FBIは犯罪データ公開サイトCrime Data Explorerで、州ごとの犯罪発生率を月単位で公表しています。2025年の暴力犯罪(殺人・不同意性交・強盗・重暴行)の発生率は、全米で人口10万人当たり329.30件。前年の363.43件から9.4%下がりました。
ただし州別に見ると、最も高い州は最も低い州の7.7倍です。発生率の高い順に50州を並べました。
※本記事の数値は、FBI「Crime Data Explorer」の州別月次データ(2025年1月〜12月、2026年8月更新分)を合計したものです。人口10万人当たりの件数で、FBIが公表している月次の発生率を12か月分足し上げて算出しました。
順位の決め方と、読むときの前提
順位は暴力犯罪(violent crime)の人口10万人当たり発生率が高い順。暴力犯罪はFBIの区分で殺人、不同意性交、強盗、重暴行の4つを合わせたものです。空き巣や車上荒らしなどの財産犯罪(property crime)は別集計なので、参考として表に併記しました。
対象は50州。コロンビア特別区(ワシントンD.C.)は州ではないため外しています。なお同区の暴力犯罪発生率は806.03件で、含めれば50州のどこよりも高くなります(2024年は1,016.31件)。
もうひとつ重要な前提があります。FBIのデータは各州の警察機関からの報告を集めたもので、州内のどれだけの人口が報告対象になっているか(人口カバー率)が州ごとに違います。カバー率が低い州の数値は、州全体の実態とずれる可能性があります。表にカバー率の列を立てたのはそのためです。
| 順位 | 州 | 暴力犯罪の発生率(2025年) | 2024年の発生率 | 件数 | 財産犯罪の発生率(50州の順位) | 人口カバー率 |
| 1 | アラスカ州 | 736.07件 | 731.89件 | 5,408件 | 1,926.70件(6位) | 99.7% |
| 2 | ニューメキシコ州 | 647.99件 | 744.93件 | 12,932件 | 2,350.68件(1位) | 93.9% |
| 3 | アーカンソー州 | 535.31件 | 589.63件 | 16,413件 | 1,668.47件(17位) | 98.4% |
| 4 | テネシー州 | 498.75件 | 604.42件 | 36,343件 | 1,661.27件(18位) | 99.6% |
| 5 | カンザス州 | 475.74件 | 474.70件 | 13,423件 | 1,922.13件(7位) | 94.8% |
| 6 | ルイジアナ州 | 465.05件 | 504.48件 | 16,748件 | 1,859.22件(8位) | 78.0% |
| 7 | コロラド州 | 438.15件 | 488.41件 | 26,115件 | 2,234.56件(2位) | 99.1% |
| 8 | カリフォルニア州 | 434.84件 | 478.48件 | 171,068件 | 1,821.30件(11位) | 100.0% |
| 9 | ミシガン州 | 430.87件 | 442.63件 | 42,267件 | 1,299.49件(36位) | 96.9% |
| 10 | ミズーリ州 | 425.58件 | 472.78件 | 26,342件 | 1,688.69件(15位) | 98.7% |
全米平均329.30件を上回ったのは21州。上位10州のうち8州は2024年より発生率が下がっています。増えたのはアラスカ州(+4.18件)とカンザス州(+1.04件)の2州だけです。
第1位 アラスカ州:736.07件
全米平均(329.30件)の2.2倍。2位のニューメキシコ州との差は88.08件です。
2024年(731.89件)から発生率が増えた2州のうちの1つで、増加幅+4.18件はもう一方のカンザス州(+1.04件)の4倍です。件数は5,408件で、上位10州では最も少ない実数です。人口が少ないため、件数は少なくても率は最も高くなります。財産犯罪の発生率1,926.70件は50州のなかで6位でした。
第2位 ニューメキシコ州:647.99件
2024年の744.93件から96.94件下がりました。これは上位10州のなかで2番目に大きい下げ幅です。
3位のアーカンソー州との差は112.68件で、10位までで最も大きい段差。この州の特徴は財産犯罪で、発生率2,350.68件は50州のなかで1位です。暴力犯罪と財産犯罪の両方で上位3位以内に入っている州は、50州のなかでニューメキシコ州だけになります。
第3位 アーカンソー州:535.31件
2024年の589.63件から54.32件下落。2位のニューメキシコ州との差が112.68件ある一方、4位のテネシー州との差は36.56件です。
