第1章:マーケットシェア分析とは?基礎を押さえよう
あなたが営業・マーケティング、あるいは企画職に携わっているなら、一度は「マーケットシェア(市場占有率)」という言葉を耳にしたことがあるはずです。でも、「マーケットシェアって本当のところ、何を示しているの?」「それってExcelでどう扱えるの?」と感じていませんか?
この章では、実務で押さえておくべき基本中の基本、マーケットシェア分析の定義とその目的、そしてなぜビジネスにおいて重要なのかを解説します。
マーケットシェアとは何か?
マーケットシェアとは、ある市場における特定の企業・製品が占める売上や出荷数量の割合を示す指標です。数式で表すと、以下のようにシンプルに表現できます。
マーケットシェア(%) = 自社の売上(または出荷数) ÷ 市場全体の売上(または出荷数) × 100
例えば、国内で同じ商品カテゴリに属する製品全体の売上が100億円で、そのうち自社製品が20億円を占めていれば、マーケットシェアは「20%」ということになります。
なぜマーケットシェアを分析するのか?
市場での自社の立ち位置を知ることは、今後の戦略を考える上で非常に重要です。マーケットシェア分析には以下のような目的やメリットがあります。
- 自社の競争優位性を把握できる – どれだけシェアを握っているかで、業界内でのポジションが見えてきます。
- 成長チャンスを見つけやすくなる – シェアが小さいのはチャンスでもあります。どの市場で伸ばすべきかを定量的に分析できます。
- 競合分析の土台になる – ライバル企業と数字を比較することで、どこに勝っていてどこに負けているか明確になります。
- 社内説得・戦略提案の裏付けに使える – 客観的なデータとして、レポートやプレゼン資料に信頼性を加えられます。
マーケットシェア分析は「使えるスキル」
IT企業でも製造業でも、BtoBでもBtoCでも、マーケットシェアは業種を問わず活用される分析手法です。さらに、Excelだけで基本的な分析は十分可能なので、日常業務に組み込みやすいというメリットもあります。
実際、Excelを使いこなしてマーケットシェアを的確に分析できる人材は、チーム内でも重宝される存在です。特に20代の社会人にとって、自分の業務にデータ分析を活かすことで「数字で語れるビジネスマン」としての評価がぐっと高まります。
次章からは実践へステップアップ!
マーケットシェア分析の重要性と活用の場面がイメージできたところで、次の章では、実際に分析を始めるために必要な「データ収集のコツ」について詳しく解説していきます。
Excel初心者でも挫折せずに進められるよう、丁寧にステップを追いますのでご安心ください。
第2章:分析に必要なデータを集めるコツとポイント
マーケットシェア分析の出発点は「信頼できるデータの確保」です。シェアを正しく算出するには「自社の売上(または出荷数)」と「市場全体の売上(または出荷数)」という2つの軸が必要になります。この章では、Excelで分析を始める前にどんな情報を、どうやって集めれば良いのかをわかりやすく解説します。
まずは「必要なデータ」を整理しよう
マーケットシェアを算出するために最低限揃えておきたいのは、以下のような情報です。
- 自社の売上データ:部門別・商品別など可能な限り詳細に取得
- 市場全体の売上データ:業界レポートや統計データなど、信頼性のある情報源から
- 競合他社の売上や出荷数量:IR資料や業界ニュースなどが役立ちます
これらの情報が揃えば、Excelでの分析もスムーズに進みます。特に注意したいのが「データのソースが明確であること」。公的データや大手調査会社のレポートを活用すると、社内でも説得力のある分析資料になります。
信頼できるデータの集め方5選
- 業界団体・商工会議所・統計局などの公式サイト
→ 業種ごとに定期的な市場調査や統計を発表していることがあります。 - 民間の市場調査レポート
→ 野村総研、矢野経済研究所、Statistaなど、レポートを一部無料で公開しているケースも。 - 上場企業のIR資料(有価証券報告書、決算説明資料)
→ 競合他社のデータ源として非常に有効です。 - 営業現場や社内DBからの実データ
→ 自社の売上や案件数など、リアルタイムで集計できるデータは信頼性が高い。 - Google検索+サイトフィルタ
「〇〇業界 売上 site:go.jp」「〇〇市場 報告書 filetype:pdf」などで公的資料を効率的に見つけられます。
データをExcelに取り込むときの3つの注意点
いざデータをExcelに取り込む段階で、意識しておきたいポイントがあります。見落とすと分析の精度に影響するため、以下の点に注意しましょう。
