国連世界観光機関(UN Tourism)が公表している国別の外国人旅行者数で、アジアの44の国・地域を並べます。44の合計は2019年で4億6,689万人。
なぜ2019年かというと、最新年まで数字を出しているアジアの国・地域が20しかなく、中国・タイ・マレーシア・ベトナム・トルコ・アラブ首長国連邦・フィリピンが欠けてしまうためです。全体を比べられる最後の年が2019年になります。
※本記事の数値は、UN Tourism「Tourism Statistics Database」のバルクデータ(2026年5月版、収録データは2025年12月時点)の inbound arrivals に基づきます。単位は千人。アジアの範囲は国連統計部のM49分類によります。
順位の決め方と、対象から外したもの
順位は2019年の外国人旅行者数が多い順。UN Tourismは国によって集計の単位が違い、宿泊客(overnight visitors)で報告する国と訪問者(visitors、日帰りを含む)で報告する国があります。本記事では宿泊客の数値がある国はそれを使い、ない国は訪問者の数値を使いました。どちらを使ったかは表の「数え方」の列に書いています。
対象はM49分類でアジアに含まれる50の国・地域のうち、2019年の数値が公表されている44。アフガニスタン、イラク、北朝鮮、パキスタン、トルクメニスタン、イエメンの6つは数値がないため外しました。なおM49では香港・マカオ・台湾・パレスチナがそれぞれ独立した地域として扱われるため、本記事もその区分にしたがっています。
| 順位 | 国・地域 | 外国人旅行者数(2019年) | 44の合計に占める割合 | 数え方 |
| 1 | 中国 | 6,572万5,000人 | 14.1% | 宿泊客 |
| 2 | トルコ | 5,119万2,000人 | 11.0% | 宿泊客 |
| 3 | タイ | 3,991万6,000人 | 8.5% | 宿泊客 |
| 4 | 日本 | 3,188万2,000人 | 6.8% | 訪問者 |
| 5 | マレーシア | 2,610万1,000人 | 5.6% | 宿泊客 |
| 6 | 香港 | 2,375万2,000人 | 5.1% | 宿泊客 |
| 7 | アラブ首長国連邦 | 2,156万1,000人 | 4.6% | 宿泊客 |
| 8 | マカオ | 1,863万3,000人 | 4.0% | 宿泊客 |
| 9 | インド | 1,775万4,000人 | 3.8% | 宿泊客 |
| 10 | サウジアラビア | 1,752万6,000人 | 3.8% | 宿泊客 |
上位10で44の合計の67.3%を占めます。2,000万人を超えたのは中国・トルコ・タイ・日本・マレーシア・香港・アラブ首長国連邦の7つでした。
第1位 中国:6,572万5,000人
44の合計の14.1%を1つで占めます。2位のトルコとの差は1,453万3,000人で、10位までで最も大きい段差。2番目に大きい段差(2位→3位の1,127万6,000人)を上回ります。
最下位の東ティモール(8万1,000人)と比べると811倍。トルコに対しては1.28倍で、トップとの差は意外に小さいとも読めます。
第2位 トルコ:5,119万2,000人
44の合計の11.0%。M49分類ではトルコは西アジアに入るため、本記事ではアジアとして扱っています。
3位のタイとの差は1,127万6,000人で、10位までで2番目に大きい段差です。1位の中国との差(1,453万人)と合わせると、上位3つのあいだで2,581万人の開きがあることになります。
第3位 タイ:3,991万6,000人
44の合計の8.5%。4位の日本との差は803万4,000人で、10位までで3番目に大きい段差です。
タイの2019年の数値は宿泊客ベース。なお同国が最後に数値を出しているのは2021年の51万1,000人で、2019年の1.3%にあたります。2022年以降の数値はUN Tourismのデータベースに収録されていません。
第4位 日本:3,188万2,000人
44の合計の6.8%。日本は宿泊客ではなく訪問者(日帰りを含む)で報告しており、上位10のなかで訪問者ベースなのは日本だけです。
日本は2024年の数値も公表しており、3,687万人。2019年の3,188万2,000人から+15.6%で、コロナ前を上回っています。上位10のなかで2024年の数値があるのは日本・香港・マカオ・インド・サウジアラビアの5つです。
第5位 マレーシア:2,610万1,000人
