Excelの便利な関数を知ろう:MATCHとXLOOKUPの概要と基本操作
世界中のサラリーマンにとって、Excelは業務には欠かせないツールの1つです。特にデータの集計や分析といった業務において、Excelの機能を的確に使いこなせるかどうかは大きな差を生む場合があります。
その中でも、一度理解してしまえばデータ処理作業の効率化に大いに貢献する、MATCH関数とXLOOKUP関数についてご紹介します。
MATCH関数とは、指定した値と同じ値がリスト内にどこにあるか(何番目に位置するか)を返すExcel関数です。例えば、売り上げのテーブルがあり、特定の商品がテーブルのどの行にあるか調べたいときに使います。
=MATCH(検索値,検索範囲,一致の種類)
ここで、検索値は該当データを、検索範囲はそのデータが存在する範囲を指定します。そして、一致の種類は検索の方法を指定します。0は完全一致、1は最小の大きさの値と一致、-1は最大の小ささの値と一致を検索します。具体的な使い方は2章で詳しく解説します。
一方、XLOOKUP関数は、指定した値と一致、または最も近い値を検索範囲(リスト)から検索し、それと同じ行または列にある値を別の範囲(リスト)から返す関数です。
=XLOOKUP(検索値,検索範囲,戻り値範囲,エラー値,一致の種類,検索の方向)
ここで、検索値は該当データを、検索範囲はそのデータが存在する範囲を指定し、戻り値範囲は該当データに対して何を返したいかを指定します。エラー値は検索する値が見つからなかったときの返り値を、一致の種類と検索の方向はそれぞれ検索ロジックと検索の方向を指定します。具体的な使い方は3章で詳しく解説します。
これらの関数を使いこなせば、時間を大幅に節約し、業務効率を上げることが可能です。2章以降では、具体的な使い方と活用方法を解説していきます。
テーブル検索を素早く行うMATCH関数の魔力
MATCH関数の使い方を具体的に学びましょう。データセット内で特定のデータの位置を素早く知りたいときには、MATCH関数が大変便利です。
例えば、「商品A」の売り上げデータがテーブルの何行目にあるのかを調べたい場合のMATCH関数の使い方は次のようになります。
=MATCH(“商品A”, A1:A10, 0)
この式では、「商品A」がA1からA10にある範囲内のどの位置にあるのかを探しています。0は完全一致を意味しますので、完全に「商品A」に一致するセルの位置を返します。
該当するデータがない場合にはエラー(#N/A)を返します。これは、「商品A」がリスト内に存在しないことを示しています。
MATCH関数の最大の魔力は、検索値と一致するデータが何番目にあるかを教えてくれるという点にあります。これにより、大量のデータから特定の情報を素早く探し出すことが可能になります。
また、MATCH関数は、検索範囲内で検索値に最も近い値を見つける機能も持っています。検索の種類に1か-1を指定すると、代替の検索値が使用可能です。ただし、この場合、検索範囲は昇順または降順にソートされている必要があります。
例えば、以下のような式で、最も近い値を見つけることができます。
=MATCH(C1, A1:A10, 1)
この場合、C1の値を、昇順にソートされたA1からA10の範囲で、C1の値以上の中で最小の値が何番目にあるかを見つけます。
このように、MATCH関数はデータ検索における先駆け的な役割を果たすため、データセット全体を把握する上で非常に要点となります。
次章では、より複雑な検索を可能にするXLOOKUP関数について解説します。
複雑なデータ参照も一瞬で終わらせるXLOOKUP関数の実践テクニック
前章ではテーブル検索を素早く行うMATCH関数について学びましたが、今回はMATCH関数よりさらに高度な検索、複雑なデータ参照を可能にするXLOOKUP関数を取り上げます。
XLOOKUP関数は、複数の列に跨るリスト内から特定のデータを取り出す場合に便利な関数です。
例えば、商品名に対応する価格を返すようなタスクがあるときに、ある商品が商品リストの中の何行目にあるかまずMATCH関数を使って見つけ、次にINDEX関数でその行の価格情報を取得する、といった2段階の作業をせずに、一度に目的のデータまで辿り着くことができます。
=XLOOKUP(“商品A”, A1:A10, B1:B10)
上記の式では、「商品A」が存在する行の「商品価格」を提供します。すなわち、商品名がリストA1:A10の中で見つかったら、その行のB1:B10から価格を返します。
また、XLOOKUP関数の強力な特性の1つは、エラー値の設定も可能です。先程の例でいうと、「商品A」が見つからない場合にはエラー(#N/A)が返るのではなく、設定した特定の値を返すことが可能です。
=XLOOKUP(“商品A”, A1:A10, B1:B10, “該当なし”)
以上のようにすると、「商品A」がA1:A10の範囲に存在しない場合、「該当なし」という結果を返すことができます。これは、エラー処理を手軽に行うための非常に有用な機能であり、作業効率を大幅に上げることが可能です。