- 単位を統一すること
→ 千円・百万円の混同や、台数・件数の違いに注意。誤差が大きくなりがちです。 - 期間を揃えること
→ 四半期データと年間データを混ぜてしまわないように。同じ期間で比較できるよう調整。 - フォーマットを整えること
→ 文字列と数値が混在していないか、不要な空白や改行がないかをチェック。後の関数処理に影響します。
Excelでは基本的に「整った表」としてデータを整理することが、後工程の関数やグラフ作成をスムーズにするコツです。この時点でできるだけ“クリーンなデータ”を作ることが、分析の正確性を大きく左右します。
情報の鮮度と信頼性を見極めよう
特にマーケットシェア分析では、市場環境の変化も見逃せません。たとえば1年以上前のデータは急激なトレンド変化に対応していない可能性があります。古すぎる情報は誤った戦略判断につながるので、データの「更新日」や「出典元」をきちんと記録しておくようにしましょう。
次章はいよいよExcel操作編!
ここまでで「マーケットシェア分析に必要なデータ」と「その集め方」の全体像が掴めたと思います。次の章では、実際にExcel上で分析を進めていくための基本関数やグラフ活用術を紹介します。Excelが少し苦手でも大丈夫。具体的な式や手順を一緒に見ながら、実務で使えるスキルを身につけていきましょう。
第3章:Excelで使える基本関数&グラフテクニック
さて、ここからはいよいよExcelを使った分析作業のスタートです。本章では、マーケットシェア分析に必要なExcelの基本関数やグラフの活用方法について解説します。
特にExcel初心者でも使いやすく、実務での活用頻度が高い関数を中心に、「計算」「集計」「検索」「可視化」まで、ステップを踏んでわかりやすく紹介します。
まずはこの関数をマスターしよう!3つの基本関数
マーケットシェアの計算に不可欠な「売上を集計する」「条件に応じてデータを抽出する」「他の表から見つけ出して値を引っ張ってくる」。この3つの目的にしぼり、以下の基本関数を押さえましょう。
- SUM関数:
複数の売上データを合計するときに使用します。例:=SUM(B2:B10)売上の合計や市場全体の合算など、マーケットシェア算出にも直結する関数です。
- IF関数:
条件を指定してその結果に応じた値を返す関数。たとえば「売上が1,000万円を超えていればA社とする」といった判断に使用します。=IF(B2>10000000,"A社","それ以外") - VLOOKUP関数:
複数のシートに分かれているデータを結びつけるときに大活躍。競合の売上情報など、別ファイルから値を参照する際に使います。=VLOOKUP(A2, 商品マスタ!A:B, 2, FALSE)※XLOOKUP関数も使える環境であれば、より柔軟に対応可能です。
マーケットシェアをExcelで計算する式の例
本記事の第1章でも紹介したマーケットシェアの定義を、Excelの関数として実際に計算式に当てはめると、以下のようになります。
=自社売上 ÷ 市場全体売上 × 100
たとえば、自社売上がセルB2に、市場全体の売上がセルC2に入力されていれば、以下のような式になります。
=B2/C2*100
パーセンテージ表示にする場合は、セルの書式設定 → パーセンテージ表示を忘れずに行いましょう。
視覚化で差をつける!おすすめのグラフ3選
数値だけでなくグラフによる可視化も非常に重要です。社内での説明やレポート資料では、ひと目でトレンドが伝わるかどうかが成功のカギとなります。ここでは、マーケットシェア分析によく使われるグラフを3つ紹介します。
- 円グラフ(Pie Chart):
自社と他社のシェア比率を直感的に示すのに最適。業界全体に占める割合を視覚的に分かりやすく伝えられます。 - 積み上げ棒グラフ:
時系列でのシェア推移を比較したいときに便利。特に年別・四半期別の成長を見せる際に効果的です。 - 折れ線グラフ:
競合とのシェア差や、自社のシェアの推移を時間軸で追いたい場合に適しています。
グラフは挿入タブ → おすすめグラフ から簡単に挿入できます。データが整理されていれば、ほとんど自動でグラフが生成されるので試してみてください。
覚えておくと便利な小技
- データバーで簡易可視化:セルに条件付き書式でバーを表示し、数字の大小がひと目で分かるように。
- テーブル機能で集計を楽に:Excelのテーブル機能(Ctrl + T)を使えば、自動で見出しが固定され、集計やフィルタが便利になります。
- スライサーでインタラクティブな分析:ピボットテーブルと連携して、カテゴリ別表示切り替えが可能に。
次章では実例で実践!
