ヨーロッパで犯罪が一つの地域に集中している国ランキング【窃盗・2024年】

ヨーロッパで犯罪が一つの地域に集中している 国ランキング【窃盗・2024年】 エンタメ

ユーロスタットは、警察が記録した犯罪件数をNUTS3という地域単位(日本の県よりやや細かい区分)で公表しています。2024年の窃盗(theft)のデータは1,782の地域をカバーしています。

この地域別の数字を使って、国全体の窃盗件数のうち、最も多い1地域が何%を占めるかを計算しました。割合が高い国ほど、犯罪が一つの地域に偏っていることになります。

※本記事の数値は、ユーロスタット「Police-recorded offences by NUTS 3 region」(データセット crim_gen_reg)の2024年の窃盗(ICCS0502)および強盗(ICCS0401)の件数に基づきます。集中度は本記事で計算した数値です。

順位の決め方と、対象から外したもの

順位は最大のNUTS3地域が国全体の窃盗件数に占める割合が高い順。各国のNUTS3地域の件数を合計し、それがユーロスタットの国全体の数値と95〜105%の範囲で一致する国だけを対象にしました。地域別の数値が国全体をカバーしていない国を混ぜると、割合が意味を持たなくなるためです。

もう一つの条件がNUTS3地域が10以上ある国。地域の区分数が少ない国は、1地域のシェアが自動的に高く出ます。この条件で外れたのはラトビア(6地域・56.61%)、エストニア(6地域・50.64%)、アイルランド(8地域・50.04%)、スロバキア(8地域・22.65%)、マルタ(3地域)、アイスランド(2地域)です。また地域の合計が国全体の37.3%しかないギリシャ、逆に106.2%になるスウェーデンも外しました。残る23の国が対象です。

なおイギリスはユーロスタットの集計対象ではありません。EU離脱後、このデータセットに英国の数値は収録されていません。

順位 国 最大地域のシェア(窃盗) 最大の地域 その地域の件数/国全体 NUTS3地域の数 強盗のシェア
1 リトアニア 48.06% ヴィリニュス県 5,673件/11,805件 10 52.98%
2 スロベニア 47.42% 中央スロベニア 12,356件/26,057件 13 52.51%
3 フィンランド 41.95% ヘルシンキ・ウーシマー 53,531件/127,600件 20 48.84%
4 アルバニア 40.13% ティラナ 803件/2,001件 12 46.25%
5 オーストリア 37.84% ウィーン 40,890件/108,072件 35 56.36%
6 セルビア 34.40% ベオグラード地域 4,790件/13,923件 25 47.04%
7 デンマーク 32.02% コペンハーゲン市 50,067件/156,382件 12 31.09%
8 ブルガリア 30.93% ソフィア市 7,601件/24,575件 28 37.46%
9 クロアチア 30.10% ザグレブ市 3,498件/11,621件 21 64.15%
10 ベルギー 30.01% ブリュッセル首都圏 58,806件/195,924件 45 40.74%

上位10ではすべての国で最大の地域が首都を含む地域でした。強盗のシェアは10か国のうち9か国で窃盗より高く、強盗のほうが1地域に集まりやすい傾向が出ています。

第1位 リトアニア:48.06%

国全体1万1,805件のうち、ヴィリニュス県が5,673件。国の窃盗のほぼ半分が1地域で起きています。2位の中部カウナス県は2,808件で、ヴィリニュス県の半分以下です。

強盗のシェアは52.98%(178件/336件)で、窃盗よりさらに高い。NUTS3地域は10で、本記事の条件(10以上)をちょうど満たす国です。2位のスロベニアとの差は0.64ポイントしかありません。

第2位 スロベニア:47.42%

国全体2万6,057件のうち、首都リュブリャナを含む中央スロベニア地域が1万2,356件。2位の南東スロベニア(2,797件)の4.4倍です。

強盗のシェアは52.51%(157件/299件)。1位のリトアニアとほぼ同じ構図で、窃盗・強盗ともに半分前後が1地域という形になっています。3位のフィンランドとの差は5.47ポイント。

第3位 フィンランド:41.95%

国全体12万7,600件のうち、ヘルシンキ・ウーシマー地域が5万3,531件。2位のピルカンマー(1万1,718件)の4.6倍で、この倍率は上位10のなかで2番目に大きい開きです(最大はオーストリアの4.9倍)。

