データの検索と参照を行うExcelのMATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせ技法

1章: データ検索と参照の基本：MATCH関数とXLOOKUP関数の基礎

Excelには多くの関数があり、それぞれの関数が持っている特性や使い道を理解することが、より効率的なデータ分析や処理を行うためのキーとなります。今回は、そのなかでもデータの検索と参照に特化した、MATCH関数とXLOOKUP関数に注目します。

MATCH関数は、指定した値がどの位置にあるのかを返す関数です。すなわち、配列内で引数と一致する最初の値の位置を求めることができます。「=”MATCH”(検索値,範囲,一致タイプ)」の形で使用します。一致タイプには、-1（大きい値、昇順,1（完全一致）,0（小さい値、降順）を指定します。

一方、XLOOKUP関数は、指定された値を見つけて、同じ行や列から値を返す関数です。「=”XLOOKUP”(検索値,検索範囲,戻り範囲,エラー値,一致モード,検索モード)」の形で使用します。エラー値は、検索値が見つからなかった場合に表示する値を指定する場所です。一致モードは、検索範囲内で検索値が見つからない場合の戻り範囲の計算方法を指定します。範囲検索（-1で一番近い値、0で完全一致、1で一番近い値）を行うことろができます。検索モードは、検索範囲内でデータを探索する方法（-1から1の値）を指定します。

このMATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせることで、複雑なデータ探索や参照を行うことが可能になります。例えば、MATCH関数で特定の値がある位置を検出し、その位置情報を使ってXLOOKUP関数で対向のデータを抽出する、といった使い方が可能です。

以上が基本的な関数の説明になります。次の章では、具体的な使い方や活用例を紹介していきます。

2章: ExcelのMATCH関数：使い方と活用例

MATCH関数は、指定した配列内で特定の値が存在する位置を取得するために使用します。この関数の一般的な書式は以下の通りです：

=MATCH(lookup_value, lookup_array, [match_type])

ここで、lookup_valueは検索したい値、lookup_arrayは検索対象の範囲、match_typeは一致のタイプ(-1, 0, 1)です。

まず、MATCH関数の基本的な使い方から見てみましょう。以下の表を使って、「John」が何行目にあるのかを調べてみます。

この場合、検索値は”John”、配列はB2:B5、一致タイプは0（厳密一致）となります。したがって、以下のように関数式を書きます：

=MATCH("John", B2:B5, 0)

この式を実行すると、「John」は3番目に見つかったため、結果は「3」となります。

また、MATCH関数を使って他のExcel関数と組み合わせることも可能です。例えば、INDEX関数と組み合わせることで、特定の行と列にある値を広範囲のデータから探すことができます。

次に、MATCH関数とINDEX関数を組み合わせた例を見てみましょう。以下の表で、人物の名前に対応する年齢を探すことを考えます。

この場合、「Emma」の年齢を見つけるために、以下のようにMATCH関数とINDEX関数を組み合わせて使用できます：

=INDEX(B2:C5, MATCH("Emma", B2:B5, 0), 2)

これにより、”Emma”がB列の3番目、つまり年齢がC列の3番目に存在することがわかるため、「25」が結果として返されます。

MATCH関数は独立して使用するだけでなく、他の関数と組み合わせても強力なツールとなることがわかります。業務でデータの位置を探す必要がある場面に遭遇したときは、ぜひMATCH関数を活用してみてください。

3章: ExcelのXLOOKUP関数：使い方と理解の深め方

XLOOKUP関数は、Excelでデータ検索を行うために使用される非常に強力なツールです。これにより、一方の列にある値を元に、他の列から値を検出して参照することが可能になります。

ここでは、まず基本的な使い方から始めて、その後XLOOKUP関数の機能をより深く理解するためのヒントを提供します。

=XLOOKUP(lookup_value, lookup_array, return_array, [if_not_found], [match_mode], [search_mode])

これがXLOOKUP関数の構文です。これは、検索値を検索配列で見つけ、その位置に対応する値を戻り値配列から返すという動作をします。

以下に 示す表を利用して、”John”の年齢を探してみましょう。

この場合、以下のようにXLOOKUP関数を使用します。

=XLOOKUP("John", A2:A5, B2:B5)

この式を実行すると、「John」の歳である「40」が返ります。XLOOKUP関数は指定した検索値(“John”)を検索配列(A2:A5)で見つけ出し、その位置(3行目)に対応する値を戻り値配列(B2:B5)から返すという動作をしています。

