日本で製造業が強い地域ランキング

日本で製造業が強い地域ランキング エンタメ

「製造業が強い地域」は、印象で語られがちなテーマです。ものづくりの街といえばどこか、と聞かれて思い浮かぶ名前と、統計が示す順位は、意外と食い違います。

今回使うのは、経済産業省の経済構造実態調査(製造業事業所調査)。全国の製造業事業所を対象にした調査で、2024年調査の二次集計が2025年12月25日に公表されました。数字は2023年の実績です。

順位の軸は、都道府県別の出荷金額。全国の合計は331兆5833億円で、2021年の292兆7851億円から13.2%増えています。

※以下、断りのない数値はすべて2024年経済構造実態調査(製造業事業所調査)二次集計の「品目群による都道府県別出荷金額(産業中分類別、全事業所)」によるもので、2023年の実績値です。

順位 都道府県 2023年の出荷金額 全国に占める割合 最も多い品目群とその割合
1位 愛知県 43兆7092億円 13.2% 輸送用機械器具 47.3%
2位 静岡県 18兆3095億円 5.5% 輸送用機械器具 25.9%
3位 神奈川県 17兆3733億円 5.2% 輸送用機械器具 22.8%
4位 大阪府 17兆0644億円 5.1% 化学工業製品 10.4%
5位 兵庫県 16兆4763億円 5.0% 鉄鋼 14.1%
6位 千葉県 14兆2850億円 4.3% 石油製品・石炭製品 25.5%
7位 茨城県 14兆0309億円 4.2% 化学工業製品 13.4%
8位 埼玉県 14兆0051億円 4.2% 輸送用機械器具 18.9%
9位 三重県 11兆6518億円 3.5% 輸送用機械器具 24.1%
10位 福岡県 10兆8693億円 3.3% 輸送用機械器具 38.7%

表の右端は、その県の出荷金額のうち最も大きい品目群が占める割合です。この数字が高いほど、特定の産業に依存した構造だということになります。愛知県の47.3%と大阪府の10.4%では、同じ「製造業が強い県」でも中身がまったく違います。

11位以下は、広島県9兆9191億円、群馬県9兆3500億円、栃木県9兆2426億円、岡山県9兆0283億円と続きます。10位の福岡県との差は1兆円を切っており、この付近は年によって入れ替わる可能性があります。

1位 愛知県:43兆7092億円。全国の13.2%を1県で生む

愛知県の出荷金額は43兆7092億円。2位の静岡県の2.4倍という、他を寄せつけない規模です。全国331兆5833億円のうち13.2%を、この1県が占めています。

内訳を見ると、その理由ははっきりしています。輸送用機械器具が20兆6698億円で、県全体の47.3%。2番目の電気機械器具は3兆6763億円(8.4%)、3番目の鉄鋼は3兆2967億円(7.5%)ですから、1品目だけで残り全部を大きく上回る構図です。

この47.3%という集中度は、上位10県のなかで最も高い数字でもあります。愛知県の輸送用機械器具だけで20兆6698億円というのは、3位の神奈川県の出荷金額全体(17兆3733億円)を超える規模です。

強さと偏りが同居している、と言い換えることもできます。自動車関連の需要が動けば、県全体の出荷金額が連動して動く構造になっているためです。

2位 静岡県:18兆3095億円。3つの品目がバランスよく並ぶ

静岡県の出荷金額は18兆3095億円、全国シェアは5.5%です。

愛知県と同じく輸送用機械器具が最大で4兆7353億円ですが、割合は25.9%と愛知県の半分程度。2番目の電気機械器具が2兆3839億円(13.0%)、3番目の化学工業製品が2兆3488億円(12.8%)と続き、この2つはほぼ並んでいます。

上位3品目で県全体の51.7%。裏を返せば、残り半分を21の品目群が分け合っているということです。輸送用機械に軸足を置きながら、電気機械と化学でも一定の規模を持つ——上位10県のなかでは、バランスの取れた構造に入ります。

3位 神奈川県:17兆3733億円。京浜工業地帯の化学と石油

神奈川県の出荷金額は17兆3733億円、全国シェアは5.2%。4位の大阪府とは3089億円差で、ほぼ並んでいます。

最大は輸送用機械器具の3兆9665億円(22.8%)ですが、特徴は2位以下にあります。化学工業製品が2兆2830億円(13.1%)、石油製品・石炭製品が2兆1389億円(12.3%)。この2つを合わせると4兆4219億円となり、輸送用機械を上回ります。

臨海部に製油所と化学工場が並ぶ京浜工業地帯の構造が、そのまま数字に出ている形です。石油製品・石炭製品の2兆1389億円は、千葉県に次いで全国2番目の規模になります。

4位 大阪府:17兆0644億円。最大品目でも10.4%という分散型

大阪府の出荷金額は17兆0644億円、全国シェアは5.1%です。

この県の数字で最も特徴的なのは、突出した品目がないことです。最大は化学工業製品の1兆7819億円で10.4%。2番目の生産用機械器具が1兆6892億円(9.9%)、3番目の鉄鋼が1兆6772億円(9.8%)と、上位3つが1兆6000億円台から1兆7000億円台で団子になっています。

最大品目の割合10.4%は、上位10県のなかで最も低い数字です。愛知県の47.3%、福岡県の38.7%と比べると、その差は歴然としています。特定の産業に依存せず、多くの業種が横並びで積み上がっている——大阪の製造業は、そういう構造です。

ひとつの業種が落ち込んでも県全体への影響が出にくいという意味では、安定した形だといえるかもしれません。ただしこの統計から読み取れるのは、構成比が分散しているという事実までです。

