Excelのデータのテキスト解析とキーワード抽出のテクニック

Excelのデータのテキスト解析とキーワード抽出のテクニックIT

1章: Excelにおけるテキスト解析の基本

Microsoft Excelは、世界中で使われているスプレッドシートソフトウェアであり、データの管理、集計、分析に広く使用されています。しかし、そのユーザーの中には、Excelがテキストデータの解析にも利用できるという事実を知らない人も多いのではないでしょうか。

テキスト解析は、大量のテキストデータから有用な情報を見つけ出し、抽出する技術のことを指します。この章では、Excelでテキスト解析を行う基本的なテクニックについて解説します

なぜExcelはテキスト解析に適しているのか?

Excelは元々数字に強いソフトウェアです。一方で、その文字列操作機能も非常に強力で、特定のキーワードの数を数えたり、テキストを分割したり、特定のパターンを見つけ出したりといった操作が容易にできます。

さらに、ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、プログラミングスキルがなくてもテキスト解析を始めることができます。

Excelのテキスト解析の基本

Excelには、テキスト解析に有用な数々の関数が備わっています。そして、それら全てを覚える必要はありません。実際に、日々の仕事で頻繁に使用される関数は少数です。具体的な関数については次章以降で詳しく解説しますが、ここでは以下の基本的な3つのテキスト解析の方針を覚えておくことをお勧めします。

  1. 「何」を探す:特定の単語やフレーズを見つけるためには何が必要でしょうか?それは必ずしも1つの関数だけでなく、複数の関数の組み合わせによって解決することが多いです。
  2. 「どこ」を探す:対象のテキストデータ全体から特定の部分を探し出すためには、検索範囲を設定するスキルが重要です。これもまた、一般的には複数の関数の組み合わせで達成されます。
  3. 「いつ」探す:テキスト中に出現する特定の単語やフレーズの出現頻度を分析するためには、頻度分析の技術を用いることが有効です。時間の経過とともにキーワードの使用がどのように変化するかを解析して、ビジネスの動向をつかむことも可能です。

以上がExcelでテキスト解析を始める基本的な考え方です。次章では、実際のデータの前処理方法について詳しく解説します。

2章: データの整理と前処理方法

前章では、Excelでテキスト解析を行う基本的な方針を学びました。ここでは、データの整理と前処理方法について見ていきましょう。データ解析における前処理は、実は全体の作業時間の約80%を占めるといわれています。一見面倒な作業かもしれませんが、適切にデータ前処理を行うことで、より正確で信頼性の高い解析結果を得ることが可能になります。

テキストデータの清掃

初めにExcelに取り込むテキストデータを確認し、不必要なスペースの除去文字の大文字・小文字の揃えなどを行います。これはTRIM関数、PROPER関数、UPPER関数、LOWER関数などを用いることで可能です。特にテキスト解析では大小文字が区別されるので、事前に揃えておくと解析の精度が上がります。

テキストの区切り

区切り文字で複数のテキストが一緒になっている場合、それを適切に分割する必要があります。これにはExcelのTEXT TO COLUMNS機能を使用します。区切り文字としてはコンマ、スペース、タブなど様々なものがあり、原則としてデータに適したものを選択します。

欠損値の処理

テキストデータ解析においても欠損値の存在は無視できません。欠損値に対する対策としては、そのままで処理を進める、欠損値の削除、欠損値の補填などが考えられます。ExcelではISBLANK関数を用いて欠損値の確認が可能で、データの特性により適切な処理を行うことが求められます。

テキストデータの絞り込み

解析しようとするテキストデータが非常に大量である場合、対象とするデータを絞り込むことが有効です。例えば特定のキーワードを含むデータのみを抽出したり、ある範囲の文字数のテキストだけを対象にしたりすることが可能です。これにはExcelのフィルタリング機能を活用します。

以上のように、テキストデータの整理と前処理は、解析作業全体のなかでも非常に重要な部分を占めています。次の章では、これらを活かしてExcelで使用する便利なテキスト解析機能について詳しくみていきましょう。

3章: Excelにおける便利なテキスト解析機能

Excelには、様々なテキスト解析機能が備わっています。これらの機能を駆使することで、データから有益な情報を抽出することが可能です。ここでは、特に便利とされるテキスト解析機能をいくつか紹介していきます。

1. LEFT, RIGHT, MID関数

これらの関数は、指定した文字列から特定の位置にある文字を抽出するのに使われます。例えば、LEFT関数は文字列の左から指定した数の文字を抽出します。RIGHT関数は右から、MID関数は指定した位置から文字を抽出します。これらの関数は、特定の位置に情報が固定して入っているデータの解析に非常に便利です。

