Excelのデータのマーケットバスケット分析とアソシエーションルールの活用

Excelのデータのマーケットバスケット分析とアソシエーションルールの活用IT

1章:マーケットバスケット分析とは – 基本概念の理解

皆さまの探求への道として、この章では、マーケットバスケット分析の基本的な概念を簡単に説明します。

マーケットバスケット分析は、統計分析の手法の1つであり、購買行動の相関性や規則性を探ることに重点を置いています。具体的には、顧客がある商品を購入したときに、他のどの商品を一緒に購入する傾向があるかを探し出すことが目的となります。スーパーマーケット場面でのパンと牛乳の共購例がよく引き合いに出されます。

この分析手法は、主に小売業での販促策策定に用いられ、クロスセル(他の商品と組み合わせて販売する)やアップセル(より高価な商品への販売を促す)などの戦略を練るのに役立ちます。

ここで重要な概念となるのが、「アソシエーションルール(関連性ルール)」です。これは「商品Aを購入する顧客は、商品Bも購入する確率が高い」という形式のルールを指します。このルールを把握することで、特定の商品群の販売促進策を立案したり、新たな製品組み合わせを考え出したりすることが可能です。

しかし、マーケットバスケット分析の真髄は単に「何が一緒に買われているか」を見つけ出すことではなく、それが「偶然なのか、それとも何か特定の理由によるものなのか」を見分けることです。

また、Excelを活用することで、専門的な統計ソフトウェアがなくてもマーケットバスケット分析を行うことができます。数百から数千件程度のトランザクションデータならば十分に対応可能です。次章では、Excelを使ったマーケットバスケット分析の実施方法を紹介しますので、ぜひお楽しみに。

2章:Excelを活用したマーケットバスケット分析方法

Excelを活用することで、数千件程度のトランザクションデータのマーケットバスケット分析を容易に行えます。それでは分析の手順を見てみましょう。

1. データの整形

Excelでマーケットバスケット分析を行う際、まず始めに行うべきは、分析用のデータを整形することです。購入者ごと、またはトランザクションごとにデータが整理され、1行に1トランザクションが表示されるように整形します。データは列に商品名、そして各行には該当トランザクションで商品が購入されていれば1、購入されていなければ0を入力します。

2. 相関分析

CORREL関数を使用して、商品間の相関を計算します。この関数を使用すると、二つの範囲の間の相関(つまり一緒に買われる傾向がある度合)を計算できます。その結果、どの商品が他の商品と一緒に購入される傾向にあるかを見ることができます。

3. コンディショナルフォーマッティング

次に、Conditional Formatting(条件付き書式設定)を使用して、高い相関を持つ商品ペアを視覚的に特定します。例えば、相関係数が0.5以上のセルを赤で塗りつぶし、それ以下のセルを白で塗りつぶす等です。

4. アソシエーションルール分析

連続して、特定の商品の組み合わせが何回も購入されるかを確認します。そして、「商品Aを購入する顧客は、商品Bも購入する確率が高い」というアソシエーションルールを見つけます。

以上がExcelを用いたマーケットバスケット分析の基本的なステップです。この記事を参考に、自身のデータに対してマーケットバスケット分析を試してみてください。

次章では、具体的なケーススタディを通して、マーケットバスケット分析の活用例をご紹介します。

3章:マーケットバスケット分析の具体的なケーススタディ

理解と学習の一助となるよう、今回はあるECサイトにおけるマーケットバスケット分析の具体的なケーススタディを紹介します。本ケーススタディを通じて、マーケットバスケット分析の活用例やその効果をより具体的に理解することができます。

ECサイトにおけるマーケットバスケット分析

先の章で説明した手法を用いて、あるECサイトで販売されている複数の商品間の関連性を調査しました。分析は過去6ヵ月間の購買データ(約5000件のトランザクション)を用いて行いました。

得られた結果は、特定の商品群の同時購入率が高いというものでした。例えば、「マウス」と「キーボード」、「コーヒーメーカー」と「コーヒーフィルター」、「バーベキューグリル」と「炭」などが一緒に購入される事例が多く見られました。

マーケットバスケット分析の結果の利用

マーケットバスケット分析の結果を活用し、以下のような販売戦略を立案しました。

  • 「マウス」と「キーボード」のセット販売を提案。
  • 「コーヒーメーカー」を購入したユーザーに対して「コーヒーフィルター」のアップセルを推奨。
  • 「バーベキューグリル」の購入者に「炭」の販売を促すためのメールマーケティングを開始。