ここまでで、Excelでマーケットシェアを計算・可視化するための基本スキルが身につきました。次章では、架空のデータを使いながら実際にマーケットシェア分析を行う手順を一緒に追っていきます。リアルな業務シナリオを想定した内容なので、ぜひご自身の業務にも応用してみてください。
第4章:実例で学ぶ!マーケットシェア分析のやり方
ここからは、実際にExcelを使ってマーケットシェア分析を行う手順を仮想シナリオをもとに解説していきます。理論や機能の説明だけではなかなかイメージしづらいもの。今回は「スマートウォッチ市場」を題材に、自社と3つの競合企業のデータを用意して、リアルな分析プロセスを体感してもらえるよう構成しました。
ステップ1:ベースとなるデータを準備する
まずは、下記のような売上データをExcelのワークシートに入力します。表の構造は以下の通りです。
| 企業名 | 売上高(万円) |
|---|---|
| 自社 | 85,000 |
| A社 | 120,000 |
| B社 | 60,000 |
| C社 | 35,000 |
このデータを基に、まずは「市場全体の売上」を求めましょう。ExcelのSUM関数を使用して、以下のようにセルに入力します。
=SUM(B2:B5)
結果は300,000(万円)となり、これが市場全体の売上となります。
ステップ2:マーケットシェアを計算する
次に、各企業のマーケットシェアをパーセンテージで求めます。たとえば、自社の売上が入っているセルB2、SUM関数で求めた市場全体売上がB6にあるとすると、以下の式をC列に入力してシェアを計算できます。
=B2/$B$6
そしてこのセルをパーセンテージ表示に設定すれば、自社のマーケットシェアが28.3%と計算されます。他社にも同様に式をコピーして、一覧で比較できるようにしましょう。
ステップ3:グラフで可視化する
計算が終わったら、次はそれをグラフにして視覚的に伝えるステップです。以下のグラフが特におすすめです。
- 円グラフ: 各社のシェア割合を直感的に見せる。
- 積み上げ棒グラフ: 四半期や年ごとの推移比較がしたいときに。
今回は一度に全体感を伝えたいので、円グラフを使ってみましょう。
- 企業名とシェアの列(例:A列とC列)を選択
挿入タブ →グラフグループ →円を選択- 凡例やパーセンテージラベルを追加して視認性をUP
これだけで、見た目にもわかりやすい“マーケットシェア分析グラフ”が完成します。資料や会議でも「一目で分かるデータ」として高評価を得やすくなります。
ステップ4:セグメント別分析へ応用する
より実践的な分析に近づけるには、「性別」「年齢」「地域」などのデモグラフィックデータ別に掘り下げて見るとさらに理解が深まります。たとえば、以下のような売上内訳を用意すれば、ピボットテーブルとの組み合わせで「地域別シェア」「年齢層別シェア」などもかんたんに算出可能です。
| 地域 | 企業名 | 売上 |
|------|--------|------|
| 関東 | 自社 | 40,000 |
| 関東 | A社 | 60,000 |
| 関西 | 自社 | 30,000 |
| 関西 | A社 | 40,000 |
このようなデータを元にピボットテーブルで「地域×企業別売上」をクロス集計し、そこから再度シェア計算すれば、より戦略的なインサイトが得られます。
ステップ5:所感をつけて資料にまとめよう
数字だけではなく、考察を添えておくこともビジネス分析では大切です。自社はシェア2位だが伸び率が高い、関西エリアでの占有率が競合を抜いている etc. といった所感を加えることで、上司やチームメンバーへの提案力も高まります。
まとめ:小さな一歩が大きな成長に
Excelを使ったマーケットシェア分析は、決して難しくありません。「データを整理する → 計算する → 可視化する → 考察する」という流れを何度か繰り返すだけで、分析スキルは確実に向上します。
