Excelでクラスター分析を行う手順と実例

Excelでクラスター分析を行う手順と実例 IT

第1章:クラスター分析とは? ── ビジネスにも役立つ基本知識

「クラスター分析(Cluster Analysis)」という言葉に、どこか専門的で難しそうな印象を持っていませんか?でも安心してください。基本を押さえれば、あなたの仕事にもきっと役立てられる強力な分析手法なんです。

クラスター分析とは一言でいうと、「似たもの同士をグループに分ける」統計的手法です。たとえば、マーケティング分野では「似た購買傾向の顧客をグループ分け(セグメント化)して、それぞれに最適なプロモーションを打つ」といった形で活用されています。

もう少しイメージを膨らませてみましょう。次のようなケース、あなたの身近にもありませんか?

  • 売れ筋商品を把握して、在庫管理の優先度を決めたい
  • 社員のスキルや業務内容をもとにチーム分けをしたい
  • 自社サイトに訪れるユーザーの行動パターンからターゲット層を見極めたい

こうした課題に対し、「直感」だけで判断するのは危険です。そこで活きるのが、クラスター分析によるデータドリブンな意思決定です。

クラスター分析の基本メカニズム

それでは仕組みも少しだけ覗いてみましょう。クラスター分析は、複数のデータを数値化して、それぞれの「特徴の近さ」を計算し、一定の「距離」で区切ってグループを形成します。つまり、「いかに似ているか」を定量的に判断してくれるわけです。

よく使われる手法には、以下のようなものがあります:

  • K-means法:あらかじめグループ数(K)を決めて最適な分類をしてくれる方法
  • 階層的クラスター分析:データ同士を一つずつつなげていくことで、自然とグループ化していく方式

今回はExcelで扱いやすいK-means法を中心に紹介していきます。

ビジネスでの活用例:20代サラリーマンにも関係アリ!

たとえば、営業職であれば「今月あまり成果が出ていないクライアント」を抽出して、それらの共通点からアプローチ方法を練り直すことができます。事務職やマーケティング職でも、日々のデータを蓄積しておけば、クラスター分析で「未着手のチャンス層」が見えてくるかもしれません。

しかも今や、高価なツールや統計ソフトを使わなくたって、Excelさえあれば、基本的なクラスター分析は十分可能なんです。これは、データ活用の入門編としても最適ですし、日常業務にデータ分析の視点を加えるきっかけとしてもおすすめです。

次章では、「なぜExcelを使うのか?」という点について、現場目線で詳しく解説していきます。

第2章:なぜExcelでクラスター分析を行うのか?

クラスター分析というと、「統計ツールが必要なんじゃないの?」「RとかPythonみたいなプログラミングも勉強しないと無理では?」と思う方も多いはずです。確かに本格的な分析には専用ソフトがよく使われますが、実はExcelでもクラスター分析は十分に実施可能なんです。

Excelを使う3つのメリット

それではなぜ、わざわざExcelを使うのでしょうか?社会人1〜3年目の20代サラリーマンにも嬉しい特長を見ていきましょう。

  1. ツールの習熟度が高い
    多くの職場で使われているExcelは、入社研修や日常業務、自己学習などで慣れ親しんでいるツールです。新しくソフトを覚える必要がなく、すぐにトライが可能です。
  2. コストがかからない
    RやSPSSのような統計ソフトは高価ですし、Python環境構築にはそれなりの時間がかかります。一方、Excelはほとんどの会社で標準インストールされていますので、追加費用ゼロですぐ始められるのが魅力です。
  3. 見える化が得意
    Excelの最大の強みは、やはりグラフや表で「見える化」しやすいことです。分析結果をチーム内で共有したり報告資料にまとめたりする際にも、Excelならそのまま加工・出力できるので、業務との親和性が高いのです。

クラスター分析に必要なExcel機能

では、Excelでクラスター分析を行うにはどんな準備が必要なのでしょうか?必要になる機能は以下の通りです:

