1章:ピボットテーブルとは何か?
ビジネスにおいては、データがその道標となります。しかし、そのデータが大量で複雑に生まれている場合、必要な情報を可視化し理解することは困難に感じられるかもしれません。そこで活躍するのがExcelの高機能なツール、「ピヴォットテーブル」です。
ピヴォットテーブルは、大量のデータをあっと言う間に集計、分析し、その結果を一覧表にまとめることが可能な機能です。縦軸、横軸を自由に配置し、必要な情報を抽出、分析する事が可能です。
例えば、飲食店での売上データがあるとしましょう。その中には日付、商品名、個数、売上金額など様々な項目が含まれているかと思います。このデータをピヴォットテーブルで扱うと、「どの商品が一番売れているか?」、「いつが一番売上が高い日か?」といった質問に瞬時に答えることができます。
このように、ピヴォットテーブルは非常に強力な集計ツールであり、使いこなすことで多くの時間を節約し、より有効なビジネス判断を下すことができます。
しかし、始めて使う方やあまりExcelに慣れていない方は、ピヴォットテーブルの使い方が難しそうと感じてしまいます。実際、操作方法は少し独特ですが、基本的な考え方と手順を理解すれば、さほど難しい事はありません。
この章ではピヴォットテーブルの基本的な考え方を抑え、次の章で具体的な操作方法について解説します。しっかりと理解して、ピヴォットテーブルを使いこなし、ビジネスに活かしましょう。
2章:ピボットテーブルでできること
前章でピヴォットテーブルの基本的な概念と役割について学びました。今章では、ピヴォットテーブルの実用的な機能を具体的な例と共に紹介します。
集計
ピヴォットテーブルは何よりも大量のデータを手軽に集計することが出来ます。一つ一つの要素を手作業で計算していくと、精度が落ち疲弊しますが、ピヴォットテーブルを使えば瞬時に目的のデータを集計することが可能となります。
並べ替え
数字だけでなく、テキストデータの並び替えも可能です。例えば地域ごと、部門ごとなど、カテゴリーごとの集計を行いたい場合、単に数字を足し上げるだけではなく、クラス分けのような機能がとても便利です。
フィルタリング
膨大な量のデータから、特定のデータだけを抽出するフィルタリング機能も持っています。条件フィルタで指定の条件を満たすデータだけを取り出し、その結果に基づいて分析を行うこともできます。
横持ち・縦持ち表の作成
便利な機能の一つに、データの視覚化があります。ピヴォットテーブルを使うと、一覧表だけでなく横持ち表や縦持ち表を手軽に作成することができます。これにより、大量のデータであっても一目で全体を把握することが出来ます。
このように、ピヴォットテーブルには様々な機能があります。膨大なデータを扱っているのであれば、特にこれらの機能は非常に役立つでしょう。次章では、ピヴォットテーブルの具体的な作成手順を見ていきましょう。
3章:データ集計の基本:ピヴォットテーブルの作成手順
前章まででピヴォットテーブルの機能と役割について学びました。それでは具体的にピヴォットテーブルを作ってみましょう。
ステップ1: ピヴォットテーブルの作成
まずはじめに、集計したいデータが書かれたエクセルシートを開きます。必要なデータが全て入力され、準備が整ったら、「挿入」タブから「ピヴォットテーブル」を選択します。
新しく出てくるダイアログボックスで、集計するデータの範囲を指定します。「新しいワークシート」を選択すると、新しいワークシートにピヴォットテーブルが作成されます。「OK」ボタンをクリックすると、ピヴォットテーブルが作成されます。
ステップ2: フィールドリストの配置
次に、「ピヴォットテーブルフィールドリスト」を使って、データをどのように集計するかを設定します。リスト内の項目をドラッグ&ドロップして、「行」、「列」、「値」、「フィルター」のボックスに配置します。
例えば、商品ごとの売上を集計したい場合、商品名を「行」に、売上金額を「値」に配置します。このとき、「値」に配置されるデータは、自動的に合計値として計算されます。
ステップ3: ピヴォットテーブルの完成とカスタマイズ
設定が完了すれば、ピヴォットテーブルが完成です。しかし、見た目を整えたり、必要に応じてデータの並び替えやフィルタリングを行うことで、情報を更に見やすくすることができます。
「デザイン」タブからテーブルのスタイルを変更することができ、色やフォント、配置を自由に調整することが可能です。また、「並べ替え」「フィルター」機能を使うことで、さらにデータの抽出や分析を深めることができます。
