「産業別GDP」を国どうしで並べようとすると、各国が自国の分類で統計を出しているため、そのままでは比べられません。同じ産業区分でそろえたものを出しているのが、国連統計部の National Accounts Main Aggregates Databaseです。
この記事は、そのデータベースの2024年の値を使い、製造業(ISIC D)の付加価値額で国を並べました。
※国連統計部は各国の国民経済計算をISIC(国際標準産業分類)の区分でそろえ、米ドル建てで公表しています。区分は6つ——農林水産業(ISIC A-B)、鉱業・製造業・電気ガス水道(C-E)、建設業(F)、卸売・小売・飲食・宿泊(G-H)、運輸・保管・通信(I)、その他の活動(J-P)——で、製造業(ISIC D)は鉱業・製造業・電気ガス水道(C-E)の内数です。6区分の合計は「総付加価値」で、GDPは総付加価値に生産物にかかる税から補助金を引いた額を足したものなので、両者は一致しません。金額は各年の為替レートで換算した名目値です。
| 順位 | 国 | 製造業の付加価値額 | 総付加価値に占める製造業の比率 | 総付加価値額 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 中国 | 4兆6,853億ドル | 25.0% | 18兆7,438億ドル |
| 2位 | アメリカ | 2兆8,807億ドル | 9.9% | 29兆2,094億ドル |
| 3位 | ドイツ | 8,295億ドル | 19.7% | 4兆2,208億ドル |
| 4位 | 日本 | 8,211億ドル | 20.6% | 3兆9,934億ドル |
| 5位 | 韓国 | 4,992億ドル | 28.7% | 1兆7,415億ドル |
| 6位 | インド | 4,983億ドル | 13.9% | 3兆5,882億ドル |
| 7位 | メキシコ | 3,638億ドル | 21.0% | 1兆7,339億ドル |
| 8位 | イタリア | 3,529億ドル | 16.6% | 2兆1,279億ドル |
| 9位 | フランス | 3,023億ドル | 10.7% | 2兆8,262億ドル |
| 10位 | イギリス | 2,943億ドル | 8.9% | 3兆3,251億ドル |
11位以下は、ロシア2,881億ドル、インドネシア2,651億ドル、ブラジル2,647億ドル、トルコ2,265億ドル、カナダ2,075億ドルと続きます。
GDPの総額で並べるとアメリカが1位、中国が2位ですが、製造業だけを取り出すと順番が入れ替わります。
1位 中国:4兆6,853億ドル
2位アメリカの1.63倍です。総付加価値18兆7,438億ドルに占める比率は25.0%で、生み出した付加価値の4分の1が製造業でした。
農林水産業1兆3,423億ドルも世界1位です。6つの産業区分のうち中国が1位なのは、この農林水産業と、鉱業・製造業・電気ガス水道(5兆6,331億ドル)の2つでした。
2位 アメリカ:2兆8,807億ドル
総付加価値に占める製造業の比率9.9%は、上位10のなかでイギリスに次いで2番目に低い数字です。
その代わり、6区分のうち4つでアメリカが世界1位でした。建設業1兆3,054億ドル、卸売・小売・飲食・宿泊4兆5,157億ドル、運輸・保管・通信3兆1,803億ドル、その他の活動1兆6,199億ドル。とくにその他の活動は中国の2.47倍です。
3位 ドイツ:8,295億ドル
4位の日本との差は84億ドル、率にして1.0%しかありません。総付加価値に占める比率は19.7%です。
農林水産業は382億ドルで、上位10のなかではイギリス(235億ドル)・韓国(273億ドル)に次いで3番目に少ない数字でした。
4位 日本:8,211億ドル
総付加価値に占める製造業の比率20.6%は、韓国・中国・メキシコに次いで上位10で4番目に高い数字です。
製造業以外では、卸売・小売・飲食・宿泊の6,124億ドルがアメリカ・中国に次ぐ世界3位。その他の活動は1兆8,189億ドルでした。
5位 韓国:4,992億ドル
総付加価値に占める比率28.7%は上位10で最も高い数字です。総付加価値3,000億ドル以上の43の国・地域で見ても、アイルランド(29.0%)に次ぐ2番目でした。
総付加価値1兆7,415億ドルは上位10のなかでメキシコに次いで2番目に小さいのに、製造業では5位に入っています。6位インドとの差は9億ドルです。
6位 インド:4,983億ドル
農林水産業6,436億ドルは中国に次ぐ世界2位で、インドの総付加価値の17.9%を占めます。建設業3,140億ドルも、アメリカ・中国に次ぐ世界3位でした。
一方で製造業の比率は13.9%にとどまります。総付加価値では世界5位ですが、製造業では6位です。
7位 メキシコ:3,638億ドル
総付加価値1兆7,339億ドルは上位10のなかで最も小さく、GDPでは世界13位です。それでも製造業では7位に入りました。
総付加価値に占める製造業の比率21.0%は、韓国・中国に次いで上位10で3番目に高い数字です。
8位 イタリア:3,529億ドル
総付加価値に占める比率は16.6%。GDPでも世界8位で、製造業の順位と一致しています。
GDPではイタリアより上にいるイギリス(6位)とフランス(7位)を、製造業では上回りました。9位フランスとの差は506億ドルです。
9位 フランス:3,023億ドル
総付加価値に占める製造業の比率は10.7%。その代わり、その他の活動(ISIC J-P)が1兆6,169億ドルあり、これは総付加価値の57.2%にあたります。
鉱業・製造業・電気ガス水道の合計は3,859億ドルで、イタリア(4,052億ドル)を下回りました。
10位 イギリス:2,943億ドル
総付加価値に占める製造業の比率8.9%は上位10で最も低い数字です。
その他の活動1兆9,419億ドルはアメリカ・中国・ドイツに次ぐ世界4位で、総付加価値の58.4%を占めます。この比率は上位10で最も高い数字でした。
まとめ
国連統計部がデータを載せている212の国・地域の製造業付加価値を合計すると16兆4,210億ドル。上位10でその70.2%を占めます。
6つの産業区分で1位になった国は2つだけでした。アメリカが4区分、中国が2区分で、それ以外の国はどの区分でも1位になっていません。
総付加価値が3,000億ドル以上ある43の国・地域で製造業の比率を見ると、高いほうはアイルランド29.0%、韓国28.7%、ベトナム26.6%、中国25.0%、タイ24.3%。低いほうは香港1.0%、オーストラリア5.8%、ノルウェー6.8%、イギリス8.9%でした。
最後に、旧版のこの記事との違いを書いておきます。旧版の順位は1位アメリカ、2位中国、3位日本、4位ドイツ、5位インド、6位イギリス、7位フランス、8位イタリア、9位カナダ、10位韓国。これはGDP総額の並びに近く、産業別の数字ではありませんでした。
製造業で並べ直すと、アメリカは2位、日本は4位、インドは6位、韓国は5位、イギリスは10位。カナダは2,075億ドルで15位と、上位10から外れます。代わりに入るのがメキシコ(7位・3,638億ドル)で、旧版はこの国にまったく触れていませんでした。
この記事の数値は、次の統計から集計しています。


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