次章では、こうした分析結果をどのように資料化し、社内やクライアントに提案へとつなげていくかについて、具体的なコツをご紹介していきます。
第5章:分析を武器に!提案資料や戦略への応用方法
マーケットシェアの数値が算出できたら、次に重要なのがその“使い方”です。ただExcelで分析して終わりではもったいない。せっかく得たビジネスインサイトを、作戦の柱や提案資料として活かすことで、あなたの価値はグッと高まります。この章では、「マーケットシェア分析を戦略立案や社内提案に活用する方法」について、具体的なアプローチをご紹介します。
1. 考察を加えて“提案思考”に変換する
第4章でも少し触れましたが、数値から得られた傾向や特徴に自分なりの考察を入れることで、単なる報告ではなく「提案型レポート」になります。以下のような切り口で所感を整理しましょう。
- ●前年と比較して伸びている市場セグメントは?
⇒ 伸びているゾーンに注力戦略を構想 - ●競合とのシェア差がほとんどない地域は?
⇒ キャンペーン展開や営業強化のチャンスと捉える - ●自社が劣勢のエリアや層は?
⇒ 商品改良・販路強化・広告訴求の再検討へ活かす
これらを箇条書きや簡潔な文章でPowerPoint資料にまとめると、「自分で考えて動ける人材」としての印象を持ってもらいやすくなります。
2. 資料にするならコレを意識しよう
Excelの分析結果を報告やプレゼン資料に展開するには、情報の切り出し方にも工夫が必要です。特に以下の点は意識しておきましょう。
- グラフは多すぎず、伝えたいポイントを絞って
- テキストよりも図やビジュアルで訴求
- 「結論」→「根拠」→「提案」の流れで構成
- シェアの変化や競合比較を明確にする
例:「関西で自社のシェアが前年比+8%」などインパクト重視の伝え方も◎
これらを意識すると、聞き手にとっても理解しやすくなり、自分の分析結果の価値を最大限に伝えることができます。
3. 社内会議やクライアント提案で使える一言
実際のプレゼンでは、ただ数値を読み上げるのではなく、簡潔なコメントでニュアンスを補足してあげると効果的です。たとえば……
- 「関西エリアでは、前年比でA社を逆転する見込みがあります」
- 「40代男性層に強いB社に対し、当社は30代女性に強い傾向が見えます」
- 「この成長率がもう1期継続すれば、トップシェア目前です」
こうしたコメントがあるだけで、データが「使える情報」になり、相手の記憶に残るプレゼンになるでしょう。
4. 戦略に落とし込むための3つの考え方
分析から戦略に繋げるには、次のようなフレームを使うと整理しやすくなります。
- ポジショニング戦略:
シェアの高い領域で防御を強化する or 弱点市場での乗り込み戦略を検討。 - ターゲティング強化:
伸びている層・地域に広告や営業リソースを集中する選択と集中型施策。 - 競合ベンチマーク:
なぜ競合が伸びているのかを調査し、自社に活かせるとの仮説を立案。
すべてを一気に進めるのは難しくても、「まずは1つだけ施策に繋げる」ことを目指しましょう。それだけでも、分析を“戦略の一部”に昇華できます。
結論:Excel分析は「行動に活かしてこそ力になる」
マーケットシェア分析は、ただの数字遊びではありません。現場に効く施策、説得力ある提案、そしてチームや自分の成長に直結します。Excelでの分析力は、“企画提案力”という武器に変わるのです。
あなたの一歩が、チームを導く一手になるかもしれません。ぜひ、今回学んだ分析ステップを、次回のレポートや会議資料で活かしてみてください。
数字を読み解く力は、20代のうちに身につけておくべき「仕事ができる人の基礎スキル」です。


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