1. 章:Excelとは何か?―基本的な機能とその活用法
今日のIT社会において、多くのサラリーマンが一度は使ったことのあるツール「Excel」。その活用法は非常に多岐にわたります。Excelはデータの入力、集計、分析、表示などを手軽に行うことができるパワフルなツールです。表を作ったり、グラフを描いたり、データの抽出や検索を行ったりと、その活用範囲は幅広いのです。
ExcelはMicrosoftが提供する表計算ソフトで、オフィススーツ「Microsoft Office」の一部として提供されています。項目とデータの集まりを一覧表示し、それらを集計・分析するためのシート、視覚的に表現するためのグラフや図表の作成機能、繰り返しの作業を自動化するためのマクロなど、一見複雑に見えるものも、基本的な操作を覚えれば手早く作業を進めることができます。
また、Excelには数多くの関数が用意されており、これらは「四則演算」「条件による計算」などなど、様々な計算手法をカバーしています。この中には、例えばVLOOKUP関数やMATCH関数といったものも含まれており、これらはデータ検索や参照の作業を格段にスピーディーかつ精度高く行うための大切なツールとなります。
Excelを多角的に使いこなすことで、日々の業務効率を大幅に上げることができますし、仕事の幅や深みを増すことができます。Excelの使い方を一つひとつ理解し、それぞれの関数を使いこなすことで、大量のデータを効率よく管理・分析するスキルを身につけていきましょう。
本記事ではその中でもVLOOKUP関数とMATCH関数の使い方について、基本から実践まで詳しく説明していきますので、是非最後までお読みください。
2. 章:VLOOKUP関数の基礎―その仕組みと使い方の基本
VLOOKUP関数は、Excelの中でも特に人気がある関数の一つです。理由は、検索や抽出といった作業を速やかかつ簡単に、そして正確に行うことができるためです。
VLOOKUP関数は、縦方向に並んだデータの検索を行います。表の一番左の列から一致する値を検索し、その値が所属する行の中から特定の位置にあるデータを参照します。関数の基本的な形は以下のようになります。
=VLOOKUP(検索値, テーブル範囲, index番号, [範囲検索])
そして、VLOOKUP関数の使い方は以下の通りです。
- 検索値:検索したい値を指定します。
- テーブル範囲:検索を行う範囲を指定します。最も左の列が検索値となります。
- index番号:取得したいデータの列番号を指定します。テーブル範囲の一番左の列を1と数えます。
- 範囲検索(省略可):検索方法を指定します。真(TRUE)は類似検索、偽(FALSE)は完全一致検索となります。
たとえば、社員の氏名が格納されている列から特定の氏名を検索し、その人の社員番号を取得するという操作はVLOOKUP関数を使用して簡単に行うことができます。
=VLOOKUP("山田", A2:B10, 2, FALSE)
この場合、”山田”をA2からB10の範囲で検索し、ヒットしたらその行の2列目(社員番号が格納されていると想定)の値を取得します。「範囲検索」にFALSEを指定しているので、”山田”を完全一致で検索します。
VLOOKUP関数は一見複雑に思えるかもしれませんが、その使い方を覚えれば、あらゆるデータの抽出や検索が短時間で行えるため、大変便利な関数です。続いて3章では、もう一つの有用な関数MATCH関数について解説していきます。
3. 章:MATCH関数の基礎―その理解と実践的な使い方
MATCH関数もVLOOKUP関数と同様、Excelの中でデータ検索を行う重要な関数の一つです。MATCH関数は、指定したデータがある範囲内で何番目に位置しているかを調べることができる関数です。特に、横方向に並んだデータの検索時に有用です。
MATCH関数の基本的な形は以下のようになります。
=MATCH(検索値, 範囲, [検索種類])
MATCH関数の使い方は以下の通りです。
- 検索値:検索したい値を指定します。
- 範囲:検索を行う範囲を指定します。マトリックス(一次元配列)内を検索します。
- 検索種類(省略可):検索方法を指定します。1は昇順検索、0は完全一致検索、-1は降順検索となります。
たとえば、社員の氏名が格納されている行から特定の氏名が何番目にあるかを調べる操作はMATCH関数を使用して手軽に行うことができます。
=MATCH("山田", A1:Z1, 0)
この場合、”山田”をA1からZ1の範囲で検索し、その位置(何番目か)を取得します。「検索種類」に0を指定しているので、”山田”を完全一致で検索します。