  • ソルバーアドイン:K-means法で中心値を繰り返し調整するのに使用
  • 条件付き書式:分類されたクラスターに視覚的な違いを与えるため
  • 関数(例:AVERAGE, IF, MIN, ABSなど):距離計算や分類処理に使います

まずは「ソルバーアドイン」が有効になっているか確認しておきましょう。Excelメニューから「ファイル」→「オプション」→「アドイン」→「Excelアドイン」→「設定(横の[移動]ボタン)」で表示される画面から、「ソルバー」にチェックを入れるだけです。

また、VBA(マクロ)を少し使えば分析の自動化も可能ですが、手作業ベースでも十分に学習・活用はできます。社内ですぐに事情を説明したり実行したりできる環境として、Excelは今でも圧倒的な安心感を持っています。

「使い慣れたExcelで始められる」ことの価値

特に20代の若手ビジネスパーソンにとって、「まずはやってみる」「結果を見てから学ぶ」というスタンスはとても大切です。その点でExcelは、すぐに手を動かし、具体的な結果を確認しながら学べる教育ツールとしても最適です。

つまり、Excelでのクラスター分析は、技術の深掘りを目的とするというより、現場で活かせる「データ分析の第一歩」として活用するのがオススメなのです。

次章では、そんなExcelを使って実際にクラスター分析を行う手順を、1ステップずつ丁寧に解説していきます。実践しながら仕組みを理解しましょう!

第3章:Excelでのクラスター分析ステップバイステップ

いよいよここからは、実際にExcelだけでクラスター分析を行う具体的な手順を解説していきます。複雑な数式やプログラミングは不要。20代のビジネスパーソンでもすぐに実践できる内容です。今回は、簡単な売上データを題材に、K-means法によるクラスター分析の流れを紹介します。

Step 1:分析したいデータを用意する

まずは、分類したいデータを整理しましょう。例として、以下のような月別売上データを使用します:


顧客名 購入回数 総購入額
A社 10 50,000
B社 18 120,000
C社 5 22,000

このように、「比較に使いたい数値」を数列として並べることが基本です。今回は「購入回数」と「総購入額」の2軸でクラスターを分けていきます。

Step 2:初期クラスタ中心(セントロイド)を設定

分析対象をたとえば「3つのグループに分類したい」とした場合、まずは仮の中心点(セントロイド)を手動で設定します。
たとえば、次のように適当な3つのデータ行をコピーして別表に貼り付けてください(これが初期セントロイドとなります)。目安として、購入回数の少ない・中間・多いパターンから1例ずつピックアップすると効果的です。

Step 3:各データとセントロイドとの距離を計算

各顧客データが、どのセントロイドに一番近いかを判断するため、ユークリッド距離を使って計算します。ユークリッド距離とは、高校の数学でも出てきた(二乗差の平方根)です。Excel 関数で以下のように記述します:

=SQRT((B2-$G$2)^2 + (C2-$H$2)^2)

「B2」「C2」が対象顧客の数値、「$G$2」「$H$2」がセントロイドの値だと仮定した例です。これをすべての行・すべてのクラスタ数分だけコピーすれば、各データと各中心点との「距離一覧」が完成します。

Step 4:最小距離のグループに分類

作成した距離一覧から、「最も距離が近いクラスタ」を抽出します。以下のような式で、各データがどのクラスタに属するかを計算できます:

=MATCH(MIN(D2:F2), D2:F2, 0)

D2〜F2 が距離一覧とした場合、この式は「最も距離の近いクラスタ番号(1〜3)」を返してくれます。それをもとに、各顧客のクラスタIDを列に追加していきましょう。

Step 5:新しいセントロイドを再計算

現在のクラスタ割り当てをもとに、各クラスタ内の平均値を計算して、新しいセントロイドを求めます。たとえば、クラスタ1に分類されたデータの「購入回数」の平均は以下のように求めます:

=AVERAGEIFS(B2:B10, G2:G10, 1)

