都市化がどれだけ進んだかを測るなら、「いま都市に住んでいる人の割合」より「その割合がどれだけ上がったか」を見るほうが実態に近づきます。都市人口比率そのものを並べると、シンガポールや香港のように100%の国・地域が12も並んでしまい、順位になりません。
そこでこの記事では、世界銀行が公表する都市人口比率について、2000年から2024年までの24年間で何ポイント上がったかを217の国・地域で計算し、上げ幅の大きい順に10か国を並べました。1位のネパールは31.10%から66.77%へ、35.67ポイント上がっています。
順位の決め方
使ったのは世界銀行の世界開発指標にある「Urban population (% of total population)」です。2000年と2024年の両方に値がある217の国・地域を対象に、その差を取りました。差が大きいほど、この24年で都市化が進んだことになります。
比率そのものではなく上げ幅を使う理由は冒頭に書いたとおりですが、もうひとつ理由があります。すでに都市化が終わっている国は、これ以上ほとんど上がりようがありません。たとえばカタールは2000年の時点で96.29%に達しており、2024年は99.32%。上げ幅は3.03ポイントで、217の国・地域のなかで139位です。水準では13位に入る国が、伸びで見ると真ん中より下になります。
※本記事の数値は2026年9月時点で世界銀行が公表している値に基づきます。都市人口比率は2000年と2024年、人口は2025年、1人あたり国民総所得(購買力平価)は2024年の値です。
都市人口比率の上げ幅が大きい10か国
| 順位 | 国名 | 上げ幅(ポイント、2000年→2024年) | 2000年の都市人口比率(%) | 2024年の都市人口比率(%) | 2024年の水準での順位(217の国・地域中) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ネパール | +35.67 | 31.10 | 66.77 | 99位 |
| 2 | 赤道ギニア | +32.54 | 38.82 | 71.36 | 82位 |
| 3 | タイ | +30.41 | 31.46 | 61.87 | 119位 |
| 4 | トルコ | +30.37 | 58.97 | 89.34 | 32位 |
| 5 | 中国 | +29.46 | 36.43 | 65.89 | 102位 |
| 6 | レソト | +24.35 | 19.33 | 43.68 | 164位 |
| 7 | カーボベルデ | +22.84 | 53.93 | 76.77 | 70位 |
| 8 | モーリタニア | +22.55 | 38.06 | 60.61 | 124位 |
| 9 | カンボジア | +22.25 | 18.62 | 40.87 | 170位 |
| 10 | ソマリア | +21.56 | 33.06 | 54.62 | 144位 |
右端の列を見ると、上げ幅の順位と水準の順位が一致していないことが分かります。上げ幅1位のネパールは水準では99位、9位のカンボジアは170位です。上位10のうち、水準で50位以内に入るのは4位のトルコ(32位)だけです。
- 1位 ネパール:31.10%から66.77%へ、35.67ポイント上昇
- 2位 赤道ギニア:38.82%から71.36%へ、32.54ポイント上昇
- 3位 タイ:31.46%から61.87%へ、30.41ポイント上昇
- 4位 トルコ:58.97%から89.34%へ、30.37ポイント上昇
- 5位 中国:36.43%から65.89%へ、29.46ポイント上昇
- 6位 レソト:19.33%から43.68%へ、24.35ポイント上昇
- 7位 カーボベルデ:53.93%から76.77%へ、22.84ポイント上昇
- 8位 モーリタニア:38.06%から60.61%へ、22.55ポイント上昇
- 9位 カンボジア:18.62%から40.87%へ、22.25ポイント上昇
- 10位 ソマリア:33.06%から54.62%へ、21.56ポイント上昇
- まとめ
1位 ネパール:31.10%から66.77%へ、35.67ポイント上昇
24年間で都市人口比率が35.67ポイント上がりました。2位の赤道ギニアとの差は3.13ポイントです。なお上位10で隣り合う順位の差が最も大きいのは、5位の中国と6位のレソトの間の5.11ポイントでした。
2000年の31.10%は、当時としても低い水準でした。それが2024年に66.77%まで上がり、いまは国民の3人に2人が都市部に住んでいる計算になります。人口は2,961万人、1人あたり国民総所得(購買力平価)は5,840ドルです。
2位 赤道ギニア:38.82%から71.36%へ、32.54ポイント上昇
中部アフリカの産油国で、上げ幅は32.54ポイント。2024年の水準71.36%は217の国・地域で82位と、上位10のなかではトルコ、カーボベルデに次いで高い位置にあります。
人口は193万人で、上位10のなかではカーボベルデ(52万人)に次いで少なめ。1人あたり国民総所得は1万5,200ドルです。
