Excelで箱ひげ図を作って外れ値を見つける方法

Excelで箱ひげ図を作って外れ値を見つける方法 IT

箱ひげ図とは?外れ値をひと目で見つけられる理由

Excelで売上データやアンケート結果、作業時間などを分析していると、「この数値だけ妙に大きい」「平均値が思ったより高いけど、何かに引っ張られていない?」と感じることがあります。そんなときに役立つのが箱ひげ図です。

箱ひげ図とは、データのばらつきや中心の位置、そして外れ値を視覚的に確認できるグラフのことです。英語では「Box and Whisker Plot」と呼ばれ、データ分析や統計の現場でよく使われます。

通常の棒グラフや折れ線グラフは、数値の大小や推移を見るのには向いています。しかし、「データ全体がどの範囲に集まっているのか」「極端に離れた値があるのか」を確認するには少し不向きです。一方、箱ひげ図を使えば、データの分布をコンパクトに把握できます。

箱ひげ図では、主に次の情報を読み取れます。

  • 中央値:データを小さい順に並べたときの真ん中の値
  • 第1四分位数:下位25%にあたる値
  • 第3四分位数:上位25%にあたる値
  • ひげ:通常の範囲にある最小値・最大値
  • 外れ値:他のデータから大きく離れた値

たとえば、ある営業チームの1か月の受注件数を分析するとします。多くのメンバーが10〜20件程度の受注なのに、1人だけ80件という数値があった場合、平均値は大きく上がります。すると「チーム全体の成果が高い」と誤解してしまうかもしれません。

しかし箱ひげ図を使えば、その80件が他のデータから大きく離れた外れ値として表示されるため、「この数値には特別な理由がありそうだ」とすぐに気づけます。入力ミスなのか、特殊な案件があったのか、あるいは本当に優れた成果なのかを確認するきっかけになります。

ビジネスのデータ分析では、平均値だけを見て判断すると、外れ値に影響されて実態を見誤ることがあります。箱ひげ図は、そうした判断ミスを防ぎ、データの全体像を冷静に見るための便利なツールです。

Excelには箱ひげ図を作成できる標準機能が用意されているため、専門的な統計ソフトを使わなくても簡単に作成できます。まずは箱ひげ図が「データのばらつき」と「外れ値」を見つけるためのグラフであることを押さえておきましょう。

Excelで箱ひげ図を作る前に準備するデータの形

箱ひげ図をExcelでスムーズに作るには、グラフ作成の前にデータの並べ方を整えておくことが大切です。データの形が崩れていると、Excelが正しく数値を読み取れず、思ったような箱ひげ図にならないことがあります。

基本的には、箱ひげ図で比較したい項目ごとに列を分けてデータを並べるのがおすすめです。たとえば、部署ごとの残業時間を比較したい場合は、次のような形にします。

営業部 企画部 開発部
22 15 30
18 12 28
25 17 35
60 14 32

このように、1列目に営業部、2列目に企画部、3列目に開発部という形で、比較したいグループを列ごとに分けます。各列の下には、そのグループに属する数値データを縦に入力します。Excelの箱ひげ図では、この列ごとのデータを1つのまとまりとして認識してくれます。

一方で、次のような「部署名」と「残業時間」が1行ずつ並んでいる形式は、そのままだと箱ひげ図にしにくい場合があります。

部署 残業時間
営業部 22
営業部 18
企画部 15
開発部 30

この形式はデータベースとしては扱いやすいのですが、Excelで箱ひげ図を作る場合は、ピボットテーブルなどで部署ごとに整理してから使うとわかりやすくなります。

また、データを準備するときは次の点も確認しておきましょう。

  • 見出しをつける:列の先頭には「営業部」「A商品」「1月」など、比較対象がわかる名前を入れる
  • 数値だけを入力する:「20時間」「30件」のように単位をセル内に入れず、20、30のように数値で入力する
  • 空白や文字列を混ぜない:途中に空白セルやメモ書きがあると、グラフが正しく作れないことがある
  • 比較する単位をそろえる:時間、件数、金額など、同じ意味のデータだけを並べる

特に注意したいのが、数値に単位を直接つけてしまうケースです。たとえば「25時間」と入力すると、Excel上では数値ではなく文字として扱われることがあります。箱ひげ図では数値データをもとに計算するため、単位は見出しや別セルに記載し、データ部分には数値のみを入力しましょう。