44の合計の5.6%。6位の香港との差は234万9,000人で、10位までで4番目に大きい段差です。
マレーシアが最後に数値を出しているのは2022年の1,007万1,000人で、2019年の38.6%。2023年以降はデータベースに収録されていません。
第6位 香港:2,375万2,000人
44の合計の5.1%。宿泊客ベースでそろえると2024年は2,194万4,000人で、2019年の92.4%とまだ届いていません。
いっぽう訪問者ベース(日帰りを含む)の2024年の数値は4,450万3,000人で、こちらは2019年の宿泊客数の1.87倍に見えます。数え方を混ぜると倍率が大きく変わる典型で、日帰りの往来が多い地域ではとくに差が出ます。7位のアラブ首長国連邦との差は219万1,000人でした。
第7位 アラブ首長国連邦:2,156万1,000人
44の合計の4.6%で、2,000万人を超えた7つの最後にあたります。8位のマカオとの差は292万8,000人。
最後に数値を出しているのは2021年の1,147万9,000人で、2019年の53.2%。2022年以降はデータベースに収録されていません。
第8位 マカオ:1,863万3,000人
44の合計の4.0%。宿泊客ベースでそろえると2024年は1,604万4,000人で、2019年の86.1%。香港と同じく、まだ2019年に届いていません(訪問者ベースなら3,492万9,000人)。
人口が小さい地域に1,800万人以上が訪れている点が特徴で、9位のインドとの差は88万1,000人。10位までで2番目に小さい段差です。
第9位 インド:1,775万4,000人
44の合計の3.8%。10位のサウジアラビアとの差は22万8,000人で、10位までで最も小さい段差です。
2024年の数値は982万4,000人で、2019年の55.3%にとどまります。宿泊客ベースでそろえたとき、上位10のうち2024年の数値がある5つで2019年を下回っているのはインド・香港・マカオの3つです。
第10位 サウジアラビア:1,752万6,000人
44の合計の3.8%。宿泊客ベースでそろえた2024年の数値は2,972万7,000人で、2019年の1.70倍。上位10のなかで最も伸びが大きい国です(訪問者ベースなら3,347万9,000人)。
11位は韓国(1,750万3,000人)で、サウジアラビアとの差は2万3,000人しかありません。9位インドから11位韓国までが25万人の幅に3つ並ぶ、非常に詰まった区間です。12位はインドネシア(1,545万5,000人)、13位はシンガポール(1,511万9,000人)でした。
まとめ
2019年という基準年の制約は、裏返すと「コロナ前の水準をどれだけ取り戻したか」を見る材料にもなります。2024年の数値が出ている20の国・地域を同じ数え方でそろえて比べると、2019年を上回ったのは11。サウジアラビア(1.70倍)、バーレーン(1.72倍)、モンゴル(1.26倍)、カザフスタン(1.22倍)、ウズベキスタン(1.18倍)、アルメニア(1.17倍)、ヨルダン(1.16倍)、日本(1.16倍)、オマーン(1.06倍)、キプロス(1.02倍)、ジョージア(1.00倍)です。
逆に届いていないのは9で、ミャンマー(2019年の18.5%)、イスラエル(21.1%)、インド(55.3%)、台湾(66.2%)、韓国(93.5%)、シンガポール(86.1%)、インドネシア(88.0%)、マカオ(86.1%)、香港(92.4%)。西アジア・中央アジアが伸び、東アジア・南アジアが戻りきっていないという分かれ方になっています。
数え方の違いにも注意が必要です。上位10のうち9つが宿泊客ベース、日本だけが訪問者ベース。訪問者には日帰りが含まれるため、同じ地域でも数え方を変えると数字が大きく動きます。香港は2024年の宿泊客2,194万人に対して訪問者4,450万人、マカオは宿泊客1,604万人に対して訪問者3,493万人。どちらも訪問者が宿泊客の2倍以上で、数え方をそろえずに倍率を語ると実態を誤解しやすい点は押さえておきたいところです。
最後に、この記事が国別である理由を繰り返します。アジアの都市別に外国人旅行者数を継続公表している公的統計は存在しません。バンコクや東京のような都市単位の数字は、各国の政府観光局が独自の定義で出している場合はありますが、横に並べて比較できる形にはなっていません。本記事が国・地域の単位に置き換えているのはそのためです。


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