財産犯罪の発生率1,668.47件は50州のなかで17位と中位。暴力犯罪は3位でも財産犯罪は中位という組み合わせで、全米平均(1,552.09件)をわずかに上回る程度です。人口カバー率は98.4%。
第4位 テネシー州:498.75件
2024年の604.42件から105.67件の下落で、これは上位10州のなかで最も大きい下げ幅です。
件数36,343件は上位10州のなかでカリフォルニア州(171,068件)に次いで2番目に多い実数。財産犯罪は1,661.27件で18位、人口カバー率99.6%と報告の精度は高い州です。
第5位 カンザス州:475.74件
2024年の474.70件から+1.04件。上位10州のうち、アラスカ州と並んで発生率が増えた2州の一方です。
財産犯罪の発生率1,922.13件は50州の7位で、こちらも高い側。4位のテネシー州との差は23.01件、6位のルイジアナ州との差は10.69件です。人口カバー率は94.8%で、上位10州ではルイジアナ州(78.0%)、ニューメキシコ州(93.9%)に次いで3番目に低い水準でした。
第6位 ルイジアナ州:465.05件
2024年の504.48件から39.43件の下落。財産犯罪の発生率1,859.22件は50州の8位です。
この州で注意したいのは人口カバー率78.0%という数字で、50州のなかで最も低い水準です。州人口の2割強にあたる地域の警察機関がFBIに月次データを報告していないことになり、州全体の実態とのずれが他州より大きい可能性があります。カバー率が90%を下回る州はルイジアナ州を含めて6州(ほかにミシシッピ州81.5%、フロリダ州84.4%、ウェストバージニア州87.3%、インディアナ州87.6%、サウスダコタ州89.7%)あります。
第7位 コロラド州:438.15件
2024年の488.41件から50.26件の下落。7位から10位までは438.15件、434.84件、430.87件、425.58件と12.57件の幅に4州が収まっており、順位の差はほとんどありません。
財産犯罪の発生率2,234.56件は50州のなかで2位。ニューメキシコ州に次ぐ水準で、全米平均の1.4倍にあたります。6位のルイジアナ州との差は26.90件です。
第8位 カリフォルニア州:434.84件
件数171,068件は上位10州のなかで圧倒的に多く、2番目のミシガン州(42,267件)の4.0倍。人口が多いため、率では8位でも実数は別格です。
人口カバー率は100.0%で、上位10州のなかで最も高い水準(11位のモンタナ州も100.0%)。州内のほぼすべての警察機関が報告している数値です。2024年の478.48件から43.64件下がりました。財産犯罪は1,821.30件で11位。
第9位 ミシガン州:430.87件
2024年の442.63件から11.76件の下落で、これは上位10州のなかで最も小さい下げ幅です。
特徴は財産犯罪との落差で、発生率1,299.49件は50州のなかで36位。全米平均(1,552.09件)を16%下回ります。暴力犯罪は9位なのに財産犯罪は36位という組み合わせは、上位10州のなかでミシガン州だけの形です。8位のカリフォルニア州との差は3.97件。
第10位 ミズーリ州:425.58件
2024年の472.78件から47.20件の下落。件数26,342件、財産犯罪の発生率1,688.69件は50州の15位です。
9位のミシガン州との差は5.29件。11位はモンタナ州(422.04件)で、ミズーリ州との差は3.54件しかありません。12位のオクラホマ州(411.61件)まで含めると、10位から12位は14件の幅に3州が並びます。
まとめ
反対側を見ると、暴力犯罪の発生率が最も低いのはメイン州(95.03件)、次いでコネチカット州(111.10件)、ニューハンプシャー州(119.17件)。1位のアラスカ州とメイン州の差は7.7倍です。
財産犯罪で並べ替えると顔ぶれが変わります。1位ニューメキシコ州(2,350.68件)、2位コロラド州(2,234.56件)、3位オレゴン州(2,184.23件)、4位ネバダ州(2,028.85件)、5位ワシントン州(2,017.20件)、6位アラスカ州(1,926.70件)。オレゴン州・ネバダ州・ワシントン州は暴力犯罪では上位10に入っておらず、暴力犯罪と財産犯罪の上位が重なるのはニューメキシコ州・コロラド州・アラスカ州の3州だけです。
旧版のランキングとは顔ぶれが大きくずれます。旧版が2位としていたコロラド州は本記事では7位、3位のカリフォルニア州は8位、8位のアリゾナ州は15位(382.88件)。逆に旧版に登場しないカンザス州が5位、ミシガン州が9位に入ります。数値を公表元から取り直すと順位は入れ替わる、という例です。


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