Excelでできる基本的な機械学習の考え方と実装例

Excelでできる基本的な機械学習の考え方と実装例 IT
  1. 第1章:そもそも機械学習って何? 基本の考え方をわかりやすく解説
    1. 機械学習とは、人間の代わりにパターンを学ぶ技術
    2. 機械学習の種類は主に3つ
    3. 日常業務での活用シーンは?
    4. まずは「仕組みを理解すること」が大事
  2. 第2章:Excelで機械学習ってできるの? できること・できないこと
    1. Excelでできる「機械学習的なこと」とは?
    2. 「予測」「分類」に近い体験ができる
    3. Excelではできない or 向いていないこと
    4. 「Excelで学び、次のステップへ」がおすすめ
  3. 第3章:回帰分析からスタート! Excelでの簡単モデル構築
    1. 事前準備|データを準備しよう
    2. Excelで回帰分析を実行する手順
    3. 結果の読み取り方|予測モデルをどう活かす?
    4. 活用シーンは?|日常業務への落とし込み
    5. まとめ:まずはシンプルなモデルから始めよう
  4. 第4章:分類問題にチャレンジ! IF関数とヒートマップで視覚化も
    1. Excelでの分類分析の基本|IF関数を活用しよう
    2. 分類結果を見える化!条件付き書式でヒートマップ風に
    3. 業務での実例|分類分析の活かし方
    4. まとめ:分類タスクは“ルールづくり”から
  5. 第5章:Excelから一歩先へ。学んだ知識を次にどう活かす?
    1. 1. より自由度と拡張性を求めるならPython
    2. 2. ノーコード派のあなたへ|Power BIやGoogle Looker Studio
    3. 3. 学んだ知識を業務にどう活かすか
    4. まとめ:Excelは「ゴール」ではなく「入口」

第1章:そもそも機械学習って何? 基本の考え方をわかりやすく解説

最近、ニュースやビジネスの現場でよく耳にする「機械学習」。でも、機械学習って結局なにをするもの?と疑問に思っている方も多いかもしれません。ここでは、文系出身・IT初心者の社会人の方でもつまずかないように、基礎の基礎から説明していきます。

機械学習とは、人間の代わりにパターンを学ぶ技術

機械学習をひとことで言えば、「データからパターンや特徴を見つけ出し、予測や分類を行う仕組み」です。たとえば、「過去の売上データをもとに、来月の売上を予測する」や、「顧客の行動パターンから離脱しそうなユーザーを見つける」などがその代表例です。

ここで大切なのは、「明確なルールを人間が教えるのではなく、コンピュータが自分で学習する」という点。従来のシステム開発とは違い、ルールベースではなく、あくまで「データ」から学んでいく点が機械学習の特徴です。

機械学習の種類は主に3つ

機械学習には、目的によっていくつかの種類があります。代表的なのは以下の3つです。

  • 教師あり学習:あらかじめ答え(正解データ)がわかっている状態で学習する方法。売上の予測、顧客の購買傾向の分類などによく使われます。
  • 教師なし学習:答えが存在しないデータからパターンや特徴を探す方法。例えば、顧客のグループ分け(クラスタリング)など。
  • 強化学習:試行錯誤をしながら、最善の方法を学習していく技術。自動運転やゲームAIなどに活用されます(ただしExcelでは実装が困難)。

この中でも、Excelでトライしやすいのは「教師あり学習」です。特に「回帰分析(数値を予測)」や「分類(どのグループに属するか)」などのタスクは、Excelの関数やアドインを使うことで実現可能です。

日常業務での活用シーンは?

まだピンと来ない方も、次のような業務シーンを思い浮かべてみてください。

  • 月ごとの売上推移から来月の売上高を予想したい
  • アンケート結果から、お客様を満足度の高い層・低い層に分けたい
  • 顧客データから購入傾向の強い属性を分析したい

これらはすべて「機械学習的考え方」でアプローチできます。実際、最初の一歩はExcelだけでも十分始められるというのが本記事のポイントです。

まずは「仕組みを理解すること」が大事

機械学習と聞くと、PythonやAI、プログラミングといった「難しそうな世界」を想像しがちです。でも、本当に大事なのはコードではなく、“どういう考え方でデータから価値を見出すか”という視点です。