この手順をすべてのクラスタ・すべての軸に対して行い、前ステップと同様に距離を再計算 → 再分類 → 新しい中心点の再計算……と、繰り返します(これを収束するまで繰り返すのがK-means法の基本動作です)。

手計算ではやや手間ですが、3〜4回繰り返すだけで分類パターンが安定してくることが多いため、最初は丁寧に追いかけてみましょう。

Step 6:結果の見える化(条件付き書式やグラフ)

分析結果をもとに、各クラスタごとの特徴を表示してみましょう。たとえば、条件付き書式を使ってクラスタ番号ごとに色分けしたり、散布図(XYグラフ)に各顧客をプロットしてグループを視覚化すると、一気に理解が深まります。

Excelの挿入メニューから「散布図」を選び、「購入回数」「総購入額」をX軸・Y軸に設定し、クラスタごとの色分けを行えば、顧客の傾向が一目でわかる状態になります。

まとめ:まずは少数データから練習しよう

初めてのクラスター分析は戸惑う部分もあるかもしれませんが、Excelなら視覚的・直感的に理解を進めながら分析を学ぶことができます。今回紹介したステップに沿って、少数のデータからで構わないので実際に手を動かしてみましょう。それが、データドリブンな思考力の第一歩になります。

次章では、より具体的な「顧客データ」を扱った実例を通して、Excelクラスター分析の実践イメージを深めていきます。

第4章:実例で体感!顧客データを使ったクラスター分析導入法

ここまでで、Excelを使ったクラスター分析の基本ステップは理解できたと思います。では実際に、「顧客データを使ったクラスター分析の具体例」を見てみましょう。扱うテーマはシンプルに、「現在の既存顧客を属性別に分類し、アプローチを最適化する」ことです。これは多くのビジネスパーソンにとって、とても実践的なテーマではないでしょうか。

使用するサンプルデータ:営業視点での顧客情報

以下は、ある営業チームが管理している顧客情報の一部です。このデータをもとに、購入傾向に基づいて3つのクラスターに分類していきます。

会社名 月間問い合わせ数 平均購入金額
株式会社アルファ 3 80,000
合同会社ベータ 10 150,000
有限会社ガンマ 1 30,000
株式会社デルタ 7 95,000
株式会社イプシロン 2 40,000

このように、「問い合わせ回数」と「購入金額」という、行動量と成果の指標をベースに分析することで、「関心は高いが購入に結びつかない会社」「少ないアクションでしっかり購入してくれる優良顧客」といった傾向が見えてきます。

実際の分析プロセス

第3章で紹介したステップをそのまま応用して、次のようなプロセスで進めていきます。

  1. データをExcelに入力(上記のような形式)
  2. 初期セントロイドを3グループ分選定(例えば、アルファ・ベータ・ガンマを代表として)
  3. ユークリッド距離を計算し、各データとの距離を算出
  4. MIN関数とMATCH関数で最も近いクラスタに分類
  5. 各クラスタの平均(新たなセントロイド)を再計算
  6. この流れを2〜3回繰り返し、クラスタが安定(収束)したら完了

結果として、以下のようなクラスター分けが完成するかもしれません(仮の例):

  • クラスター1:潜在顧客層
    問い合わせは多いが購入金額が低めな傾向。今後のフォローアップが重要。
  • クラスター2:安定層
    問い合わせ・購入ともに中程度で、現状維持の対応が有効。
  • クラスター3:優良顧客層
    購入金額が高く、少ない問い合わせで結果が出る。新商品提案や長期契約を検討。

視覚的に理解する:散布図を作成

各顧客の「問い合わせ数」と「購入金額」をX軸・Y軸に用いた散布図を作成し、クラスタ番号ごとに色分けしてみましょう。Excelの挿入タブ→「散布図」から簡単に作成できます。

この図を見るだけで、「どのタイプの顧客がどのような性質を持っているか」が可視化され、営業戦略の再構築やマーケティング方針の参考になります。

現場での活用イメージ

実際の業務では、以下のように結果を活用できます:

