家が買いにくくなったかどうかは、価格だけを見ても分かりません。値段が2倍になっても給料が2倍になっていれば、買いやすさは変わらないからです。
今回の軸は、OECDが公表している住宅価格対所得比。住宅価格指数を、世帯1人あたりの可処分所得の指数で割った数字で、2015年を100としています。150なら「2015年に比べて、所得に対する住宅価格が1.5倍になった」という意味です。
OECD加盟国を中心とする36か国が対象で、各国の最新四半期の値を使いました。OECD全体の平均は114.1です。
※数値はOECD「Analytical house price indicators」より、各国の最新四半期の値。指数はいずれも2015年=100です。時点は国によって2025年1〜3月期から2026年4〜6月期まで幅があります。
| 順位 | 国名 | 住宅価格対所得比(2015年=100) | 数値の時点 | 名目の住宅価格指数(2015年=100) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ポルトガル | 178.8 | 2026年1〜3月期 | 292.0 |
| 2位 | オランダ | 135.5 | 2025年10〜12月期 | 219.1 |
| 3位 | スペイン | 132.5 | 2026年1〜3月期 | 194.9 |
| 4位 | チェコ | 131.5 | 2026年1〜3月期 | 260.2 |
| 5位 | スイス | 129.3 | 2026年4〜6月期 | 151.2 |
| 6位 | アメリカ | 125.1 | 2026年4〜6月期 | 204.5 |
| 7位 | オーストラリア | 124.9 | 2026年1〜3月期 | 174.9 |
| 8位 | スロベニア | 124.1 | 2026年1〜3月期 | 226.9 |
| 9位 | カナダ | 120.9 | 2026年4〜6月期 | 168.1 |
| 10位 | ルクセンブルク | 120.5 | 2026年1〜3月期 | 165.8 |
11位以下は、スロバキア119.6、ギリシャ118.6、チリ118.5、ハンガリー118.4、オーストリア118.3、アイルランド118.1、リトアニア115.9、そして日本が18位で114.1と続きます。
香港とシンガポールは、この統計に収録がありません。OECDの分析対象に入っていないためで、旧版のこの記事はこの2つを1位・2位としていましたが、比較できる公的な数値はありませんでした。
表の右端は名目の住宅価格指数です。この2つを並べると、同じ「値上がり」でも中身が違うことが見えてきます。チェコは住宅価格が2.6倍(260.2)になっていますが、対所得比は131.5。所得もかなり伸びたということです。逆にスイスは価格が1.5倍(151.2)にとどまるのに、対所得比は129.3まで上がっています。
1位 ポルトガル:178.8。2位に43.3ポイント差
住宅価格対所得比は178.8。2015年に比べて、所得に対する住宅価格がおよそ1.8倍になった計算です。
2位のオランダ(135.5)との差は43.3ポイント。2位から10位までが135.5〜120.5の15ポイントのなかに収まっていることを考えると、ポルトガルだけが完全に離れています。
名目の住宅価格指数は292.0で、2015年の約2.9倍。36か国のなかで最も大きい上昇です。
2位 オランダ:135.5
住宅価格対所得比は135.5、名目の住宅価格指数は219.1で2015年の約2.2倍です。
価格の伸び(2.2倍)に対して対所得比が1.36倍にとどまっているのは、所得も伸びているから。それでも36か国では2番目に大きい数字です。
3位 スペイン:132.5
住宅価格対所得比は132.5、名目の住宅価格指数は194.9。
4位のチェコ(131.5)との差は1.0ポイントで、ほぼ並んでいます。ただし名目の価格指数はスペイン194.9に対してチェコ260.2。同じ買いにくさでも、価格の上がり方はまったく違います。
4位 チェコ:131.5。価格は2.6倍
住宅価格対所得比は131.5。名目の住宅価格指数260.2は、ポルトガル(292.0)に次いで36か国で2番目に大きい上昇です。
価格が2.6倍になりながら対所得比が1.3倍で済んでいるのは、その間に所得が約2倍に伸びたことを意味します。
5位 スイス:129.3。価格の伸びは小さいのに上位
住宅価格対所得比は129.3。ところが名目の住宅価格指数は151.2で、上位10のなかでは最も小さい上昇です。
価格が1.5倍しか上がっていないのに買いにくさが1.3倍になるということは、所得の伸びが価格に追いついていないということです。上位10のなかで、この形になっているのはスイスだけです。
6位 アメリカ:125.1
住宅価格対所得比は125.1、名目の住宅価格指数は204.5で2015年の約2倍です。
数値の時点は2026年4〜6月期と、36か国のなかで最も新しい部類に入ります。
7位 オーストラリア:124.9
住宅価格対所得比は124.9で、6位のアメリカとは0.2ポイント差。名目の住宅価格指数は174.9です。
価格の上がり方はアメリカ(204.5)より小さいのに、買いにくさはほぼ同じ。ここでもスイスと同じ構図が出ています。
8位 スロベニア:124.1
住宅価格対所得比は124.1、名目の住宅価格指数は226.9で2015年の約2.3倍です。
チェコ、スロバキア(11位・119.6)と合わせて、中欧の3か国が上位10前後に並びます。
9位 カナダ:120.9
住宅価格対所得比は120.9、名目の住宅価格指数は168.1。
7位のオーストラリアとは4.0ポイント差。移民の多い英語圏の2か国が7位・9位に並ぶ形になりました。
10位 ルクセンブルク:120.5
住宅価格対所得比は120.5、名目の住宅価格指数は165.8です。
11位のスロバキア(119.6)とは0.9ポイント差。10位前後は1ポイント未満の差で並んでおり、時点が変われば入れ替わる位置関係です。
まとめ
反対側、つまり2015年より買いやすくなった国も見ておきます。ルーマニア50.6、韓国74.9、フィンランド76.4、イタリア89.1、南アフリカ90.3、フランス92.2、スウェーデン92.5、ベルギー94.9、ポーランド97.2。この9か国は100を下回っており、所得の伸びが住宅価格の伸びを上回ったことになります。
なかでもルーマニアは50.6。名目の住宅価格指数は173.6と1.7倍に上がっているのに、対所得比は半分近くまで下がりました。韓国も74.9で、旧版がこの記事で8位に挙げていた国が、実際には36か国で下から2番目という位置にいます。
日本の住宅価格対所得比は114.1(2025年10〜12月期)で、36か国中18位。ちょうど真ん中です。名目の住宅価格指数は140.3で、2015年から4割ほど上がっています。
そしてOECD全体の平均も114.1。日本は、OECD平均とまったく同じ数字にいます。「日本の住宅は買いにくくなった」と言えるかどうかは、この10年でいえば世界の平均的な変化とほぼ同じだった、というのが数字の答えになります。
ただしこの指数が見ているのは国全体の平均です。東京23区のような一部の市場がどうなっているかは、この数字からは分かりません。
この記事の数値は、次の統計から集計しています。


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