3位 タイ:31.46%から61.87%へ、30.41ポイント上昇
上げ幅は30.41ポイント。4位のトルコ(30.37ポイント)との差は0.04ポイントしかなく、実質的には横並びです。小数第2位まで見て初めて順位が決まる差なので、どちらが上かにあまり意味はありません。
タイは東南アジアのなかでは早くから工業化が進んだ国ですが、2000年時点の都市人口比率は31.46%と、この10か国のなかでも低いほうでした。それが24年で倍近くになっています。人口7,162万人、1人あたり国民総所得2万4,110ドルは、いずれも上位10のなかで中国に次ぐ規模です。
4位 トルコ:58.97%から89.34%へ、30.37ポイント上昇
上げ幅30.37ポイント。この国が特徴的なのは、2000年の出発点が58.97%と、上位10のなかで最も高かったことです。すでに国民の6割が都市に住んでいた状態から、さらに30ポイント積み上げました。
結果として2024年の水準は89.34%に達し、217の国・地域のなかで32位。上位10のなかでは唯一、水準でも上位に食い込んでいます。
5位 中国:36.43%から65.89%へ、29.46ポイント上昇
上げ幅29.46ポイント。上位10のなかで人口が14億657万人と突出しており、2位のタイ(7,162万人)の19.6倍です。
比率の上げ幅は5位ですが、動いた人の数という点では他の9か国とは桁が違います。上位10の残り9か国の人口を全部足すと2億3,476万人で、中国はその約6.0倍です。同じ「29.46ポイント」でも、その裏側にある人の移動の規模はまったく別の話だということは、押さえておく価値があります。
6位 レソト:19.33%から43.68%へ、24.35ポイント上昇
南アフリカに囲まれた内陸国で、上げ幅は24.35ポイント。2000年の19.33%は、上位10のなかでカンボジア(18.62%)に次いで低い出発点でした。
2024年の水準43.68%は217の国・地域で164位。上げ幅では6位でも、水準ではまだ下から数えたほうが早い位置にあります。1人あたり国民総所得は3,730ドルです。
7位 カーボベルデ:53.93%から76.77%へ、22.84ポイント上昇
西アフリカ沖の島国で、上げ幅は22.84ポイント。人口52万7,326人は上位10のなかで最も少なく、2番目に少ない赤道ギニア(193万人)の3分の1以下です。
2000年時点で53.93%と、上位10ではトルコに次いで高い水準から始まっています。2024年の76.77%は217の国・地域で70位です。
8位 モーリタニア:38.06%から60.61%へ、22.55ポイント上昇
上げ幅22.55ポイント。国土の大半がサハラ砂漠にかかる西アフリカの国で、人口531万人に対して国土は103万平方キロメートル。人口密度は5.16人と、世界でも低い部類に入ります。
広い国土に人が散らばっていた状態から、24年かけて人口の6割が都市に集まりました。1人あたり国民総所得は7,310ドルです。
9位 カンボジア:18.62%から40.87%へ、22.25ポイント上昇
上げ幅22.25ポイント。2000年の18.62%は上位10のなかで最も低い出発点で、当時は国民の5人に1人も都市に住んでいませんでした。
それが2024年には40.87%まで上がっています。ただし水準で見ると217の国・地域中170位で、これは上位10のなかで最も低い順位です。人口1,784万人、1人あたり国民総所得7,920ドル。
10位 ソマリア:33.06%から54.62%へ、21.56ポイント上昇
上げ幅21.56ポイントで10位。11位のコスタリカ(20.26ポイント)との差は1.30ポイントあり、上位10と11位以下の間には一定の開きがあります。
1人あたり国民総所得は1,640ドルで、上位10のなかで最も低い数字です。最高のトルコ(4万4,510ドル)とは27倍の開きがあります。
まとめ
上げ幅で並べると、上位10はすべてアジアとアフリカの国でした。都市化が「進んでいる」のは、すでに都市化を終えた豊かな国ではなく、これから都市に人が集まっていく国のほうだということです。
逆方向の動きもあります。217の国・地域のうち24は、2000年から2024年にかけて都市人口比率が下がりました。最も下げ幅が大きいのはアンティグア・バーブーダの32.2%から24.4%へ7.8ポイント減で、次いで米領サモアの7.7ポイント減、ベリーズの5.9ポイント減が続きます。
日本は2000年の78.61%から2024年の92.19%へ、13.58ポイントの上昇で45位。水準では26位です。韓国は79.6%から81.2%へ1.6ポイントの上昇にとどまり、164位でした。日本と韓国はどちらも2000年時点ですでに8割近くが都市に住んでいましたが、その後の24年の動き方は大きく違っています。
旧版の記事は1位をカタールとしていましたが、上げ幅で見るとカタールは139位です。水準で13位という事実と、伸びで139位という事実は、どちらも同じデータから出てきます。何を測るかで順位はここまで変わります。
算出に使った統計


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