5位 兵庫県:16兆4763億円。鉄鋼と化学がほぼ同じ規模

兵庫県の出荷金額は16兆4763億円、全国シェアは5.0%。

最大品目は鉄鋼で2兆3188億円(14.1%)。ほぼ同じ規模で化学工業製品が2兆3033億円(14.0%)続き、その差はわずか155億円です。3番目には食料品が1兆7136億円(10.4%)で入ります。

上位10県のうち、鉄鋼が最大品目になっているのは兵庫県だけです。播磨から阪神にかけての臨海部に製鉄所が並ぶ立地を反映した構造で、加えて食料品が1兆7000億円規模で入るのは、神戸を中心とした食品産業の厚みによるものと考えられます。

6位 千葉県:14兆2850億円。石油と化学で4割超

千葉県の出荷金額は14兆2850億円、全国シェアは4.3%です。

最大品目は石油製品・石炭製品で3兆6370億円、県全体の25.5%を占めます。これは全国最大の規模です。2番目の化学工業製品が2兆6314億円(18.4%)、3番目の鉄鋼が2兆0225億円(14.2%)。

上位3品目の合計は8兆2909億円で、県全体の58.1%。京葉工業地域の素材産業が県の製造業の柱になっていることが、数字ではっきり分かります。

旧記事では千葉県が上位10県に入っていませんでしたが、2023年の実績では6位です。素材産業は価格の変動が出荷金額に直接効くため、原油や鋼材の相場が動けば順位も動きやすい点は押さえておく必要があります。

7位 茨城県:14兆0309億円。上位3品目が12%前後で並ぶ

茨城県の出荷金額は14兆0309億円、全国シェアは4.2%。8位の埼玉県とは258億円差という僅差です。

最大品目は化学工業製品の1兆8788億円(13.4%)、次いで生産用機械器具1兆7037億円(12.1%)、食料品1兆5718億円(11.2%)。大阪府ほどではないものの、上位が11〜13%台で並ぶ分散型の構造です。

鹿島臨海工業地帯の素材産業と、内陸部の機械・食品が組み合わさった形になります。生産用機械器具が2番手に来る県は、上位10県では茨城県と大阪府だけです。

8位 埼玉県:14兆0051億円。食料品が2番手に入る

埼玉県の出荷金額は14兆0051億円、全国シェアは4.2%です。

最大は輸送用機械器具の2兆6503億円(18.9%)。注目すべきは2番目で、食料品が2兆1405億円(15.3%)と大きな比率を占めます。3番目は化学工業製品の1兆4368億円(10.3%)。

食料品が2番手に入るのは、上位10県のなかで埼玉県だけです。首都圏の消費地に近い立地が、食品工場の集積につながっている可能性があります。ただし今回の統計から言えるのは、構成比としてそうなっているという事実までです。

9位 三重県:11兆6518億円。電子部品が2番手

三重県の出荷金額は11兆6518億円、全国シェアは3.5%。

最大は輸送用機械器具の2兆8085億円(24.1%)で、2番目に電子部品・デバイス・電子回路が1兆6787億円(14.4%)。3番目は化学工業製品の1兆3344億円(11.5%)です。

電子部品が2番手に来るのは、上位10県では三重県だけです。この1兆6787億円という規模は、県別に見ても全国上位に入ります。自動車と半導体関連という、性格の違う2つの産業が並んでいるのが三重県の構造です。

10位 福岡県:10兆8693億円。輸送用機械が38.7%

福岡県の出荷金額は10兆8693億円、全国シェアは3.3%です。

最大品目は輸送用機械器具で4兆2113億円、県全体の38.7%を占めます。この集中度は、愛知県の47.3%に次いで上位10県で2番目に高い数字です。2番目の鉄鋼が1兆2220億円(11.2%)、3番目の食料品が9979億円(9.2%)ですから、最大品目とそれ以外の差は大きく開いています。

九州で唯一、上位10県に入った県でもあります。2位の鉄鋼1兆2220億円と合わせると、自動車と鉄という重工業の組み合わせが県の製造業を支えている形です。

まとめ

上位10県で全国の48.5%を占めます。47都道府県のうち10県で、日本の製造業の出荷金額のほぼ半分。残り37道府県が残りの半分を分け合う計算です。

顔ぶれを地域で見ると、中部(愛知・静岡・三重)、首都圏(神奈川・千葉・茨城・埼玉)、関西(大阪・兵庫)、九州(福岡)という分布になります。東北と北陸、四国からは1県も入っていません。

もうひとつの物差しが、最大品目への集中度です。愛知県47.3%、福岡県38.7%、静岡県25.9%、千葉県25.5%、三重県24.1%、神奈川県22.8%、埼玉県18.9%、兵庫県14.1%、茨城県13.4%、大阪府10.4%。金額の順位とはまったく別の並びになります。

この集中度が高い県は、特定の産業の浮き沈みが県全体の数字に直結します。逆に大阪府や茨城県のように10%台前半で分散している県は、ひとつの業種の変動が全体に響きにくい。「製造業が強い」と言うとき、規模の大きさを指すのか、構造の安定を指すのかで、評価は変わってきます。

品目群で見ると、上位10県のうち6県で輸送用機械器具が最大品目でした(愛知・静岡・神奈川・埼玉・三重・福岡)。残る4県は化学工業製品(大阪・茨城)、鉄鋼(兵庫)、石油製品・石炭製品(千葉)。日本の製造業の上位が、自動車を中心とした組立産業と、臨海部の素材産業の2つに分かれていることが、この並びから読み取れます。

この記事の数値は、次の統計から集計しています。都道府県と品目群を選び直せば、同じ計算を自分で確かめられます。

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