このブログでは、そんな機械学習のエッセンスをExcelという身近なツールで体験してもらい、自分の仕事にどう活かせそうかを知ってもらうことを目的としています。

次章では、「そもそもExcelで機械学習的なことができるの?」という疑問に答えながら、実際にできること・できないことを整理していきます。

第2章:Excelで機械学習ってできるの? できること・できないこと

「機械学習は専門的なソフトやプログラミングスキルが必要」と思われがちですが、実はExcelでも基本的な機械学習的アプローチは試すことができます。ここでは、Excelでどこまでできるのか、そしてできないことは何かを整理して、これから学ぶステップの全体像をつかみましょう。

Excelでできる「機械学習的なこと」とは?

機械学習の本質は「データから傾向やパターンを学び、未来を予測・分類する」こと。Excelには、そんな分析の土台となる機能が数多く備わっています。たとえば:

  • 回帰分析:売上予測や成績予測など、数値を予測するタスクに活用可
  • IF関数やVLOOKUP:条件に応じた分類処理
  • ヒストグラムやピボットテーブル:パターンの視覚化や集計処理
  • 相関分析や散布図:変数同士の関係性の把握

さらに、「分析ツール(Analysis ToolPak)」というアドインを使えば、より高度な統計的手法(回帰分析、分散分析など)へ簡単にアクセスできます。特別なセットアップ不要で、Excelのメニューから有効化するだけでOKです。

「予測」「分類」に近い体験ができる

Excelでの機械学習的な分析の代表例が、回帰(予測)分類です。たとえば、以下のような作業で「学習・予測モデル」を体験できます:

  • 過去の売上と広告費データから、来月の売上を予測(回帰分析)
  • 顧客の年齢や性別などの属性から「購買する/しない」を分類(IF関数)
  • アンケート結果をもとに、満足度の高い/低い顧客を分け、条件付き書式で視覚化

これらは数式やグラフの操作で完結し、コードは一切不要。言い換えれば、「予測・分類の考え方を体験する場」としてExcelはとても優れています。

Excelではできない or 向いていないこと

一方で、Excelが不得意とする部分も当然あります。以下は、Excel単体では難しい/不向きな領域です:

  • 数万件以上の大量データの処理:処理速度やファイルの重さが問題になりやすい
  • 複数のモデルの自動選択や評価:モデル精度の比較や自動学習は困難
  • ニューラルネットワークや画像認識などの高度なAI技術
  • リアルタイムなデータ取り込みと判断処理

また、繰り返し分析や再現性の高いプロセス設計といった意味でも、Pythonなどのプログラミング言語に比べると拡張性に限界があります。

「Excelで学び、次のステップへ」がおすすめ

こうした背景から、Excelは「機械学習の考え方を体験し、仕事に活かす入り口」として最適です。必要な知識を整理しながら、身近な課題を解決する手段として使うことで、PythonやPower BI、Google Colabなど、将来的により高度なツールを学ぶ土台にもなります。

次章では、機械学習の基本中の基本である「回帰分析」について、Excelを使った具体的な手順と活用例を実践的にご紹介します。

第3章:回帰分析からスタート! Excelでの簡単モデル構築

ここからはいよいよ、実際にExcelを使って機械学習的な分析を始めていきます。まずは最も基本となる「回帰分析」からスタートしましょう。回帰分析とは、ある数値(目的変数)をほかの変数(説明変数)から予測する手法です。

たとえば、過去の「広告費」と「売上」の関係性をもとに、来月の売上を予測するといった使い方があります。Excelなら、特別なプログラミング知識がなくても、便利な「分析ツール」を使ってこれを体験することができます。

事前準備|データを準備しよう

まずは分析に使うデータをExcelに用意します。以下は簡単なサンプルデータです:

広告費(万円) 売上(万円)
1月 10 200
2月 15 250
3月 20 300
4月 25 350

このように、「広告費」を説明変数、「売上」を目的変数として設定します。次に回帰分析の手順に移ります。

Excelで回帰分析を実行する手順

  1. 「分析ツール」を有効化
    メニューの「データ」タブ内に「データ分析」が表示されるようにします。
    表示されていない場合は、「ファイル」→「オプション」→「アドイン」→「分析ツール」を選んで有効化します。
  2. 「回帰」を選択
    「データ分析」ボタンをクリックし、メニューから「回帰」を選択し「OK」。
  3. 目的変数と説明変数を指定
    売上列を「Y入力範囲」、広告費列を「X入力範囲」に指定します。必要に応じて「ラベル」にチェックを入れましょう。
  4. 出力先を選んで実行
    分析結果を出力する位置(新しいシートや指定のセル)を決めて「OK」を押します。

結果の読み取り方|予測モデルをどう活かす?

