Excelのデータのテキスト前処理とトピックモデリングのステップ

Excelのデータのテキスト前処理とトピックモデリングのステップIT

1章:Excelとデータのテキスト前処理について理解しよう

知らぬ間にデジタル化が進み、ビジネスの現場でも様々なデータが存在します。これらのデータをどう活用するかは、あなたの仕事の生産性を大いに左右します。そして、中でも最も多く手にするであろうデータ形式がテキストデータです。顧客からのフィードバック、商品レビュー、セールスレポートなど、そこにはビジネスの成功につながる様々なインサイトが隠されています。

しかし、そのままのテキストデータでは情報を具体的に把握したり、分析したりすることが難しい場合があります。これが、データの「前処理」が必要とされる理由です。具体的には、テキストデータから必要な部分を抽出したり、不要な部分を削除したり、形態素解析を行なったり、係り受け解析を行なったり、情報抽出したり、意味分析を行なったりする作業が含まれます。

前処理を行うツールは様々ですが、身近にあって便利なものといえばExcelです。Excelは、その優れたデータ操作機能により、前処理に必要な作業を手軽に、そして高度に行うことができます。この章では、Excelを使ったテキストデータの前処理について解説します。

Excelは、その豊富な機能と操作性の良さから、世界中のビジネスマンに広く利用されています。特にデータの整理や解析に関しては、表計算ソフトとしての基本的な機能はもとより、数々のアドインやVBA(Visual Basic for Applications)を利用することで、一層処理が容易になります。

しかし、その豊富な機能ゆえに、初めて使うときはその使い方に戸惑うこともあるでしょう。それもそのはず、Excelは文字通り数百の機能を持っており、その全てを理解するのは至難の技です。ですがなんの心配もありません、このブログでは、あなたがテキストデータの前処理を効率良く行えるよう、必要な知識とスキルを身に着けることができます。

ここからは、Excelを使ってテキストデータをどのように前処理するのか、その方法と理論を学んでいきましょう。

2章:Excelで行うテキスト前処理の基本操作をマスター

本章では、Excelを用いたテキストデータの前処理の基本操作を解説いたします。具体的には、「テキストの分割」、「テキストの結合」、「テキストの検索と置換」の3つを取り上げます。

テキストの分割

まず最初に、「テキストの分割」について説明します。「テキストの分割」は、一つのセルに入っているテキストを、特定の区切り文字を基に複数のセルに分ける機能です。

この操作は、”データ”タブから”テキストを列に分割”を選択することで行えます。具体的には、”区切り位置”を選択して”次へ”をクリックし、区切り文字を指定した後、再び”次へ”をクリックすることでデータ型を指定し、”完了”をクリックします。

テキストの結合

次に、”テキストの結合”です。これは、複数のセルに分散しているテキストを一つのセルにまとめる機能です。この操作は、”CONCATENATE”関数または”&”記号を用いて行います。

具体的には、”CONCATENATE(セル1,セル2,…)”というように入力すると、指定したセルのテキストが連結されます。また、”&”記号を用いる場合は、「セル1 & セル2 & …」というように入力します。

テキストの検索と置換

最後に、「テキストの検索と置換」を説明します。これは、特定の文字やフレーズを検索し、それを別の文字やフレーズに置換する機能です。

この操作は、「ホーム」タブから「検索と選択」をクリックして「置換」を選択します。そして、「検索する文字列」に検索したいテキスト、「置換後の文字列」に置換するテキストを入力し、「すべて置換」をクリックすることで、一括置換が可能です。

以上の3つが、Excelを使ったテキスト前処理の基本操作です。次章では、より高度なテキスト前処理のテクニックを紹介しますので、お楽しみに!

3章:Excelにおける高度なテキスト前処理テクニック

2章では基本的なテキスト前処理操作について解説しました。しかし、テキストデータの前処理にはもっと高度なテクニックが求められることがあります。今回は、そのような高度なテクニックの中から、「大文字・小文字の統一」、「特殊文字の削除」、「キーワードによるフィルタリング」の3つを紹介します。

大文字・小文字の統一

テキストデータは大小文字が混在していることが多く、同じ単語でも大文字始まりと小文字始まりが混在していると別の単語としてカウントされてしまいます。これを解決するために、全部を大文字または小文字に統一することがあります。

Excelでは”UPPER”関数や”LOWER”関数を用いてこれを行います。”UPPER(セル)”とするとセル内の英字がすべて大文字となり、”LOWER(セル)”とすると小文字となります。

特殊文字の削除

次に、特殊文字の削除です。意味分析を行う際に、特殊文字(@,#,$等)が含まれていると邪魔になることがあります。そのような場合、特殊文字だけを一括で削除することが求められます。

Excelでは”SUBSTITUTE”関数を用いることでこれを実現できます。例えば、”SUBSTITUTE(セル,”@”,””)”とすると、指定したセル内の”@”をすべて削除します。もし複数の特殊文字を削除したい場合は、”SUBSTITUTE”関数をネストすれば可能です。

