アメリカの持ち家の価格は、国勢調査局のアメリカン・コミュニティ・サーベイ(ACS)で都市圏ごとに公表されています。2024年の1年推計では、全米の持ち家価格の中央値は36万600ドル。世帯所得の中央値は8万1,604ドルで、価格は所得の4.42倍です。
この倍率は都市圏によって3倍を切るところから9倍を超えるところまで開きます。人口100万人以上の都市圏を価格の安い順に並べ、下から10を見ていきます。
※本記事の数値は、米国国勢調査局「American Community Survey 2024年1年推計」のB25077(持ち家価格の中央値)、B01003(人口)、B25064(家賃の中央値)、B19013(世帯所得の中央値)に基づきます。金額はドル表記のままとし、円換算はしていません。
- 順位の決め方と、対象の範囲
- 第1位 サンフアン–バヤモン–カグアス(プエルトリコ):152,300ドル
- 第2位 ピッツバーグ(ペンシルベニア州):230,300ドル
- 第3位 ロチェスター(ニューヨーク州):234,100ドル
- 第4位 クリーブランド(オハイオ州):234,700ドル
- 第5位 タルサ(オクラホマ州):247,500ドル
- 第6位 オクラホマシティ(オクラホマ州):253,200ドル
- 第7位 バッファロー–チークトワガ(ニューヨーク州):253,200ドル
- 第8位 バーミングハム(アラバマ州):263,900ドル
- 第9位 ルイビル/ジェファーソン郡(ケンタッキー州・インディアナ州):265,900ドル
- 第10位 セントルイス(ミズーリ州・イリノイ州):268,300ドル
- まとめ
順位の決め方と、対象の範囲
順位はB25077「持ち家の価格の中央値」が低い順。これは持ち家に住む世帯が自分の住宅の価値として申告した金額の中央値で、取引価格そのものではありません。土地だけの価格(地価)ではなく、建物を含む住宅の価格です。
対象は、ACSが都市圏(Metropolitan Statistical Area)として集計している393のうち人口100万人以上の56都市圏。小規模な都市圏まで含めると母数の小さい地域が上位を占めるため、下限を設けました。プエルトリコの都市圏もACSの集計対象に含まれているため、そのまま対象としています。価格が同額の場合は、世帯所得の中央値に対する倍率が小さいほうを上位としました。
| 順位 | 都市圏 | 持ち家価格の中央値 | 世帯所得の中央値 | 価格÷所得 | 家賃の中央値(月額) | 人口 |
| 1 | サンフアン–バヤモン–カグアス(プエルトリコ) | 152,300ドル | 30,640ドル | 4.97倍 | 620ドル | 2,036,751人 |
| 2 | ピッツバーグ(ペンシルベニア州) | 230,300ドル | 77,214ドル | 2.98倍 | 1,083ドル | 2,429,917人 |
| 3 | ロチェスター(ニューヨーク州) | 234,100ドル | 76,453ドル | 3.06倍 | 1,172ドル | 1,057,218人 |
| 4 | クリーブランド(オハイオ州) | 234,700ドル | 72,532ドル | 3.24倍 | 1,087ドル | 2,171,877人 |
| 5 | タルサ(オクラホマ州) | 247,500ドル | 69,658ドル | 3.55倍 | 1,115ドル | 1,060,423人 |
| 6 | オクラホマシティ(オクラホマ州) | 253,200ドル | 72,930ドル | 3.47倍 | 1,162ドル | 1,497,821人 |
| 7 | バッファロー–チークトワガ(ニューヨーク州) | 253,200ドル | 72,300ドル | 3.50倍 | 1,114ドル | 1,160,172人 |
| 8 | バーミングハム(アラバマ州) | 263,900ドル | 74,954ドル | 3.52倍 | 1,262ドル | 1,192,583人 |
| 9 | ルイビル/ジェファーソン郡(ケンタッキー州・インディアナ州) | 265,900ドル | 74,305ドル | 3.58倍 | 1,140ドル | 1,396,762人 |
| 10 | セントルイス(ミズーリ州・イリノイ州) | 268,300ドル | 81,679ドル | 3.28倍 | 1,154ドル | 2,809,527人 |
全米の中央値36万600ドルに対し、10都市圏すべてが27万ドル以下。全米平均の7割台から4割台に収まっています。
第1位 サンフアン–バヤモン–カグアス(プエルトリコ):152,300ドル
15万2,300ドルは全米中央値の42.2%。2位のピッツバーグより7万8,000ドル安く、この段差は10位までのほかのどの区切りよりも大きい数字です(2番目に大きいのは4位→5位の1万2,800ドル)。
家賃の中央値は月620ドルで、こちらも56都市圏で最も安く、2位のピッツバーグ(1,083ドル)の57%。ただし世帯所得の中央値は3万640ドルと56都市圏で最も低く、価格÷所得の倍率は4.97倍。この10都市圏のなかでは倍率が最も高いという逆転が起きています。価格は安いが、所得との比較では最も重い都市圏です。
第2位 ピッツバーグ(ペンシルベニア州):230,300ドル
23万300ドル。価格÷所得の倍率は2.98倍で、これは人口100万人以上の56都市圏のなかで唯一3倍を切る数字です。全米の4.42倍と比べて1.44ポイント低い水準。