出力結果の中で特に見るべきポイントは以下の通りです。

  • 重決定係数(R²):モデルの説明度(0〜1で数値化)。1に近いほど予測が的確。
  • 係数(Coefficients):予測に使う数式の要素。例えば、「売上 = 100 + 10×広告費」という形で予測式が得られます。

この予測式をもとに、今月の広告費が30万円なら、売上 = 100 + 10×30 = 400万円といった指標がExcel上で計算できるようになります。

活用シーンは?|日常業務への落とし込み

回帰分析が使えるのは、なにも売上予測だけではありません。たとえば:

  • 社員の研修時間と営業成績の関係性
  • 顧客サポート対応数と満足度スコアの影響
  • SNS投稿頻度と問い合わせ数の相関

こういった「日々の業務データをもとにどんな因果関係がありそうか?」を可視化し、予測につなげていけるのが回帰分析の大きな魅力です。

まとめ:まずはシンプルなモデルから始めよう

Excelでの回帰分析は、機械学習の“予測モデル”を体感する第一歩となります。複雑なツールは使わずとも、「過去のパターンから、未来を推定する」という考え方を身につけるには最適な方法です。

次章では、もうひとつの基本的分析である「分類」についてExcelでの取り組み方をご紹介します。今度は、IF関数やヒートマップを使って、“どのグループに分けられるか”を視覚的に把握してみましょう。

第4章:分類問題にチャレンジ! IF関数とヒートマップで視覚化も

前章では、Excelを使って「回帰分析」による 数値の予測を体験しました。今回は、もうひとつの重要な機械学習のタスクである「分類」にチャレンジしてみましょう。分類とは、あるデータが「どのグループ(クラス)に属するか」を判定する仕組みのこと。マーケティングで言えば「この顧客は購買するか/しないか」、人事で言えば「離職しやすいか/しにくいか」など、ビジネスで即役立つ分析スキルです。

Excelでの分類分析の基本|IF関数を活用しよう

Excelでは、高度なAIアルゴリズムを使わずとも、IF関数を使うことで簡易的な分類モデルを作ることができます。以下はその一例です。

顧客番号 購入回数 最終購入日からの経過日数 ロイヤル顧客判定
001 8 15
002 2 120
003 5 30

この表に対し、以下のようなルールを追加します:

もし「購入回数」が5回以上 かつ「最終購入日からの経過日数」が30日以内であれば「ロイヤル顧客」と判定。

その場合のIF関数は以下のようになります。

=IF(AND(B2>=5, C2<=30), "ロイヤル", "一般")

この関数を各行にコピーすれば、単純なルールベース分類モデルが完成します。

分類結果を見える化!条件付き書式でヒートマップ風に

分類を行った結果は、そのままだと見づらかったりインパクトに欠けたりします。そこで活躍するのが、Excelの条件付き書式です。セルの値に応じて背景色を自動で変更できるので、ぱっと見でグループの違いが一目瞭然になります。

<設定手順の一例>

  1. 分類列(「ロイヤル顧客判定」)を選択
  2. [ホーム]タブ → [条件付き書式] → [新しいルール]
  3. 「指定の文字列に応じて色をつける」ルールを設定(例:「ロイヤル」=緑、「一般」=グレー)

これだけで、カラフルな分類マップが完成します:

顧客番号 購入回数 経過日数 ロイヤル
002 2 120 一般

小さな工夫ですが、視覚的にグループの違いを理解することで、次の戦略につながる発見が得られることも多々あります。

業務での実例|分類分析の活かし方

では、どんな場面でExcelの分類分析が活かせるのでしょうか? 以下に身近な例を挙げます。

  • 営業対象リストの優先度づけ:確度の高い見込み顧客を条件で抽出
  • カスタマーサポート対応の緊急度振り分け:過去の対応件数や満足度スコアに応じてフラグ分け
  • 従業員の健康リスク予備判定:直近の勤務時間や体調アンケートデータを用いた二分分類