さらに、明らかな入力ミスがないかも事前に確認しておくと安心です。たとえば、残業時間のデータに「3000」と入っていた場合、本当に3000時間なのか、「30.00」の入力ミスなのかを確認する必要があります。箱ひげ図は外れ値を見つけるのに便利ですが、元データが間違っていると分析結果もズレてしまいます。

つまり、Excelで箱ひげ図を作る前には、比較したいグループを列ごとに分けること、数値データとして正しく入力すること、不要な空白や文字を混ぜないことがポイントです。ここまで準備できれば、次のステップでExcelの標準機能を使って箱ひげ図を作成できます。

Excelの標準機能で箱ひげ図を作成する手順

データの準備ができたら、Excelの標準機能を使って箱ひげ図を作成していきましょう。Excel 2016以降であれば、グラフの種類として「箱ひげ図」が用意されているため、難しい関数を使わなくても作成できます。

ここでは、部署ごとの残業時間を比較するデータを例に、基本的な作成手順を紹介します。

  1. 箱ひげ図にしたいデータ範囲を選択する
  2. 「挿入」タブをクリックする
  3. 「統計グラフの挿入」をクリックする
  4. 「箱ひげ図」を選択する
  5. グラフのタイトルや表示内容を整える

まず、Excel上で箱ひげ図にしたいデータ範囲を選択します。列見出しも含めて選択すると、グラフ上に「営業部」「企画部」「開発部」などの項目名が自動で表示されるため、後から見てもわかりやすくなります。

次に、画面上部のメニューから「挿入」タブをクリックします。グラフ関連のメニューが表示されたら、「統計グラフの挿入」を探してください。アイコンはヒストグラムのような形で表示されていることが多く、その中に箱ひげ図があります。

メニューを開いたら、「箱ひげ図」を選択します。すると、選択したデータをもとに、自動で箱ひげ図が作成されます。部署ごと、商品ごと、月ごとなど、列単位で分けたデータがそれぞれ1つの箱として表示されます。

グラフが作成されたら、まずはタイトルを変更しましょう。初期状態では「グラフ タイトル」と表示されていることが多いため、クリックして「部署別の残業時間の分布」や「商品別売上データのばらつき」など、内容が伝わる名前にします。

あわせて、縦軸の単位も確認しておくと親切です。たとえば残業時間であれば「時間」、売上であれば「万円」など、何の数値なのかがわかるようにしておくと、資料として共有するときにも誤解を防げます。

グラフの見た目を調整したい場合は、箱ひげ図をクリックした状態で表示される「グラフのデザイン」や「書式」タブを使います。色を変更したり、グラフスタイルを選んだりすることで、資料に合わせた見た目に整えられます。

また、箱ひげ図を右クリックして「データ系列の書式設定」を開くと、表示方法を細かく調整できます。たとえば、平均値のマーカーを表示する設定や、外れ値を表示する設定などがあります。外れ値を確認したい場合は、外れ値の表示が有効になっているかチェックしておきましょう。

もし箱ひげ図がうまく作成されない場合は、データ範囲の選択ミスや、数値以外の文字が混ざっていないかを確認してください。特に、空白セルや「20時間」のような文字列が含まれていると、Excelが正しく計算できないことがあります。

ここまでできれば、Excel上で箱ひげ図を作成する基本操作は完了です。次の章では、作成した箱ひげ図をどのように読み取り、中央値・四分位数・ひげ・外れ値を理解すればよいのかを見ていきます。

箱ひげ図の見方:中央値・四分位数・ひげ・外れ値を理解する

箱ひげ図を作成できたら、次はグラフの各パーツが何を表しているのかを読み取っていきましょう。箱ひげ図は見慣れないと少し難しく感じますが、ポイントは「箱」「箱の中の線」「ひげ」「点」の4つです。

まず、箱の中に引かれている線は中央値を表します。中央値とは、データを小さい順に並べたときに真ん中にくる値です。平均値とは違い、極端に大きい値や小さい値の影響を受けにくいため、データの中心を確認するときに便利です。

たとえば、残業時間が「10、12、13、15、80」のようなデータだった場合、平均値は80に引っ張られて高くなります。しかし中央値は13なので、「多くの人は10時間台に収まっている」と判断しやすくなります。

次に、箱の下端と上端を見ます。箱の下端は第1四分位数、上端は第3四分位数です。第1四分位数は下から25%の位置、第3四分位数は下から75%の位置にあたる値です。つまり、箱の中にはデータの中央50%が入っていると考えるとわかりやすいでしょう。

