レジャイナ(Regina)は、カナダ中部サスカチュワン州の州都です。人口は226,404人(2021年国勢調査のRegina Census Subdivision)で、市は自らを「カナダで16番目に大きい都市」と紹介しています。都市圏(CMA)人口は263,184人で、標高577メートルの平原のただ中にあります。
この街の特徴は、王立カナダ騎馬警察(RCMP)の訓練アカデミーがここにしかないことです。RCMPは公式サイトで「カナダ全土の19,000人を超える警察官のほぼ全員が、ここDepotで訓練を受けている」と書いています。観光・ビジネス・食事・宿泊・治安・お土産の6つの切り口で、出張や転勤でレジャイナに向かう人に必要な事実を整理します。
※本記事の数値・評価は2026年10月時点で公開されている情報に基づきます。Googleの口コミ評価・件数も同時点で確認したものです。日本の外務省および在外公館はこの都市を「リジャイナ」と表記しています。
1章 観光:州議事堂、騎馬警察、そして世界最大のティラノサウルス
主要な見どころは、ほぼすべてがワスカナ・センターという都市公園と、RCMPの敷地に集まっています。半日で2〜3か所を回れる距離感です。
◆サスカチュワン州議事堂(ワスカナ・センター内)
州議会事務局の説明によれば、1908年から1912年にかけて建設されました。設計はモントリオールのE. & W.S. Maxwell事務所。建物は十字形の平面で、中央のロタンダの上にドームが載ります。外壁は当初の赤レンガ案からスコット州首相の要望で変更され、マニトバ州産のクリーム色のタインダル・ストーンで仕上げられました。1912年時点の最終建設費は180万ドルで、1978年にはサスカチュワン州で最初に州の歴史的建造物に指定されています。
見学ツアーは無料で、グッドフライデー・クリスマス・ボクシングデー・元日を除き年中実施されています。夏期(5月のヴィクトリア・デーの連休〜9月のレイバー・デーの連休)は30分おきに9時〜17時、冬期は60分おきに9時〜12時と13時〜17時。英語とフランス語に対応します。入館時には全員が保安検査を受け、写真付き身分証の提示が求められます。
◆RCMPヘリテージ・センター(5907 Dewdney Avenue)
RCMP訓練アカデミー「Depot」Divisionの敷地内にある博物館で、1873年の創設から現在の活動までをたどります。VR・AR体験の展示もあります。サスカチュワン州観光局は「6月から8月の平日は、訓練アカデミーのトロリー・ツアー付きでSergeant Major’s Parade(軍曹長巡閲)を見学できる」と案内しています。開館は通常期が毎日11時〜17時、夏期(5月の連休明け〜9月上旬)が毎日10時〜17時。入館料は大人10ドル、シニア(60歳以上)・学生・12〜17歳が8ドル、家族(大人2人+子ども2人)30ドル(いずれも別途税)。11月11日は休館です。
◆ロイヤル・サスカチュワン博物館(2445 Albert Street)
祝日を含め毎日9時30分〜17時に開館し、入館は寄付制(目安は1人5〜10ドル)で全展示とプログラムが含まれます。目玉は、博物館が「世界最大のT. rex」と呼ぶScottyです。2019年3月21日に学術誌The Anatomical Recordで世界最大かつ最高齢のT. rexとして記載され、推定体重8,870キログラム、全長13メートル、推定年齢28歳超とされています。
◆ワスカナ・センター(市中心部南側)
サスカチュワン州観光局によると930ヘクタールの都市公園で、中心に120ヘクタールの湖があります。州議事堂、ロイヤル・サスカチュワン博物館、サスカチュワン・サイエンスセンター、マッケンジー美術館が園内に並び、遊歩道とサイクリングコースが整備されています。冬は湖上スケートとクロスカントリースキーの場になります。
2章 ビジネス:州政府と警察学校、そして空の便
市が公表する「Regina at a glance」は、市内の主要産業として小売、金融、病院、建設、小中学校、州政府、高等教育、飲食サービス、卸売、情報・文化産業の10分野を挙げています。高等教育機関は3つで、レジャイナ大学、サスカチュワン・ポリテクニックのレジャイナ校、First Nations University of Canadaです。
◆RCMP Depot Division(RCMPアカデミー)
RCMPが「Home of the RCMP」と呼ぶ、国の警察官養成機関です。Cadet Training Programは26週間のフルタイム課程で、英語とフランス語の両方で通年実施されます。候補生は32人編成のトループで寮生活を送り、寮・食事・構内のスポーツ施設の費用はRCMPが負担、訓練期間中は週1,000ドルの手当が支給されます。アカデミーは候補生の訓練だけでなく、国内外の法執行機関・規制機関向けの研修も請け負っています。
- 公式情報:RCMP Depot Division