MATCH関数を理解し活用すれば、目的のデータが何列目に存在するかといった問いに素早く答えることが可能になります。データ分析やレポート作成の際に、これらの関数を用いて情報を迅速に抽出する力は、非常に価値のあるスキルとなります。
この章で紹介したMATCH関数と前章のVLOOKUP関数は、それぞれ単体でも非常に強力な関数ですが、これらを組み合わせて使うことで更にその力を発揮します。次章ではその組み合わせについて解説していきます。
4. 章:VLOOKUP関数とMATCH関数を組み合わせる場面とそのテクニック
VLOOKUP関数とMATCH関数、この2つの関数を組み合わせて用いることで、より具体的かつ柔軟なデータ検索や参照が可能となります。特にVLOOKUP関数の3番目の引数(index番号)にMATCH関数を指定することで、動的に列番号を指定できるようになります。これにより、横に広がる大量の列の中から特定のデータを探し出す作業が、これまで以上に容易になります。
具体的な組み合わせ方は以下のような形になります。
=VLOOKUP(検索値, テーブル範囲, MATCH(検索値2, 範囲2, 0), FALSE)
ここで、検索値2は列見出し(Header)の名前など、返してほしいデータの種類を指定します。そして範囲2は列見出しが書かれている範囲(通常は一番上の行)を指定します。すると、VLOOKUP関数のindex番号として、検索値2が範囲2の中で何番目に存在するか(MATCH関数の結果)を動的に指定することができます。
以下に、実際の社員情報の一覧表から特定の社員の電話番号を抜き出す例を示します。
=VLOOKUP("山田", A2:Z1000, MATCH("電話番号", A1:Z1, 0), FALSE)
この場合、VLOOKUP関数はまず”A2:Z1000″の範囲で”山田”を検索します。次に、MATCH関数は”A1:Z1″の範囲で”電話番号”という見出しが何列目にあるかを検索します。そして、その列番号をVLOOKUP関数に返すことで、抽出したい社員の電話番号を探します。これにより、どこに”電話番号”という列があったとしても、簡単にその情報を抽出することができます。
このように、VLOOKUP関数とMATCH関数を組み合わせることで、柔軟かつ高速なデータ参照が可能になります。様々な業務で活用して、作業効率を上げることが期待できます。
ただし、すばやく正確な情報を抽出するためには、事前に圧倒的な量のデータを緻密に整理し、適切な形に持ってくることが重要です。データ管理の段階から意識して取り組むようにしましょう。
次章ではExcelの各種関数を活用した効率的なデータ処理のコツについて解説します。ぜひ次章もお読みください。
5. 章:Excelの各種関数を活用した効率的なデータ処理のコツ
これまでに紹介したVLOOKUP関数とMATCH関数は、あくまでExcel内の幾多の関数の一部に過ぎません。Excelには、これら以外にも多くの便利な関数が存在し、それらを知り活用することで、より効率的かつ精密なデータ処理を行うことが可能です。
たとえば、データクレンジングにおいて大活躍するのがTRIM関数やCONCATENATE関数です。「TRIM関数」は文字列の先頭や末尾、または文字列の中にある連続した空白を取り除く機能を有し、「CONCATENATE関数」は複数のテキスト項目を結合して一つのテキスト項目を作成する機能を有しています。
このように、Excelの操作やデータ処理の効率を上げるためには、多くの関数を理解し、それらを適切に活用することが必要です。
ただし、様々な関数を表面的に知るだけでなく、それぞれの関数がどのような理由で存在し、何を得るためのツールであるのかという点を理解することが重要です。
たとえばSUM関数は、単に複数の数値を合計するためのものではなく、効率的に大量の数値を取り扱い、総和を求めるために存在します。また、今回詳しく解説を行ったVLOOKUP関数やMATCH関数は、効率的なデータ検索を行うために存在します。
それぞれの関数が何を目的として提供されているのか理解すれば、その使い道や活用の場が見えてきます。そして、自分が求める結果を手に入れるためにどの関数を用いるべきか、視野が自然と広がります。
また、関数を活用する際にはデータの整理や管理も重要なステップです。データは極力シンプルで一貫性のある形式で管理し、常に最新の状態を保つように努めましょう。データの精度が保たれていれば、それだけその後の分析やレポート作成、意思決定も正確に行うことが可能になるからです。
これからも、Excelの各種機能をベストに活用し、効率的且つ正確なデータ処理を目指すためのサポートになれれば幸いです。次回の記事もお楽しみに。
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