XLOOKUP関数のもう一つの利点は、検索の方向を選択できることです。従来のVLOOKUP関数やHLOOKUP関数では、最初の列や行しか検索対象とすることができませんでしたが、XLOOKUP関数では任意の列や行から検索を開始することが可能です。
以上のように、XLOOKUP関数はExcelで複雑な検索をする際の強力なツールであり、これ一つで多くの検索・データ参照タスクを一瞬で終わらせることができます。
次の章では、これまで学んだMATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせて使う高度なテクニックについて解説します。
MATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせたデータ検索・交換の効率的な手法
これまでの章では、Excelの強力なデータ検索ツールであるMATCH関数とXLOOKUP関数の基本的な使い方を学びました。4章では、これら二つの関数を組み合わせて使うことで、より高度で複雑なデータ検索や参照をおこなうテクニックについて解説します。
多次元のデータセットを扱っている場合、特定の条件にマッチするデータを《行》と《列》の両方で同時に検索し、その交点にあるデータを取り出したいという状況が頻繁に生じます。こういう時にMATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせることで、これらの要求を一度にかなえることができます。
例えば、特定の日付と商品名に対応する売上を調べたい場合、次のようにして検索を行うことができます。
=XLOOKUP(“商品A”, A1:A10, INDEX(B1:H10, MATCH(“2021/5/1”, B1:H1, 0)))
ここでは、まずMATCH関数で”2021/5/1″がエクセルの行B1からH1までの範囲で何列目にあるかを検索しています。次に、その結果をINDEX関数に渡し、B1:H10からその列全体を取り出しています。最後に、XLOOKUP関数で、その中から”商品A”に対応する売り上げを取り出しています。
このテクニックを使うことで、MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせだけで、Excelの二次元のデータを自由自在に検索・参照することが可能となります。これにより、データ分析や報告の作成などにかかる作業時間を大幅に短縮することができます。
ただし、この手法を用いる場合、関数の入れ子構造が複雑になるため、困難に感じる方もいるかもしれません。ですが、一度理解と習熟をすれば、各種問題への応用範囲が広いため、忍耐強く学んでみてください。
これまでに学んだことを実際の業務や日常の作業にどのように応用できるかを、次章では事例を通じて解説します。
ExcelのMATCH関数とXLOOKUP関数による時間短縮と業務効率化の実例解説
これまでの章で見てきたように、ExcelのMATCH関数とXLOOKUP関数は、複雑なデータ検索や参照を容易に行える強力なツールです。しかし、これらの関数の真の力を引き出すためには、具体的な業務状況にどのように利用すればよいかを理解することが必要です。
そこでこの章では、実際の業務シーンでのMATCH関数とXLOOKUP関数の具体的な活用法について解説します。
時間の節約:大量データの高速検索
一般的に業務で扱うデータ量は膨大です。このような大量のデータを人力で直接検索しようとすると、時間がかかりすぎて作業効率が悪くなります。また、検索結果の信頼性も担保できません。
ここでMATCH関数やXLOOKUP関数を利用すると、大量のデータでも瞬時に検索が可能になるため、大幅に時間を節約することが出来ます。
業務効率化:納期管理
商品やプロジェクトの納期を管理する際にも、MATCH関数やXLOOKUP関数の活用は業務効率を高めます。例えば、複数のプロジェクトにおける納品日や、そのプロジェクト担当者の名前、プロジェクトの進行状況などの情報を指定して、一次元または二次元の表から該当データを即座に引き出すことができます。
これにより、的確な情報共有が可能となり、業務の遂行がスムーズになります。
業務品質の向上:エラーハンドリング
Excelの関数を活用したはるかに視覚的なエラーハンドリングは、業務品質の向上に貢献します。XLOOKUP関数では、指定した検索キーが存在しない時に特定のエラーメッセージを返すことができます。これで、データエラーや欠落を瞬時に検出し、即座に対処することが可能となります。
業務の自動化:定型レポートの作成
定期的に作成する必要があるレポートの作業も、MATCH関数とXLOOKUP関数を使用することで大幅に自動化が可能になります。レポートで必要なデータを自動的に検索し、その値を元にレポートを作成することができます。
これにより、手動の作業を大幅に減らすことができ、更に信頼性を向上させることができます。
以上のような形で、ExcelのMATCH関数とXLOOKUP関数は業務の効率化と品質改善に大いに貢献します。今回学んだテクニックを使用して、日々の業務をスムーズに進めてみてください。
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