2. LEN関数

LEN関数は文字列の長さ、つまり文字数を求めるのに使用します。ツイートの文字数分析などに利用することができます。

3. SUBSTITUTE関数

SUBSTITUTE関数は、文字列中の特定の文字や文字列を別の文字や文字列に置換する関数です。一部の表記の揺れを統一したい際などに有効です。

4. REPLACE関数

REPLACE関数は、文字列の特定の位置から特定の長さの部分を、別の文字列に置き換える関数です。SUBSTITUTE関数とは異なり、置換対象の文字や文字列を指定するのではなく、置換開始位置と長さを指定して置換します。

5. FIND, SEARCH関数

FIND関数とSEARCH関数は、文字列中に特定の文字列が最初に出現する位置を返す関数です。これらを利用すると、特定のキーワードがテキスト中のどの位置にあるのかを調べることができます。

6. COUNTIF関数

COUNTIF関数は条件に一致するセルの数を数える関数です。テキスト解析においては、“あるキーワードがいくつ含まれるか”といった調査に利用できます。

以上がExcelでのテキスト解析に有用な主な機能一覧です。次章では、これらの機能を組み合わせて使いこなす高度なキーワード抽出のテクニックについて解説します。データ解析の世界は深く、学べば学ぶほど新たな発見があります。これらの知識を活かして、日々の業務に役立てていきましょう。

4章: 高度なキーワード抽出のテクニック

これまでExcelのテキスト解析の基本、データの前処理方法、および主なテキスト解析機能について見てきました。最後に、これらを組み合わせた高度なキーワード抽出のテクニックについて解説します。

1. キーワードの頻度分析

キーワードの抽出において最も基本となるのが、「どのキーワードがどれだけ頻繁に現れるのか」を知ることです。KITEN関数やCOUNTIF関数を使い、特定の単語やフレーズがテキストに何回現れるのかカウントします。そして、その結果をもとに一覧表やグラフを作成することで、キーワードの出現状況を視覚的に理解することが可能です。

2. 含む・含まないでデータの分割

特定のキーワードを含むデータと含まないデータで分割するという方法があります。これにはIF関数とFIND関数やSEARCH関数を組み合わせます。例えば、”Excel”という単語が含まれるデータと含まれないデータで分割し、それぞれの集団における特性の違いを分析することが可能です。

3. キーワードの前後のテキスト抽出

特定のキーワードの前後にあるテキストを抽出するテクニックも有用です。たとえば、”Excel”という単語の前後10文字を抽出するという分析が考えられます。これにはMID関数とFIND関数あるいはSEARCH関数を組み合わせて使用します。この解析を行うことで、キーワードがどのような文脈で使われているのかを掴むことができます。

ここで紹介したテクニックは一部ですが、複雑なテキスト解析を行うためには、これらのテクニックを組み合わせることが一般的です。テキストデータは非常に多様で一貫性がないことが多いので、それに合わせて解析方法もフレキシブルに対応する必要があります。

Excelはその使い勝手の良さから、データ解析の初心者からプロのデータアナリストまで幅広く使われています。しかし、その便利さを十分に活かせるかは使いこなすスキル次第です。これまで学んだ知識とテクニックを活かし、効率的で有意義なデータ解析を行ってください。

5章: サンプルで理解する、テキスト解析とキーワード抽出の実用例

本章では、これまで学んだExcelのテキスト解析とキーワード抽出のテクニックを使った実用例を、具体的なサンプルを通して理解していきましょう。今回の例では、以下のデータを用います。

  • 社内のプロジェクト報告書のテキストデータ(Excelシートに保存)
  • キーワード: “決定”, “変更”, “優先”

今回の目標は、各報告書から上記のキーワードを抽出し、それらのキーワードの出現頻度を分析することです。

Step 1: 前処理

まずはじめに、テキストデータの前処理をします。使用するデータは長大な文章で構成されていますので、TRIM関数を使って不要なスペースを削除し、UPPER関数を使って全ての文字を大文字に揃えます。

Step 2: キーワード抽出

次に、指定したキーワードを抽出します。この作業にはFIND関数とMID関数を組み合わせて使用します。FIND関数を使ってキーワード”決定”、”変更”、”優先”が初めて登場する位置を求め、その位置をMID関数の引数として指定します。そうすることで、指定したキーワードを含む部分文字列を抽出することが可能です。

Step 3: 頻度分析

キーワード抽出後は、COUNTIF関数を使って各キーワードの出現頻度を計算します。抽出したキーワードを条件に指定し、カウント範囲に報告書のテキストデータが入った列全体を指定します。

以上の手順を踏むことにより、報告書の中で”決定”、”変更”、”優先”というキーワードがどれだけ使われたか、頻度分析で一目瞭然となります。これらの情報から、例えばプロジェクトの進捗状況や問題点などを読み解くことが可能となります。

本章で紹介した例は、Excelでのテキスト解析とキーワード抽出の一例です。各人の業務や目的に応じて解析内容は異なるため、本記事で学んだ知識と技術をベースに、より効率的なデータ解析を行えることを願っています。

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