルトガル:149.6件から88.4件へ
ポルトガルは149.6件から88.4件へ61.2件の減少。減少率は−40.9%です。
4位リトアニアとの差は15.5件で、2番目に大きい区切り。上位3か国はいずれも2014年の水準が149件を超えており、ここまでが「もともと多かった国」のグループになります。
4位 リトアニア:57.4件から11.6件へ
リトアニアは57.4件から11.6件へ45.7件の減少。減少率は−79.7%で、10年で5分の1近くまで下がりました。
上位3か国と違い、2014年の水準は57.4件と中位でした。それでも減少幅で4位に入ったのは、下げ幅の割合が大きかったためです。5位スウェーデンとの差は4.1件です。
5位 スウェーデン:86.7件から45.1件へ
スウェーデンは86.7件から45.1件へ41.6件の減少。減少率は−48.0%でした。
2024年の45.1件は33の国・地域で8番目に高い水準で、中央値の23.6件(スイス)の約1.9倍。減少幅は大きくても、水準はまだ高いほうです。6位セルビアとの差は5.1件です。
6位 セルビア:減少率−80.8%
セルビアは45.2件から8.7件へ36.5件の減少。減少率−80.8%は上位10でモンテネグロに次ぐ2番目の大きさです。
2024年の8.7件は33の国・地域で5番目に低い水準。7位アイルランドとの差は8.1件でした。
7位 アイルランド:57.1件から28.7件へ
アイルランドは57.1件から28.7件へ28.4件の減少。減少率は−49.7%です。
8位オランダとの差は1.6件。ここから10位までは1件台以下の差が続き、順位の違いに大きな意味はありません。
8位 オランダ:62.1件から35.3件へ
オランダは62.1件から35.3件へ26.8件の減少。減少率は−43.2%でした。
9位ラトビアとの差は0.9件、ラトビアと10位モンテネグロの差も0.9件で、上位10のなかで最も僅差の並びです。
9位 ラトビア:40.4件から14.4件へ
ラトビアは40.4件から14.4件へ26.0件の減少。減少率は−64.3%です。
リトアニア(4位)、エストニア、ラトビアのバルト三国はいずれも減少率が60%を超えており、この10年でまとまって下がった地域といえます。
10位 モンテネグロ:減少率−83.0%は33か国で最大
モンテネグロは30.3件から5.1件へ25.1件の減少。減少率−83.0%は33の国・地域で最も大きい数字です。
2024年の5.1件も33の国・地域で最も低い水準でした。11位はポーランドの24.9件減、12位はスペインの22.8件減です。
まとめ
減少幅で並べると、上位3位までを2014年の水準が高かったフランス・ベルギー・ポルトガルが占めました。もともと多い国ほど減らせる幅も大きくなります。
減少率で並べ替えると顔ぶれが変わります。1位モンテネグロ−83.0%、2位セルビア−80.8%、3位リトアニア−79.7%、4位エストニア−73.1%、5位ポーランド−68.2%。フランスは−52.1%、ベルギーは−40.7%で上位には入りません。
そして旧版の記事との違いが大きく出ました。旧版が1位としていたフィンランドは33か国で最下位で、30.9件から46.3件へ15.3件増えています。強盗が増えたのはこのフィンランドのほか、リヒテンシュタイン(+14.8件)、アイスランド(+12.8件)、ノルウェー(+6.6件)の4か国だけでした。旧版の2位デンマークは16位、3位ドイツは26位、5位イタリアは17位、6位スペインは12位、7位チェコは19位です。
算出に使った統計


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