観光も規模のある産業で、市のまとめでは年間249万回の訪問・宿泊が8,000を超える雇用と7億ドルの経済効果を生んでいます(2019年、Economic Development Regina)。
◆レジャイナ国際空港(YQR)
レジャイナ空港公団によれば、通年の国内直行便はバンクーバー、カルガリー、エドモントン、ウィニペグ、トロントの5都市(エア・カナダとウエストジェット)で、夏季にケロウナ、モントリオール、ハリファックスが加わります。国際線は通年で米国のミネアポリス=セントポール(ウエストジェットとデルタのコードシェア)とデンバー(ユナイテッド航空)の2路線。デンバー線は2025年5月15日に就航した2本目の通年越境便です。日本から向かう場合は、バンクーバー、カルガリー、トロントのいずれか、または米国経由で1回乗り継ぐ形になります。
3章 食事:口コミ2,200件のブリュワリーと、ダウンタウンの2軒
レジャイナの外食は、ダウンタウンのScarth StreetとCornwall Street周辺、そしてDewdney Avenueに集まっています。
◆Bushwakker Brewpub(2206 Dewdney Ave)
Googleの口コミは★4.5・約2,218件。公式サイトは自店を「THE REAL SASKATCHEWAN BREWPUB EXPERIENCE」と掲げ、物理学の教授で受賞歴のあるホームブリュワーだった故Bev Robertson博士が創業したと記しています。月曜はジャズ&ブルースの生演奏、水曜はフォークナイト、毎月第1金曜の17時30分には「First Firkin Friday」の樽開け。ランチ・ディナーを含め、入店は19歳以上に限られます。
◆Kimchi(1834 Scarth St)
ダウンタウンの韓国料理店。Googleの口コミは★4.8・約1,013件、Googleの価格帯表示は1人10〜20ドルで、昼に1人で入りやすい部類です。
◆Bar Willow Eatery(3000 Wascana Dr)
サスカチュワン州観光局がワスカナ・センター内のレストランとして名前を挙げる3軒のうちの1軒で、湖に面したデッキ席が売りです。Googleの口コミは★4.3・約937件。残る2軒は、サスカチュワン・サイエンスセンター内のSkye Cafe and Bistroと、マッケンジー美術館内のCraft Servicesです。
4章 宿泊:会議室の規模で選べる3軒
会議や研修を伴う出張なら、イベントスペースの規模で選ぶのが早い街です。市の中心部に、性格の違う3軒が並びます。
◆Delta Hotels Regina(1919 Saskatchewan Drive/+1 306-525-5255)
マリオットの公式情報では、イベントルーム23室、総イベントスペース29,845平方フィート(約2,773平方メートル)、最大会場の収容人数1,600人、ブレイクアウトルーム15室。AV機材と常駐技術者の手配にも対応します。
◆The Hotel Saskatchewan, Autograph Collection(2125 Victoria Avenue/+1 306-522-7691)
マリオットの公式情報によると1927年に建てられたホテルで、当時の内装を保っています。イベントルームは12室、総面積15,420平方フィート(約1,433平方メートル)。公式サイトはモザイク・スタジアム、レジャイナ大学、ロイヤル・サスカチュワン博物館へのアクセスが便利だと説明しています。
◆DoubleTree by Hilton Hotel and Conference Centre Regina(1975 Broad Street/+1 306-525-6767)
ヒルトンの公式説明は「18,000平方フィート(約1,672平方メートル)を超える会議スペース」「空港から10分の立地で、出張に最適」。名前のとおり会議施設を前面に出したホテルです。
ロイヤル・サスカチュワン博物館の公式サイトは、同館からレジャイナ国際空港まで車で6分、モザイク・スタジアムまで6分としています。冬の装備は軽視できません。在カルガリー日本国総領事館の「安全の手引き」は、管轄地域について「冬期の寒さが非常に厳しく、防寒具が重要」と明記しています。
5章 治安:危険情報は出ていないが、総領事館の管轄5州は「他州よりも高く」
日本の外務省が出す危険情報とスポット情報は、カナダに対しては発出されていません。ただし外務省の安全対策基礎データは、カナダについて「一般的に治安が良いと言われていますが、犯罪発生率(人口10万人あたりの犯罪認知件数)は日本の約10倍の水準」と書いています。
