アジアで所得格差が大きい国ランキング

アジアで所得格差が大きい国ランキング エンタメ

「アジアは格差が大きい」とよく言われますが、国ごとに数字を並べてみると、その並びは印象とかなり違います。日本が10位に入るところまで含めて、まずは表を見てください。

使うのは世界銀行のジニ係数。所得(国によっては消費支出)が人びとのあいだにどれだけ偏って分布しているかを0〜100で表した指標で、世界銀行の説明では0が完全に平等、100が完全に不平等な状態を指します。数値は世界銀行の貧困・不平等データベース(PIP)から、各国の最新の調査年のものを取りました。

アジアで数値が公表されているのは17か国。ここでの「アジア」は、世界銀行の地域区分で「東アジア・太平洋」と「南アジア」に入る国から、オーストラリア・ニュージーランドと太平洋の島国を除いたものです。

※数値は世界銀行 Poverty and Inequality Platform(PIP)による各国の最新調査年の値。調査年は国によって2017年から2024年までばらつきがあります。

順位 国名 ジニ係数 調査年 調査のもとになる指標 上位10%が全体に占める割合
1位 マレーシア 40.7 2021年 所得 30.9%
2位 フィリピン 39.3 2023年 所得 31.6%
3位 スリランカ 37.7 2019年 消費支出 30.8%
4位 ベトナム 36.1 2022年 消費支出 28.1%
5位 中国 36.0 2022年 消費支出 28.4%
6位 インドネシア 34.9 2024年 消費支出 28.8%
7位 ラオス 34.8 2024年 消費支出 28.5%
8位 タイ 33.3 2024年 消費支出 26.1%
9位 韓国 32.9 2021年 所得 25.0%
10位 日本 32.3 2020年 所得 24.3%

11位以下は、モンゴル31.4、バングラデシュ30.9、ミャンマー30.7、ネパール30.0、モルディブ29.3、ブータン28.4、インド25.5と続きます。

シンガポールと香港は、この統計に数値がありません。台湾やカンボジアも同じで、世界銀行が公表していない国・地域は順位に入れていません。旧版のこの記事はシンガポールを1位、香港を9位としていましたが、根拠になる公的な数値は存在しませんでした。

もうひとつ、表の5列目は重要です。ジニ係数のもとになる調査が、国によって「所得」と「消費支出」で分かれています。同じフィリピンの2023年の調査でも、所得ベースなら39.3、消費支出ベースなら35.2と4.1の開きが出ます。基準の違う国どうしを1つの表に並べている以上、1ポイント前後の差は誤差として読むほうが安全です。

1位 マレーシア:ジニ係数40.7

2021年の調査で40.7。アジアで唯一40を超えています。所得ベースの調査で、上位10%が国全体の所得の30.9%を占めます。

目を引くのは下位10%の取り分で、2.4%。上位10%との差は12.9倍で、これは17か国で最も大きい開きです。

2位 フィリピン:39.3。上位10%の取り分はアジア最大

2023年の調査で39.3。上位10%が占める割合は31.6%で、こちらは17か国で最も高い数字です。

ジニ係数では1位のマレーシアに1.4及びませんが、「上位の集中」という切り口ではフィリピンが最上位になります。下位10%は2.9%で、倍率は10.9倍です。

3位 スリランカ:37.7

2019年の調査で37.7。上位10%が30.8%、下位10%が3.1%で、倍率は9.9倍です。

調査年が2019年と古く、17か国のなかではミャンマー(2017年)に次いで前の数字になります。

4位 ベトナム:36.1

2022年の調査で36.1。上位10%は28.1%で、3位のスリランカ(30.8%)より2.7ポイント低い数字です。

それでも順位が近いのは、下位10%の取り分が2.6%と小さいから。この2.6%は日本(2.3%)、マレーシア(2.4%)に次いで17か国で3番目に低く、上位10%との倍率は10.8倍になります。

5位 中国:36.0。ベトナムとほぼ同じ

2022年の調査で36.0。4位のベトナムとの差は0.1で、実質的に並んでいます。

上位10%が28.4%、下位10%が3.1%で、倍率は9.2倍。ベトナムより上位の集中は強いのに倍率が小さいのは、下位10%の取り分がベトナムより0.5ポイント大きいためです。

6位 インドネシア:34.9

2024年の調査で34.9。17か国のなかでは、ラオス・タイと並んで最も新しい2024年の数字です。

上位10%は28.8%と5位の中国(28.4%)を上回りますが、下位10%も3.5%と大きいため、ジニ係数では中国を下回りました。倍率は8.2倍です。

7位 ラオス:34.8

2024年の調査で34.8。6位のインドネシアとの差は0.1です。

上位10%28.5%、下位10%3.3%、倍率8.6倍。4位から7位まで、ベトナム36.1・中国36.0・インドネシア34.9・ラオス34.8と、1.3ポイントのなかに4か国が並んでいます。

8位 タイ:33.3

2024年の調査で33.3。上位10%は26.1%で、ここまでの7か国が28%台以上だったのに対し、初めて26%台まで下がります。

下位10%は3.4%、倍率は7.7倍。7位のラオスとは1.5ポイントの差があり、上位グループとの区切りになっています。

9位 韓国:32.9

2021年の調査で32.9。所得ベースの調査で、上位10%が25.0%、下位10%が2.9%、倍率は8.6倍です。

所得ベースで調査している4か国(マレーシア・フィリピン・韓国・日本)のうち、韓国は3番目。上位10%の取り分はマレーシア30.9%、フィリピン31.6%と比べて5〜6ポイント低い水準にあります。

10位 日本:32.3。ただし下位10%の取り分はアジアで最小

2020年の調査で32.3。ジニ係数では17か国中10位と、ちょうど真ん中あたりです。上位10%が占める割合も24.3%で、韓国の25.0%を下回ります。

ところが下位10%の取り分を見ると2.3%で、これは17か国で最も低い数字です。上位10%との倍率は10.6倍となり、この物差しでは17か国中4位まで上がります。

インド(下位10%が4.5%、倍率4.9倍)やバングラデシュ(3.7%、6.9倍)と比べると、日本は「上が突出している国」ではなく「下の層の取り分が薄い国」という形をしています。

まとめ

物差しを「上位10%と下位10%の取り分の倍率」に変えると、順位は次のようになります。マレーシア12.9倍、フィリピン10.9倍、ベトナム10.8倍、日本10.6倍、スリランカ9.9倍、中国9.2倍、韓国8.6倍、ラオス8.6倍、インドネシア8.2倍、タイ7.7倍。

ジニ係数で10位だった日本が4位に上がります。ジニ係数は分布全体のゆがみを1つの数字にまとめたものなので、両端だけを取り出すと違う姿が出てくるということです。

最も格差が小さい側も見ておくと、インドが25.5で17か国の最下位。下位10%の取り分4.5%は17か国で最も大きく、倍率も4.9倍と最小です。ただしインドの調査は消費支出ベースで、所得ベースの国と単純には比べられません。

この記事の数値は、次の統計から集計しています。

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