ポイントは、「条件を定義してグループを分けてみる」ことから始めること。最初は単純なルールでも、試行錯誤を重ねることで業務に役立つ洞察へとつながります。

まとめ:分類タスクは“ルールづくり”から

IF関数を使った分類処理は、機械学習の「教師あり学習」の初歩的な体験としてとても有効です。また、条件付き書式を活用することで、「データからパターンを見つけ出し、誰でもわかりやすい形で伝える」という視覚的な表現力も鍛えられます。

次章では、こうしてExcelで身につけた基本分析力を、さらにレベルアップするにはどうすればいいかについてご紹介していきます。

第5章:Excelから一歩先へ。学んだ知識を次にどう活かす?

ここまでの章では、Excelを使って「回帰分析」や「分類」といった基本的な機械学習の考え方や手法を体験してきました。「数値を予測する」「条件でグループ分けする」といったアプローチが、身近なExcelでも十分に行えることに驚いた方もいるのではないでしょうか。

しかし、機械学習の世界はここで終わりではありません。むしろ、Excelで得た理解をどのように次のステップに繋げていくかが、今後のスキルアップにとって非常に重要です。この章では、Excelからスタートした人が、さらに実用的なものへと進化していくための選択肢を紹介します。

1. より自由度と拡張性を求めるならPython

もしあなたが「予測モデルをもっと精度よく作ってみたい」「大量のデータを自動で分析したい」と感じ始めたなら、Pythonというプログラミング言語が力強い選択肢になります。

Pythonの魅力は以下の通り:

  • pandasやscikit-learnといったライブラリで、回帰・分類・クラスタリングなどあらゆる分析が可能
  • Google Colabを使えば、インストールなしでブラウザ上ですぐ実行可能
  • Jupyter Notebookで「データ+コード+説明」を一体で管理できる

最初はハードルが高く感じるかもしれませんが、Excelでの分析を経験したあなたなら、「この関数はあのときのIF関数に近いな」「この処理はExcelの集計に似てるな」といった形で、意外とスムーズに理解が進むはずです。

おすすめ書籍:「Pythonではじめる機械学習(オライリー・ジャパン)」
おすすめ学習サイト:paizaUdemyKaggle

2. ノーコード派のあなたへ|Power BIやGoogle Looker Studio

「プログラミングまでは…でももっと高度な可視化や自動集計をしてみたい」という方は、Power BIGoogle Looker StudioなどのノーコードBIツールがおすすめです。

これらのツールでは:

  • Excelファイルを読み込んでダッシュボードやレポートを簡単に作成
  • 条件付きグラフやフィルタ機能が標準搭載
  • 簡易的なAI予測モデル(トレンド分析等)も可能

特にPower BIは、Microsoft 365ユーザーにとって親和性が高く、「Excelより一歩進んだビジュアライズ+分析」の世界を体験するのにうってつけ。社内のレポート業務の効率化や説得力のある資料作成にも直結します。

3. 学んだ知識を業務にどう活かすか

機械学習は決して“未来のテクノロジー”ではなく、日々の仕事に着実に活かせるビジネススキルです。Excelでの回帰分析やIF関数による分類を通じて、以下のような形で業務改善につなげていくことができます。

  • 売上予測の自動化:毎月の予算作成の精度向上に
  • 顧客分析の高度化:ターゲットセグメントの明確化でマーケティング効率UP
  • 新人教育にも応用:仮説構築〜検証を体験できる素材として便利

重要なのは、「データ活用」のマインドセットを身につけること。そして、手元のExcelから一歩踏み出してみる勇気です。

まとめ:Excelは「ゴール」ではなく「入口」

Excelは、誰でも使える強力なツールでありながら、機械学習の基本を直感的に学ぶには最適な環境です。しかし、その利便性ゆえに、本格的な分析や自動化には向かないこともあるのは避けられません。

だからこそ、今回学んだExcelでの回帰・分類の体験を土台に、次はPythonやBIツールへと視野を広げていくことをおすすめします。未来のあなたが、データから価値を生み出す「分析のプロフェッショナル」になっていることを願って。

ぜひ今日から一歩踏み出してみてください。未来の扉は、Excelのとなりにすでに開かれています。

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