サスカチュワン州を管轄するのは在カルガリー日本国総領事館(管轄はアルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州、ノースウエスト準州、ヌナヴット準州)です。同館の「安全の手引き」(令和6年6月10日)は、カナダ統計局を出典にこう述べています。「カナダ政府の2022年の犯罪統計によると、当館管轄の5州の犯罪発生率は、カナダの他州よりも高く、2021年と比較するとアルバータ州(+2%)、サスカチュワン州(+3%)、マニトバ州(+14%)、北西準州(+8%)、ヌナブト準州(-4%)」。
外務省は空港・ホテル・レストランでのスリと置引きを名指しし、「被害に遭った日本人旅行者の多くが、貴重品を入れたバッグを短時間、足元や近くの椅子の上に置いた隙に盗まれています」と書いています。さらに「日本人を含むアジア系観光客から盗んだ財布やバッグに多額の現金が入っていたことに味をしめた窃盗グループが、日本人旅行者を専門に狙っている可能性」にも触れています。
強盗については、外務省が「米国と国境を接するため銃の密輸が後を絶たず」銃器を使った強盗が増加傾向にあると指摘し、「身体の安全を第一に考え、絶対に抵抗はせず」と対応を示しています。総領事館は「都市の中心部等の路上ではホームレスや薬物中毒者が集まっていることがあります」とし、カナダで大麻の使用が合法化されていても、日本の大麻取締法は国外での違反も処罰の対象になると注意しています。
レンタカーを使うなら、総領事館が挙げる交通ルールの差は押さえておく必要があります。右側通行で、信号や指示標識のない交差点は右側の車が優先、ロータリーは内側の車が優先、赤信号でも安全を確認できれば右折可(禁止の交差点あり)。冬期は道路が凍結するため冬用タイヤが推奨され、野生動物と衝突して怪我をさせたり死亡させた場合は警察への通報義務があります。
緊急通報は911で、州や地域によっては日本語通訳の手配が可能な場合があります。市内の病院として総領事館はRegina General Hospital(306-766-4444)を挙げています。領事関係の相談先は在カルガリー日本国総領事館(403-294-0782)。航空機でカナダに入国・トランジットする場合はeTA(電子渡航認証)の事前取得が必要です。
6章 お土産:州の公式紋章になったティラノサウルスと、騎馬警察のグッズ
レジャイナの土産は、州と国の公式なシンボルを扱う2つのミュージアムショップに絞ると外しません。
◆RCMPヘリテージ・センターのギフトショップ(5907 Dewdney Avenue)
サスカチュワン州観光局は、このショップについて「カナダの多様性を coast to coast to coast で表すユニークな商品を扱い、幅広いRCMPブランド製品を含む」と説明しています。騎馬警察のグッズを、その訓練アカデミーの敷地内で買えます。
◆ロイヤル・サスカチュワン博物館のThe Museum Shop(2445 Albert Street)
Scottyのグッズを扱う売り場です。州政府の発表(2016年5月19日)によると、Scottyは公募の末にサスカチュワン州の公式化石に選ばれました。約6,500万年前のT. rexの骨格で、州内で見つかった最初のT. rexです。1991年8月16日に当時Eastendの高校教師だったRobert Gebhardt氏が博物館の調査に同行して発見し、1994年6月に始まった発掘にはその年だけで6,000人以上が現場を訪れました。発表当時のパークス・文化・スポーツ大臣Mark Docherty氏は「T. rexを公式紋章にしているカナダの州や米国の州は他になく、サスカチュワンが最初で唯一だ」と述べました。
州政府の資料によれば、州の花はウエスタン・レッド・リリー(紋章ではビーバーがこの花をくわえています)、州の公式スポーツはカーリング、紋章には麦の穂(Wheat Sheaf)が使われています。
まとめ
レジャイナは、州議事堂とRCMPアカデミーという2つの公的施設が街の性格をつくっている都市です。主要産業の上位に州政府と高等教育が並び、見どころは930ヘクタールのワスカナ・センターとRCMPの敷地にほぼ集まっているので、滞在が短くても回せます。
行くならこう組み立てます。市の中心部に宿を取り、会議の規模に応じてDelta(最大1,600人)、Hotel Saskatchewan(1927年築)、DoubleTree(18,000平方フィート超)から選ぶ。空いた半日で州議事堂の無料ツアーとロイヤル・サスカチュワン博物館(寄付制)を回り、6月から8月ならRCMPヘリテージ・センターの平日トロリー・ツアーでSergeant Major’s Paradeを押さえる。夜はBushwakkerで州のクラフトビール、ただし入店は19歳以上。危険情報は出ていませんが、在カルガリー総領事館は管轄する5州(サスカチュワン州を含む)の犯罪発生率がカナダの他州より高いと明記しています。バッグは足元に置かず、レンタカーの車内に荷物を残さないこと。冬に行くなら、防寒具は持参してください。


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