キーワードによるフィルタリング

最後に、キーワードによるフィルタリングです。特定のキーワードを含むデータだけを抽出したり、あるいは特定のキーワードを含むデータを除外したりすることがあります。

Excelでは「データ」タブから「フィルタ」を選択し、該当列のフィルタアイコンをクリックすることで、「テキストフィルタ」のメニューが表示されます。ここでは「等しい」、「含む」、「始まる」、「終わる」など、様々なフィルタリング条件を設定できます。

この章では高度なテキスト前処理テクニックを紹介しましたが、Excelの持つ可能性はもっと広がります。複雑なケースに対応するためには、VBAを用いたプログラミングが必要になることも多いです。しかし、一旦自分の目の前の課題を解決するためには、少なくともこれらのテクニックが使えれば大抵の問題はクリアできるはずです。

次章では、これまで学んだテキストの前処理技術を活用してトピックモデリングに取り組む方法について説明します。

4章:Excelでのトピックモデリング入門

この章では、前処理したテキストデータから、その主要なトピックや話題を抽出する「トピックモデリング」について解説します。トピックモデリングは、大量のテキストデータに隠れた構造を可視化するための有効な手段であり、社内文書の整理やSNSの投稿分析、市場調査などにも応用されています。

Excelでトピックモデリングを始める前に

まず重要な点として、Excelは基本的なデータ解析と整形のためのツールであり、高度な自然言語処理や機械学習機能は持っていません。そのため、Excel単体ではトピックモデリングを実行することはできません。しかし、一部のアドインや外部ツールを使えば、Excel内でトピックモデリングの一部を行うことが可能です。

ワードクラウドによる可視化

Excelでは「WordArt」を利用して、手動でワードクラウドを作成することができます。これを利用することで、テキストデータ内の頻出語を視覚的に表現し、それらが大まかにどのようなトピックを形成しているのかを把握することが可能となります。ただし、この方法は大量のテキストデータに対しては手間がかかるため、小規模なデータセットでの利用が適しています。

外部ツールとの連携

高度なトピックモデリングを行うためには、PythonやRといったプログラミング言語で提供されているライブラリ(例えば、Pythonの「Gensim」など)を使うのが一般的です。これらのツールは高度な自然言語処理と機械学習機能をもっており、大量のテキストデータから主要なトピックを抽出することが可能です。

Excelのデータをこれらのツールに取り込んで分析を行った後、その結果をExcelに戻すというフローで運用することが考えられます。具体的なフローとしては、Excelでテキストデータの前処理を行い、その結果をCSVファイルなどにエクスポートします。それをPythonやRで読み込み、トピックモデリングを行った後、その結果を再びCSVファイルに保存し、Excelで読み込む、といった流れです。

なお、このような作業フローをスムーズにするためには、プログラミングスキルが必要になります。PythonやRの基本的な実装スキルを身に付けておくことをお勧めします。

最後に、すべてのデータ解析は目的と課題によります。どのような手段・ツールを使うかは、あなたがどのような問いを解きたいのか、どの程度の時間とリソースがあるのかによって決定されます。テキストデータの前処理からトピックモデリングまで、自分にとって最適な道筋を見つけることが重要です。

5章:実例を通じて学ぶExcelによるトピックモデリングの歩き方

ここでは具体例を交えながら、Excelでのテキスト前処理とトピックモデリングの基本的なフローを見ていきましょう。

1. データの読み込み

分析の出発点となるテキストデータをExcelに読み込みます。これは「データ」タブから「外部データ取得」を選択し、データの格納場所を指定することで行えます。

2. データの前処理

次に、2章と3章で学んだテキスト前処理を行います。不要な文字の削除、大文字小文字の統一、特殊文字の削除等を行い、テキストデータを解析しやすい状態に変換します。さらに、「特定の単語を含む行を抽出」「フレーズの削除」など、課題に応じた前処理も忘れずに行ってください。

3. トピックの抽出

Excel単体では手間がかかるトピック抽出ですが、”Word Art”を利用して頻出語を把握したり、Python等のプログラミング言語を使用してトピックモデリングを行ったりします。ここでは、Pythonの「Gensim」等の自然言語処理ライブラリを利用してトピックの抽出を行います。

4. 結果の解釈と報告

最後に、得られた結果を解釈し、それを元にレポートを作成します。「Gensim」で得られた結果をExcelに読み込み、それをもとにグラフを作成したり、詳細な分析を行います。

それぞれのステップで具体的な操作方法やコード例は本稿の範囲を超えてしまうため省略しますが、インターネット上には詳しいチュートリアルや解説が数多く存在しますので自分自身で学ぶことが求められます。

テキスト前処理とトピックモデリングは、ビッグデータ時代の重要なスキルの一つです。Excelをはじめとする身近なツールを駆使して、多様なテキストデータからビジネスに活かせる新たな知見を引き出してみてください。

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