  • クラスター1の顧客に向けた、導入促進キャンペーンの企画
  • クラスター2の顧客には、継続利用のためのサポート強化
  • クラスター3の顧客には、上位プランやカスタマイズ提案によるLTV向上

クラスター分析は「ただ分ける」だけではなく、次の行動にどう繋げるかが価値そのものです。だからこそ、自分たちのフィールドに合った視点で、データを読み解いていく力が今後ますます重宝されるでしょう。

次章では、今回分析して得られた分類結果をどのように業務改善に活用していくか、さらに深掘りして紹介していきます。

第5章:分析結果をどう活かす?次のアクションに繋げるヒント

さて、クラスター分析によって顧客データの傾向が見えてきたら、いよいよ最も重要なフェーズ──「どう活用するか」です。分析そのものはあくまでスタート地点。そこから業務に具体的なアクションへと結びつけていくことで、分析の真価が発揮されます。

クラスター分析を活かす3つの視点

ここでは、クラスター分析の結果をビジネスに活用するための視点を3つ紹介します。

  1. ターゲティングの精度向上
    クラスターごとに顧客の特徴が明確になるため、「誰に、どんな提案をすべきか」が見えてきます。これは営業だけでなく、マーケティング施策やカスタマーサポートでも非常に有効です。
    たとえば、クラスター3の優良顧客には単価の高い提案を、クラスター1の潜在顧客には小ステップの導入コンテンツを提供することで、無駄なくリソースを分配できます。
  2. チーム内の共通認識づくり
    クラスタリングの結果を図やグラフで共有すれば、営業やマーケティング、商品企画など部門を超えた共通認識が生まれます。定性的な「この顧客は良い感じ」という感覚論から、定量的な「このグループの顧客は購入単価が高い」という論拠ある議論が可能になります。
  3. KPI改善と改善サイクルの起点
    顧客を分類し、それぞれに応じた施策を打ち、その反応をフィードバックとして確認──このループこそがデータ活用におけるPDCAの原型です。たとえば、クラスター1の問い合わせ数は多いが受注につながっていないと分かれば、サイト導線や提案資料の見直しなど具体的な改善施策につながります。

可視化と共有で「使える分析」に

せっかくのクラスター分析も、「なんだか色分けされたけど……?」で終わってしまっては意味がありません。大切なのは、誰が見ても意味がわかる形で可視化することです。

以下のような工夫がオススメです:

  • クラスタごとの特徴や対応方針を1スライドに要約する
  • 散布図に吹き出しでコメントを入れる
  • Excelの条件付き書式で色分け → 自動更新表としてチームで共有

また、定期的にデータを更新して再分類することで、顧客の変化や自社施策の効果を追うことも可能になります。これは「一度やって終わり」ではなく、安定した業務改善の材料として積極的に活かせるアプローチです。

活用例:若手ビジネスパーソンの現場での応用

20代のサラリーマンが業務でExcelクラスター分析を実施した場合、次のような小さなアクションから始めると実践に繋がりやすいでしょう。

  • 上司へのレポートに「分析から導かれた提案書」を添付する
  • 問い合わせ対応リストをクラスタ別に並べ替えて対応優先度を明示
  • 週次ミーティングで1分プレゼンとしてクラスタ分類結果を報告

このようなアクションから、「データ分析ができる若手」として社内で信頼を築くきっかけになります。

まとめ:クラスター分析を「業務の武器」にしよう

Excelを活用したクラスター分析は、習得すれば決して難しくないスキルですが、しっかり活用すれば顧客の理解戦略の最適化業務の効率化という明確な成果につながります。そしてその成果は、数字やグラフという形で「見える化」されるため、周囲を納得させやすいという大きなメリットもあります。

せっかく学んだスキルを、「今の仕事にどう生かせるか?」を考えながら、まずは小さな分析から始めてみてください。Excelでのクラスター分析は、あなたのビジネススキルを1段階アップさせる強力なツールになるはずです。

コメント

NewsTowerをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む