家賃の中央値も1,083ドルで、サンフアンに次いで2番目に安い。人口242万9,917人は10都市圏のなかで2番目に多い規模です(最多はセントルイスの280万9,527人)。価格・家賃・倍率のすべてで本土の都市圏としては最も安い側に位置しています。
第3位 ロチェスター(ニューヨーク州):234,100ドル
23万4,100ドル。4位のクリーブランドとの差はわずか600ドル。同額で並んだ6位・7位を除けば、10位までで最も小さい段差です。
価格÷所得は3.06倍で、56都市圏のなかでピッツバーグに次ぐ2番目の低さ。人口105万7,218人は10都市圏で最も少なく、10位セントルイス(280万9,527人)の38%の規模です。ニューヨーク州からは7位のバッファローも入っており、同州は2つを占めています。
第4位 クリーブランド(オハイオ州):234,700ドル
23万4,700ドル。価格÷所得は3.24倍で56都市圏の3番目。家賃の中央値1,087ドルも3番目に安い水準です。
人口217万1,877人。5位のタルサとの差は1万2,800ドルで、ここが10位までで2番目に大きい区切りになります。23万ドル台のグループ(2〜4位)と24万〜26万ドル台のグループの境目です。
第5位 タルサ(オクラホマ州):247,500ドル
24万7,500ドル。世帯所得の中央値は6万9,658ドルで、プエルトリコのサンフアンを除けばこの10都市圏で最も低く、価格÷所得は3.55倍になります。
人口106万423人は10都市圏で2番目に少ない規模。オクラホマ州からは6位のオクラホマシティも入り、同州も2つを占めます。州の平均年収で見てもオクラホマ州は50州のうち下から4番目です。
第6位 オクラホマシティ(オクラホマ州):253,200ドル
25万3,200ドルで、7位のバッファローと同額。本記事のルールにしたがい、価格÷所得が小さいオクラホマシティ(3.47倍)を上位としました。バッファローは3.50倍です。
倍率3.47倍は56都市圏のなかで6番目に低い数字。人口149万7,821人は10都市圏で5番目に多い規模で、家賃の中央値は1,162ドルです。
第7位 バッファロー–チークトワガ(ニューヨーク州):253,200ドル
オクラホマシティと同じ25万3,200ドル。家賃の中央値1,114ドルは、同額のオクラホマシティ(1,162ドル)より48ドル安く、10都市圏のなかでは4番目に安い水準です。
価格÷所得は3.50倍で56都市圏の7番目。人口116万172人。3位のロチェスターと合わせ、ニューヨーク州の都市圏が2つ入っている点は、同じ州にニューヨーク都市圏を抱えていることを考えると対照的です。
第8位 バーミングハム(アラバマ州):263,900ドル
26万3,900ドル。家賃の中央値1,262ドルはこの10都市圏のなかで最も高く、最も安いサンフアン(620ドル)の2倍を超えます。価格は10位までに入る安さなのに、家賃だけは高いという組み合わせです。
価格÷所得は3.52倍で56都市圏の8番目。人口119万2,583人は10都市圏で4番目に少ない規模でした。
第9位 ルイビル/ジェファーソン郡(ケンタッキー州・インディアナ州):265,900ドル
26万5,900ドル。価格÷所得は3.58倍で、この10都市圏のなかではサンフアン(4.97倍)に次いで2番目に高い数字です。
人口139万6,762人。州をまたぐ都市圏で、ケンタッキー州とインディアナ州にまたがります。10位のセントルイスとの差は2,400ドル。
第10位 セントルイス(ミズーリ州・イリノイ州):268,300ドル
26万8,300ドル。世帯所得の中央値8万1,679ドルは10都市圏のなかで最も高く、全米の中央値(8万1,604ドル)をわずかに上回ります。
そのため価格÷所得は3.28倍と低く、56都市圏のなかで4番目です。人口280万9,527人は10都市圏で最も多い規模。11位はデトロイト–ウォレン–ディアボーン(27万1,600ドル)で、セントルイスとの差は3,300ドルしかありません。
まとめ
価格ではなく所得に対する倍率で並べ替えると、順位は入れ替わります。低い順にピッツバーグ(2.98倍)、ロチェスター(3.06倍)、クリーブランド(3.24倍)、セントルイス(3.28倍)、オマハ(3.46倍)、オクラホマシティ(3.47倍)。価格では1位のサンフアンが4.97倍で、この並びでは下のほうに落ちます。価格の安さと「買いやすさ」は別物という典型です。
反対側を見ると、価格が最も高いのはサンノゼ–サニーベール–サンタクララ(152万8,500ドル)、次いでサンフランシスコ–オークランド–フリーモント(113万2,900ドル)、サンディエゴ–チュラビスタ–カールズバッド(91万4,700ドル)。サンノゼとサンフアンの差は10.0倍、2位のピッツバーグと比べても6.6倍です。倍率ではロサンゼルス–ロングビーチ–アナハイムが9.42倍で最も高く、ピッツバーグの3.2倍にあたります。
下限を人口50万人以上に広げると対象は112都市圏になり、顔ぶれが変わります。トレド(オハイオ州、19万4,700ドル、人口60万1,396人)が3位、ウィチタ(カンザス州、22万3,700ドル、人口66万1,217人)が8位に入ってきます。人口100万人以上に限った本記事の10には、この2都市圏は規模の条件で入っていません。下限の置き方で見える景色が変わる点は、都市圏ランキングを読むときの前提です。


コメント