1. ピボットテーブルとは何か?
エクセルには、膨大なデータを短時間で分析するための強力なツールが隠されています。その名もピボットテーブル。
あなたが大量のデータをいちいち一行ずつ確認する代わりに、ピボットテーブルはそれを瞬時に集計し、あなたが解析したい視点で分析を提供します。これにより、時間と労力を大いに節約できるのです。
しかし、具体的にピボットテーブルとは何なのでしょうか? シンプルに言うならば、ピボットテーブルは、データの集計、比較、分析、視覚化を容易にし、データのパターンやトレンドを明らかにするExcelの機能です。
例えば、あなたが営業マネージャーだとしましょう。毎月、各営業担当者から得られる売上データがあります。これらのデータを日々の売上、月次の売上、担当者別の売上、地域別の売上など、さまざまな視点から分析したいとします。大量のデータを一つ一つ手で解析するのは時間がかかる上、エラーが発生する可能性もあります。
ここでピヴォットテーブルが活躍します。ピボットテーブルを使えば、これらのデータをすばやく簡単に集計し、任意の形式で分析できます。また、あなたの疑問に即座に答えることができます。「この月の売上トップは誰だったのか?」「一番売上が伸びた地域はどこか?」など、リアルタイムで明確な答えを得ることができます。
これがピボットテーブルの基本的な役割と機能です。データ解析が柔軟で効率的になり、あなたはより高度な戦略的意思決定を行うことができます。
次の章では、ピボットテーブルの基本的な作成ステップについて解説します。
2. Excelでピヴォットテーブルを作成する基本ステップ
では、Excelでピボットテーブルを作成する基本ステップについて解説します。
まずは、新規にピボットテーブルを作成するために、‘挿入’タブを選択し、‘ピボットテーブル’をクリックします。すると、新規ピボットテーブルの作成画面が表示されます。
ピボットテーブルのデータソースを選択します。これが分析のための元となるデータです。データソースはExcelのテーブル、または行と列で構成された範囲である必要があります。
<img src="img/dataselection.png" alt="Data selection for Pivot Table">
次に、ピボットテーブルにデータを配置します。データの配置には、4つのエリア(行、列、値、フィルタ)があり、ここにフィールド(テーブルの列)をドラッグ&ドロップします。
<img src="img/fieldplacement.png" alt="Field placement in Pivot Table">
配置が完了すれば、ピボットテーブルが完成です。ヒエラルキー、計算の細かい設定は後から変更可能です。デフォルトでは、数値フィールドが自動的に合計され、非数値フィールドが行または列に配置されます。
なお、ピボットテーブルは元のデータを改変しないため、安心して分析を行うことができます。
最後に、データの更新があったらピボットテーブルを更新します。Excelの「データ」タブから「全ての接続」を選択し、「更新」をクリックします。これで、新たに追加されたデータを含む最新の状態のピボットテーブルが表示されます。
これがExcelでピボットテーブルを作成する基本的な手順です。
次の章では、異なるデータソースからのデータをピボットテーブルで結合する方法を解説します。
3. 異なるデータソースからのデータを結合する方法
ここでは、異なるデータソースから取得したデータを1つのピボットテーブルで統合する方法について説明します。これにより、全体の視野を広く持ち、意思決定の精度を押し上げることが可能となります。
Excelでは、Power Query
というデータ結合ツールを使用します。この強力な機能は、多様なデータソースからデータを抽出、変換、かつロードし、どこからでもデータの統合を実現します。
では、まず2つのテーブルを用意します。例えば、一つは製品情報のテーブル、もう一つは該当製品の売上情報のテーブルとします。2つのテーブルは製品IDで関連付けられ、それぞれ異なる詳細情報を有しています。
<img src="img/tables.png" alt="Two independent tables in Excel">
次に、'データ'
タブから'取得と変換'
の'クエリの結合'
をクリックします。新しいウインドウが開き、クエリ(データソース)を設定します。
<img src="img/combinequeries.png" alt="Combine queries option in Excel">
関連列(この場合は製品ID)を選び、結合タイプ(内部、左外部、右外部、全外部)を選択します。実際の選択は、どのデータを最終結果に含めたいかに依存します。ここでは全外部結合を選びましょう。
<img src="img/jointype.png" alt="Join type in Excel">
これで、2つのテーブルが一つに結合されました。データは一つの表にまとめられ、解析のための全体像が明確になります。