  • 箱が小さい:データのばらつきが少ない
  • 箱が大きい:データのばらつきが大きい
  • 中央値が箱の中央付近:比較的バランスよく分布している
  • 中央値が上下どちらかに寄っている:データの偏りがある

箱から上下に伸びている線はひげです。ひげは、外れ値を除いた範囲での最小値・最大値を示します。ひげが長い場合は、その方向にデータが広がっていることを意味します。たとえば上側のひげが長ければ、高い数値のデータがいくつか存在している可能性があります。

そして、ひげの外側に点で表示されるものが外れ値です。Excelの箱ひげ図では、一般的に「第1四分位数から第3四分位数までの幅」をもとに、通常の範囲から大きく離れた値が外れ値として表示されます。この幅は四分位範囲と呼ばれます。

外れ値が表示されたからといって、すぐに「悪いデータ」と決めつける必要はありません。入力ミスの可能性もあれば、特別な事情によって発生した正しいデータの可能性もあります。重要なのは、箱ひげ図で外れ値に気づき、元データを確認するきっかけにすることです。

また、複数のグループを比較するときは、中央値の高さだけでなく、箱の大きさやひげの長さも見比べましょう。たとえば、営業部と開発部の中央値が同じでも、営業部の箱が大きければ、人によって残業時間の差が大きいと判断できます。一方、箱が小さければ、メンバー間の差が少なく、数値が安定していると考えられます。

このように箱ひげ図では、単に「高い・低い」だけでなく、データの中心、ばらつき、偏り、外れ値をまとめて確認できます。平均値だけでは見えにくいデータのクセを把握できるため、業務データを分析するときの判断材料として非常に役立ちます。

見つけた外れ値をどう扱う?業務データ分析でのチェックポイント

箱ひげ図で外れ値を見つけたら、次に大切なのは「その数値をどう扱うか」です。外れ値は目立つため、つい削除したくなるかもしれません。しかし、業務データ分析では、外れ値をいきなり消すのはNGです。まずは、その数値が発生した理由を確認しましょう。

外れ値を見つけたときは、次の順番でチェックするのがおすすめです。

  1. 入力ミスや集計ミスではないか確認する
  2. 単位や期間が他のデータとそろっているか確認する
  3. 特別な事情があったデータか確認する
  4. 分析目的に対して残すべきか除外すべきか判断する
  5. 判断理由をメモとして残す

まず確認したいのは、入力ミスです。たとえば残業時間のデータに「300」と入っていた場合、本当に300時間なのか、「30」の入力ミスなのかを確認します。売上データであれば、桁を1つ多く入力していないか、円と千円が混ざっていないかもチェックポイントです。

次に、集計条件がそろっているかを見ます。たとえば、ほとんどのデータが「1か月分」なのに、1件だけ「3か月分」の売上が入っていれば、当然その値は大きくなります。この場合、外れ値そのものが悪いのではなく、比較する条件がズレていることが問題です。

一方で、外れ値が正しいデータであるケースもあります。たとえば、ある営業担当だけ大型案件を受注して売上が突出していた場合、それは削除すべきデータではなく、むしろ成功要因を分析する価値のあるデータです。作業時間が極端に長いデータも、システム障害や顧客対応のトラブルが原因かもしれません。

判断に迷う場合は、外れ値を含めた場合と外れ値を除いた場合の両方で集計してみるとよいでしょう。平均値やグラフの印象が大きく変わるなら、その外れ値は分析結果に強く影響しているとわかります。資料にまとめるときも、「外れ値を含む集計」と「外れ値を除いた参考値」を分けて示すと、説得力が増します。

また、外れ値を除外する場合は、必ず理由を残しましょう。「入力ミスのため除外」「集計期間が異なるため除外」「一時的なキャンペーン影響のため参考扱い」など、後から見ても判断の根拠がわかるようにしておくことが重要です。理由がないまま数値を消してしまうと、都合のよいデータだけを使っているように見えてしまいます。

業務データ分析における外れ値は、単なる邪魔者ではありません。ミスを見つけるサインであり、業務上の異常を知らせるアラートであり、ときには成果や改善ポイントを発見するヒントにもなります。箱ひげ図で外れ値を見つけたら、すぐに削除するのではなく、原因を確認し、目的に合わせて扱いを決めることを意識しましょう。

Excelの箱ひげ図は、外れ値に気づくための第一歩です。そこから元データを確認し、背景を読み解くことで、数字を見るだけの作業から、業務改善につながる分析へと一段レベルアップできます。

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