XLOOKUP関数は、さまざまな状況に対して柔軟に対応できます。たとえば、if_not_found引数を使用することで、検索値が配列内に存在しないときの返り値をカスタマイズできます。以下に示す式は「Paul」の年齢を探しますが、「Paul」は配列内に存在しないため、「Not Found」という値を返すように設定しています。

=XLOOKUP("Paul", A2:A5, B2:B5,"Not Found")

このように、XLOOKUP関数は高度なカスタマイズ可能性と複雑な検索タスクの柔軟性を提供します。しかし、その有用性はMATCH関数と組み合わせることでさらに上がります。具体的な方法は、次の章で説明しましょう。

4章: MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせ：具体的な手順とテクニック

ExcelのMATCH関数とXLOOKUP関数は単体でも非常に強力な関数ですが、一緒に使うことでさらなる恩恵を得ることができます。今回は、これら二つの関数を組み合わせて一度に行と列のどちらの条件にも基づくデータを検索できる方法を説明します。

以下の表を使って説明しましょう。

上記の表では、各種類の果物（Apple、Banana、Cherry）が、それぞれの月（January、February）における販売数量を示しています。MATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせることで、「Banana」の「February」における販売数量を取得することが可能になります。

まず、MATCH関数を使って”Bannana”と”February”がそれぞれ何行目何列目にあるのかを把握します。

=MATCH("Banana",B2:B4,0)    '行の位置
=MATCH("February",C1:D1,0) '列の位置

これらのMATCH関数を使用すると、”Banana”が2行目、”February”が2列目であることがわかります。

得られた行と列の値を、XLOOKUP関数のlookup_valueパラメータに使うことで、特定のデータを取得することができます。

=XLOOKUP(MATCH("Banana",B2:B4,0), B2:B4, C2:D4)
=XLOOKUP(MATCH("February",C1:D1,0) , C1:D1, C2:D4)

しかし、これらをそのまま使うと「Banana」について「January」のデータと「February」のデータが混在した結果を返し、「February」について「Apple」「Banana」「Cherry」のデータが混在した結果を返します。そこでこれらを組み合わせて、必要な行と列を1つだけ抽出します。

=XLOOKUP(MATCH("Banana",B2:B4,0), B2:B4, INDEX(C2:D4,,MATCH("February",C1:D1,0)))

このようにINDEX関数を利用して、特定の行だけを抽出する領域をXLOOKUP関数に与えれば、「Banana」の「February」の販売数量を取得することができます。結果は「160」となります。

この技法を使うことで、Excelの表から特定の行と列に該当するデータを効率的に抽出できます。MATCH関数とXLOOKUP関数を組み合わせることで、みなさんの日々のデータ分析作業をよりスムーズに、そしてより効率的に進めることが可能になります。

5章: MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせと実践：業務での利用例と効果的な使い方

上述の4章では、MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせによる効果的なデータ抽出の手段を学びました。この章では、実務でこの組み合わせをどのように活用すればよいか、具体的な例としてみていきましょう。

製品の月別売上分析

ある会社が多数の製品を取り扱っているとします。製品のパフォーマンスを追跡するための毎月の売上データがあり、特定の月に特定の製品の売上を知りたいとします。このような場合、MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせは大変便利なツールとなります。

=XLOOKUP(MATCH("製品名",製品の縦リスト,0), 製品の縦リスト, INDEX(売上の表,,MATCH("月名",月の横リスト,0)))

この式で、「製品名」の「月名」の売上をすばやく取得できます。

在庫管理

在庫が複数の倉庫に分散している場合、特定の倉庫に特定の商品がどれだけ在庫があるのかを把握するのが難しいことがあります。また、商品を追跡するためには、商品名と倉庫名の両方に基づいたデータが必要となります。

=XLOOKUP(MATCH("商品名",商品の縦リスト,0), 商品の縦リスト, INDEX(在庫の表,,MATCH("倉庫名",倉庫の横リスト,0)))

続いてこのような式を使うと、「商品名」の「倉庫名」の在庫数を具体的に知ることができます。

経費報告

部門別に発生した経費を知りたい場合も、このテクニックは助けになるでしょう。

=XLOOKUP(MATCH("部門名",部門の縦リスト,0), 部門の縦リスト, INDEX(経費の表,,MATCH("月名",月の横リスト,0)))

上記のように式を作成することで、「部門名」における「月名」の経費を特定することが可能になります。

以上のように、MATCH関数とXLOOKUP関数の組み合わせは、業務上で複雑なデータ抽出を必要とする様々な状況で非常に有用です。この組み合わせにより、Excelの表から特定の条件に基づくデータを効率良く抽出することができ、日々の業務をより効率化し、正確性も向上させることが期待できます。