これらの戦略を導入した結果、販売数と売り上げが向上し、特に「コーヒーフィルター」のアップセルと「炭」のクロスセルによってROI(投資利益率)が大幅に向上しました。

このようにマーケットバスケット分析は、具体的な販売戦略の策定に直接役立つ情報を提供します。自社のデータに対して同様の分析を試し、競争力を強化してみてはいかがでしょうか。

次章では、「アソシエーションルール」の詳細とその活用方法について解説しますので、お見逃しなく。

4章:アソシエーションルールとその活用方法

マーケットバスケット分析には、アソシエーションルール(関連性ルール)という重要な概念が含まれます。これは、「商品Aを購入する顧客は、商品Bも購入する確率が高い」といった形式のルールを把握し、それに基づいて販売促進策を講じるといった手法を指します。

この概念は大量のデータから特定のパターンを見つけ出すことで価値を発揮し、複数の商品にまたがる売上や利益の最大化を目指します。

アソシエーションルールの計算方法

アソシエーションルールは、サポート(support)信頼度(confidence)、そしてリフト(lift)という3つの主な指標によって評価されます。

  • サポート(Support): AとBが同時に購入される確率
  • 信頼度(Confidence): Aを購入する顧客がBも購入する確率
  • リフト(Lift): Aの購入がBの購入にどれだけ影響を与えるかを示す指標

これらの値を正確に計算し理解することで、最も有効なアソシエーションルールを見つけ出すことが可能となります。

アソシエーションルールの活用方法

こうしたアソシエーションルールが得られれば、それを元に様々な販売戦略を考えることができます。一般的な活用方法としては以下のようなものが考えられます。

  • セット販売の提案: 同時に購入する確率が高い商品をセットで販売することにより、売上アップを図る。なお、セット価格は個別に購入するよりも若干安く設定されることが一般的です。
  • クロスセル・アップセルの活用: ある商品を購入した顧客に対して、それと関連性の高い他の商品を推奨し、追加購入を促す。
  • 商品レイアウトの最適化: ECサイトにおいては、同時に購入される傾向のある商品を一緒に表示することで、ユーザーの購買意欲を高める。

以上がアソシエーションルールの基本的な活用方法です。このように具体的なルールを把握し活用することで、顧客の購買行動を理解し、価値ある洞察を得ることが可能となります。

試してみて効果のないルールもあれば、予期せぬ好結果をもたらすルールも存在します。大切なのは購買行動の変化を見つめ続け、データに基づいた判断を行うことです。次章では、Excelを活用したアソシエーションルール分析の例について解説します。お見逃しなく!

5章:Excelのデータを用いたアソシエーションルール分析とその活用例

続いて、Excelを用いて、具体的にアソシエーションルール分析を行う手順と、その活用例について話を進めていきましょう。

アソシエーションルール分析の手順

Excel中でアソシエーションルール分析を行うためには、以下のステップを実施します。

  1. データの準備:アソシエーションルール分析を行うためには、トランザクションデータが必要です。商品名とそれが売れた(または売れなかった)情報が列になっているような形式が適しています。
  2. 相関係数の計算:ExcelのCORREL関数を利用して、商品間の相関係数を計算します。
  3. アソシエーションルールの抽出:上で計算した相関係数を基に、アソシエーションルールを抽出します。ここで抽出するルールは、相関係数が高い商品ペア,つまり一緒に購入される可能性が高い商品ペアを探すことが目的です。

アソシエーションルール分析の活用例

以下に、アソシエーションルール分析の一例を述べます。

我々は、スーパーマーケットの商品データを用いてアソシエーションルール分析を行いました。その結果、「パン」と「バター」、「ワイン」と「チーズ」等、特定の商品の組み合わせが一緒に購入される場合が多く見られました。この情報を元にマーケティングチームが制定した戦略は以下の通りです。

  • 「パン」と「バター」をセットで販売し、価格を若干抑えたプロモーションを行う。
  • 「ワイン」を購入した顧客に対して、「チーズ」のクロスセルを推奨。

この戦略の導入後、アソシエーションルールに基づく商品の販売が増加し、全体の売上が6%向上しました。

以上がExcelを使ったアソシエーションルール分析の手順と、その具体的な活用例です。こうした分析を行うことで、組織の売上向上や顧客満足度の向上に貢献可能です。分かりやすいツールであるExcelを活用して、ぜひアソシエーションルール分析を試してみてください。

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