中国の31の省・自治区・直轄市について、一定規模以上の宿泊業企業の営業額が、その地域の地区生産総値(GRP)に対してどれくらいの大きさかを計算し、比率の高い順に並べました。いずれも2024年の数値です。
1位は海南省の1.740%。全国の0.416%に対して4.18倍で、最下位の内モンゴル自治区0.176%とは9.89倍の開きがあります。
順位の決め方
分子は中国国家統計局『中国統計年鑑2025』表17-3「限額以上住宿業企業主要指標(地域別、2024年)」の営業額です。全国では5,577.5億元でした。
分母は同じ年鑑の表3-9「地区生産総値(2024年)」。31地域の合計は134兆312億元です。どちらも当年価格です。
この指標には3つの限界があります。1つめは、分子が「限額以上」=一定の規模を超える企業だけの数字で、小規模な旅館や民宿が含まれないこと。2つめは、営業額が売上であって付加価値ではないため、付加価値の合計であるGRPとは性質が違うこと。3つめは、宿泊だけを見ていて飲食・交通・小売といった観光関連の他の業種を含まないことです。この数字は「観光がその地域の経済に占める割合」ではありません。あくまで、経済規模に対して宿泊業の売上がどれくらい大きいかを比べたものです。
※本記事の数値は2026年9月時点で中国国家統計局が公表している『中国統計年鑑2025』に基づきます。
比率が高かった10地域
| 順位 | 地域 | GRPに対する比率 | 宿泊業の営業額(億元) | 地区生産総値(億元) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 海南省 | 1.740% | 138.1 | 7,935.7 |
| 2 | 北京市 | 0.987% | 492.0 | 49,843.1 |
| 3 | 上海市 | 0.781% | 421.0 | 53,926.7 |
| 4 | チベット自治区 | 0.561% | 15.5 | 2,764.9 |
| 5 | 福建省 | 0.546% | 315.6 | 57,761.0 |
| 6 | 陝西省 | 0.541% | 192.2 | 35,538.8 |
| 7 | 浙江省 | 0.508% | 457.9 | 90,130.6 |
| 8 | 広東省 | 0.488% | 691.2 | 141,633.8 |
| 9 | 甘粛省 | 0.456% | 59.3 | 13,002.9 |
| 10 | 江西省 | 0.455% | 155.5 | 34,202.5 |
1位 海南省:1.740%
海南省は宿泊業の営業額138.1億元に対してGRPが7,935.7億元で、比率は1.740%。31地域で唯一1%を超えました。
営業額の大きさ自体は31地域で14番目ですが、GRPが28番目と小さいため、比率では1位になっています。2位北京市との差は0.753ポイントあり、上位10のなかで隣り合う順位の差としては突出して大きい数字です。
2位 北京市:0.987%
北京市は営業額492.0億元、GRP4兆9,843.1億元で比率0.987%。営業額は31地域で広東省に次ぐ2番目の大きさです。
GRPの順位は12番目なので、営業額の順位(2番目)が10も上回っている形になります。この差が比率を押し上げました。3位上海市との差は0.206ポイントです。
3位 上海市:0.781%
上海市は営業額421.0億元、GRP5兆3,926.7億元で比率0.781%。営業額は31地域で4番目、GRPは9番目でした。
直轄市4つのうち上位10に入ったのは北京と上海の2つで、天津は0.326%(18位)、重慶は0.345%(17位)にとどまっています。
4位 チベット自治区:営業額15.5億元でも4位
チベット自治区は営業額15.5億元、GRP2,764.9億元で比率0.561%。
営業額は31地域で29番目、GRPは31番目で最も小さい地域です。分母と分子の両方が小さいなかで比率が高く出た例で、金額の規模そのものは上位10のなかで最も小さくなっています。
5位 福建省:0.546%
福建省は営業額315.6億元、GRP5兆7,761.0億元で比率0.546%。営業額は31地域で6番目、GRPは8番目です。
4位チベット自治区との差は0.014ポイント、6位陝西省との差は0.006ポイントしかありません。4位から6位までは実質的に並んでいるとみるのが妥当です。
6位 陝西省:0.541%
陝西省は営業額192.2億元、GRP3兆5,538.8億元で比率0.541%。営業額は31地域で10番目、GRPは14番目でした。
5位福建省との差は0.006ポイントしかありません。年鑑の営業額が小数第1位までの数値であることを考えると、この程度の差に意味を持たせるのは難しい水準です。
7位 浙江省:0.508%
浙江省は営業額457.9億元、GRP9兆130.6億元で比率0.508%。営業額は31地域で3番目、GRPは4番目です。
営業額とGRPがどちらも上位という、上位10のなかでは珍しい形になっています。8位広東省との差は0.020ポイントです。
8位 広東省:営業額691.2億元は31地域で最大
広東省は営業額691.2億元、GRP14兆1,633.8億元で比率0.488%。営業額とGRPのどちらも31地域で最大です。
営業額691.2億元は全国5,577.5億元の12.4%にあたります。分母も分子も1位という地域が、比率では8位に落ち着きました。
9位 甘粛省:0.456%
甘粛省は営業額59.3億元、GRP1兆3,002.9億元で比率0.456%。営業額は31地域で24番目、GRPは27番目でした。
10位江西省との差は0.001ポイントしかありません。この2つは同じ水準と考えるべき差です。
10位 江西省:0.455%
江西省は営業額155.5億元、GRP3兆4,202.5億元で比率0.455%。営業額は31地域で13番目、GRPは15番目です。
11位は四川省の0.441%で、江西省との差は0.014ポイント。10位前後は0.01ポイント刻みの差が続いており、明確な切れ目はありません。
まとめ
比率は最も高い海南省の1.740%から最も低い内モンゴル自治区の0.176%まで分布し、全国は0.416%でした。1%を超えたのは海南省だけで、2位北京市の0.987%との間に0.753ポイントの差があります。
2位以下は差が小さく、4位から10位までは0.561%〜0.455%の範囲に7地域が並びます。隣り合う順位の差は最小0.001ポイント、最大でも0.033ポイントで、この範囲の順位を細かく読むことはできません。
そして冒頭に書いたとおり、この数字は観光が経済に占める割合ではありません。分子は一定規模以上の宿泊業企業の売上に限られ、飲食も交通も小売も含みません。「経済規模のわりに大きなホテル産業を抱えているのはどこか」という、範囲を限った問いへの答えとして読むのが適切です。
算出に使った統計


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