以上がピヴォットテーブルを作成する基本的な手順です。この流れを一通り覚えることで、大量のデータを容易に集計し、有益な情報を得ることができるようになります。次章では、さらに複雑な集計に挑戦しましょう。
4章:複雑な集計に挑戦:条件分けやサブ集計のやり方
今までにピヴォットテーブルの基本的な機能と作り方について学んできました。次に、より複雑な集計方法に挑戦します。
条件によるデータの分解
ピヴォットテーブルでは、「列」を用いて条件によるデータの分解が可能です。例えば、商品ごとの売上を集計している場合に、さらに地域ごとに分けて表示したい時があります。その場合は、「列」に地域をドラッグ&ドロップします。
これにより、商品ごとにさらに地域ごとの売上が一覧表示されるようになります。そして、「行」に複数の項目を並べることで複雑な分析も可能となります。
サブトータルとグランドトータル
さらに、「行」や「列」に配置したフィールドの設定を変えることで、サブトータルやグランドトータルを表示させることもできます。これは各項目の小計や全体の合計を一覧表示させる機能で、ピヴォットテーブルの右下にある設定ボタンから変更できます。
また、フィールドヘッダーのドロップダウンメニューから「値のフィールドの設定」を開くと、集計方法(合計、平均、最大、最小など)を選んだり、表示形式を変更することもできます。
計算フィールドの作成
最後に、ピヴォットテーブルで算出した結果をもとに新たな計算をする方法を紹介します。これを「計算フィールド」といいます。
例えば、売上と利益のデータから、利益率を計算したいと思った時、ピヴォットテーブル上で新たに「利益率」フィールドを作ることができます。これを作成するには、「分析」タブから「フィールド項目・セット」を開き、「計算フィールドの作成」を選択します。
新たに表示されるダイアログボックスで、新しいフィールド名と計算式を入力します。ここでは、「利益」と「売上」を使い、「利益/売上」の計算式を作りましょう。これで新たに計算フィールドが作成され、ピヴォットテーブルに表示されます。
この章では、より複雑な集計方法を紹介しました。条件によるデータの分解やサブトータル、計算フィールドなどを使いこなすことで、ピヴォットテーブルの可能性はさらに広がります。次章では、これらを活かしてレポートを作成する方法を学びます。
5章:結果の報告:ピヴォットテーブルからのレポート作成方法
これまでの章で、ピヴォットテーブルの基礎から複雑な集計方法までを学んできました。最後に、こうした集計結果をきちんと報告するためのレポート作成方法について説明します。
パワーポイントへの挿入
ビジネスの現場において、エクセルに詳しくない人にピボットテーブルの結果を効果的に伝達する方法の一つは、パワーポイントのスライドを活用することです。作成したピボットテーブルを選択し、「コピー」からパワーポイントの新しいスライドにペーストすると、それがそのままスライドに表示されます。
さらに、グラフやチャートを活用して視覚的に分析結果を示すことで、視覚情報を処理する人々にとって理解しやすくなります。
エクセル上でのデザイン
一方で、エクセル上でも見栄えの良いレポートを作成することは可能です。ピヴォットテーブル上で右クリックし、「スタイルの選択」をクリックすれば、テーブルのデザインを自分好みにカスタマイズすることができます。これにより簡単に鮮やかな色や上品なグレースケール、プロフェッショナルなデザインスタイルを適用することができます。
各種形式でのエクスポート
そして、レポートとして提出する際の形式もエクセルから選択することができます。エクセル上の「ファイル」タブから「名前を付けて保存」を選び、「PDF」や「JPEG」などの形式でエクスポートすると、印刷やメール添付などでの共有が容易になります。
以上が、ピヴォットテーブルの集計結果を元にレポートを作成する基本的な手順です。キーポイントは視覚的な要素を取り入れることで、情報を効果的に伝達することが可能となります。
この記事全体を通して、ピヴォットテーブルの効率的な利用方法を学んできたはずです。これらを活用すれば、データ分析やレポート作成の業務が一段とスムーズになるはずです。ぜひ活用してください。
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