<img src="img/joinedtable.png" alt="Joined table in Excel">
ここで得られた結合データを元に、ピボットテーブルを作成すれば、それぞれのテーブルから取得したデータを結合したデータ解析が可能となります。
以上がExcelで異なるデータソースからのデータを結合する方法です。次の章では、より専門的なパーソナライズされたピボットテーブル分析の手法について解説します。
4. 専門的なパーソナライズされたピボットテーブル分析手法
自分だけのカスタマイズされたピボットテーブルを作成して、一歩進んだデータ分析を行いましょう。ここでは、「計算フィールド」の作成と「スライサー」の利用、それぞれの仕方について説明します。
計算フィールドを使用した分析
ピボットテーブルは、テーブル内で提供されるフィールドに対して、独自の計算フィールドを作成する機能を提供します。計算フィールドは、既存のフィールドに基づいて新たに生成されたフィールドで、自作の計算式に基づきます。
例えば、「数量」フィールドと「単価」フィールドがある場合、「売上」フィールド(数量 * 単価)を新たに作成することが可能です。ピボットテーブル上で「数式」を右クリックし、「計算フィールドを作成」を選択します。
<img src="img/calculationfield.png" alt="Create a calculated field in Pivot Table">
次に、「売上」という名前の計算フィールドと、「= 数量 * 単価」とすべての計算式を記入します。
<img src="img/fieldformula.png" alt="Creating a calculated field formula in Pivot Table">
これで、「売上」フィールドがピボットテーブルに追加されました。このように、計算フィールドを使用することで、詳細な分析が可能になります。
スライサーを使用した分析
スライサーは、データの視覚化に対する新たなアプローチを提供します。スライサーを使用すると、ピボットテーブル内の特定のデータフィールド内の情報を瞬時にフィルタリングすることが可能です。
スライサーを追加するには、「挿入」タブから「スライサー」を選択します。次に、フィルタリングしたいフィールドを選びます。
<img src="img/slicer.png" alt="Inserting a slicer in Pivot Table">
これで、スライサーが作成されました。具体的な値をクリックすることで、その値に一致するデータのみがピボットテーブルに表示されます。これにより、データの特定部分に関する迅速な視覚分析が可能になります。
<img src="img/useslicer.png" alt="Using a slicer in Pivot Table">
以上のように、計算フィールドやスライサーを使って、個々のニーズに合わせたカスタマイズされたピボットテーブルを作成することで、データ解析が一段と進化します。
次章では、これらの手法を活用した実践例を共有します。
5. ピボットテーブルを活用した実践例とその応用
これまで、ピボットテーブルの基本からカスタマイズ手法までを解説してきました。最終章では、これらの手法を活用した実践例とその応用を紹介します。
顧客セグメント別の売上分析
例えば、あなたが製品の売上データを管理していて、顧客属性(例:年齢層、所在地域)別の売上推移を分析したいとします。データ内には製品名、売上量、売上価格、購入者の年齢、地域等のカラムが存在しています。
まず、上記で説明した手順に沿ってピボットテーブルを作成します。行フィールドに「顧客属性」、値フィールドに「売上高」(数量 * 売上価格の計算フィールド)をセットします。これにより、顧客セグメント別の売上総額が一覧できます。
さらに分析を深堆させるため、「スライサー」を使用します。「地域」フィールドをスライサーに設定すれば、特定の地域の売上情報のみを表示することが可能となります。これにより、地域別の売上傾向をすばやく把握することができます。
ピボットテーブルの応用
ピボットテーブルは上記のような売上分析のみならず、あらゆるビジネスシーンで活用できます。営業活動の効果分析、マーケティングキャンペーンのROI計算、製品の在庫管理・予測などにも応用できます。
また、ピボットテーブルは他のExcel機能とも連動します。特定のセルをクリックすることで「ドリルダウン」を行い、詳細な情報を確認することができます。さらには、Excelの視覚化ツール(例:グラフ、チャート)を使用すれば、ピボットテーブルによる数値データを視覚化し、直感的な解釈が可能となります。
このようにピボットテーブルは、大量のデータから有益な情報を引き出す強力な武器です。その活用次第で、ビジネスの意思決定がよりデータドリブンかつ効果的になります。
今回の記事が、皆さんのExcelでのデータ分析に役立つことを願っています。お問い合わせやご質問がありましたら、お気軽にコメント欄からご連絡ください。
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