強盗のシェアは48.84%(1,266件/2,592件)。NUTS3地域は20で、地域数が20以上ある国のなかでは最も集中度が高い国になります。4位のアルバニアとの差は1.82ポイント。

第4位 アルバニア:40.13%

国全体2,001件のうちティラナが803件。国全体の件数が上位10のなかで最も少なく、2位のドゥラス(283件)、3位のヴロラ(180件)と合わせても1,266件です。

件数の規模が小さいぶん、1件の増減が割合を動かしやすい点は注意が必要です。強盗のシェアは46.25%(37件/80件)で、こちらは分母が80件しかありません。

第5位 オーストリア:37.84%

国全体10万8,072件のうちウィーンが4万890件。2位のリンツ・ヴェルス(8,271件)の4.9倍です。

強盗のシェアは56.36%(1,683件/2,986件)で、上位10のなかで2番目に高い数字。NUTS3地域が35もあるなかで37.84%を1地域が占めており、地域数が多い国としては際立った集中度です。6位のセルビアとの差は3.44ポイント。

第6位 セルビア:34.40%

国全体1万3,923件のうちベオグラード地域が4,790件。2位の南バチュカ地域(2,825件)との差は1.7倍で、上位10のなかでは1位と2位の差が最も小さい国です。

強盗のシェアは47.04%(270件/574件)。7位のデンマークとの差は2.38ポイントです。

第7位 デンマーク:32.02%

国全体15万6,382件のうちコペンハーゲン市が5万67件。3位にコペンハーゲン郊外(1万7,475件)も入っており、この2地域を合わせると43.2%になります。

強盗のシェアは31.09%(452件/1,454件)で、窃盗のシェア(32.02%)をわずかに下回ります。上位10のなかで強盗のシェアが窃盗のシェアを下回るのは、デンマークだけです。8位のブルガリアとの差は1.09ポイント。

第8位 ブルガリア:30.93%

国全体2万4,575件のうちソフィア市が7,601件。2位のヴァルナ(2,805件)の2.7倍です。

強盗のシェアは37.46%(342件/913件)で、窃盗より6.5ポイント高い。NUTS3地域は28で、9位のクロアチアとの差は0.83ポイントでした。

第9位 クロアチア:30.10%

国全体1万1,621件のうちザグレブ市が3,498件。2位のスプリト・ダルマチア郡(1,367件)の2.6倍です。

目を引くのは強盗のシェアで、64.15%(485件/756件)。これは上位10のなかで最も高い数字で、窃盗のシェア(30.10%)の2.1倍にあたります。窃盗は分散しているが強盗は首都に集まるという形がはっきり出ています。

第10位 ベルギー:30.01%

国全体19万5,924件のうちブリュッセル首都圏が5万8,806件。2位のアントワープ郡(2万2,249件)の2.6倍です。

NUTS3地域は45で、上位10のなかで最も多い区分数。それでも1地域が30%を占めています。強盗のシェアは40.74%(5,601件/1万3,747件)。9位のクロアチアとの差は0.09ポイントしかなく、この2国は実質的に並んでいます。11位はスペイン(29.80%)で、ベルギーとの差は0.21ポイントです。

まとめ

反対側、つまり窃盗が全国に分散している国も見ておきます。最も分散しているのはトルコ(最大地域カフラマンマラシュで6.13%、81地域)、次いでフランス(パリで10.03%、101地域)、ドイツ(ベルリンで10.29%、401地域)、ポーランド(ワルシャワ市で11.41%、73地域)。地域の区分数が多い国ほどシェアは低く出るので、この並びは集中の実態と区分の細かさの両方を映しています。

旧版のランキングとは顔ぶれがほぼ入れ替わります。旧版が1位としていたフランスは本記事では23か国中22位、3位のスペインは11位、4位のベルギーは10位、5位のオランダは19位(15.87%)、6位のイタリアは18位(15.91%)、9位のポルトガルは16位(24.78%)。旧版2位のイギリスは、そもそもユーロスタットのデータセットに収録がありません。

最後に、この指標の読み方を2つ。1つは地域の区分数に強く影響されることで、本記事はNUTS3地域が10以上という下限を置きました。下限を外すとラトビア(56.61%)、エストニア(50.64%)、アイルランド(50.04%)が上位3つを占め、リトアニア以下は4位からになります。もう1つは、これが件数のシェアであって人口あたりの発生率ではないこと。人口が集中している国では、犯罪件数も当然そこに集まります。「都市に犯罪が集中している」と「都市の治安が悪い」は別の話です。

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