ラヨーン (Rayong)ってどんな街?!徹底解説!

ラヨーン (Rayong)ってどんな街?!徹底解説! ライフスタイル

タイの首都バンコクから東へ約170km、車で3時間半〜4時間の場所にあるラヨーン(Rayong)。日本ではほぼ無名ですが、タイに関わるビジネスマンにとっては話が別です。ここはEEC(東部経済回廊)を構成する3県のひとつで、日系製造業がタイで最も濃く集まっているエリアの中心にあります。

同時に、白砂で知られるサメット島の玄関口でもあり、シーフードと果物の産地でもある。この記事では観光・ビジネス・食事・宿泊・治安・お土産の6つの切り口から、出張でも旅行でも使えるようにラヨーンを整理します。

※本記事の数値・評価は2026年9月時点で公開されている情報に基づきます。Googleの口コミ評価・件数も同時点で確認したものです。

1章 観光:サメット島と、タイでも珍しい「左向きの寝釈迦仏」

ラヨーンの観光は海が主役です。タイ国政府観光庁(TAT)はベストシーズンを海が穏やかな10月〜4月、特に11月〜2月としています。

◆サメット島(Ko Samet)
ラヨーンのビーチの南東、沖合約7kmに浮かぶ島。全体が海洋国立公園「カオ・レムヤ-ムー・コ・サメット国立公園」に指定されていて、入園料は200バーツです。島で一番美しいとされるサイケオ・ビーチは約800m続く白砂で、シーカヌーなどのマリンスポーツもできます。

  • 行き方:バンコク市内→ラヨーン中心部が車で約4時間、ラヨーン中心部→バンペー桟橋が約30分、桟橋から船で約1時間。船賃は行き先のビーチにより約50〜100バーツ
  • 公式情報:タイ国政府観光庁「サメット島」

◆ワット・パープラドゥー(Wat Pa Pradu)
ラヨーン市中心部から約15分の寺院。ここの涅槃仏は全長11.95m・高さ3.6mで、タイでは極めて珍しい「左側を下にした」姿勢で横たわっています。タイの寝釈迦仏はほぼすべて右側を下にしているので、見慣れた人ほど違和感で足が止まる一体です。拝観は9:00〜19:00。

◆カオ・チャマオ・カオ・ウォン国立公園
ラヨーン市内から約71km。プラセ川の源流にあたり、ローズウッドの原生林や野生のランが見られます。2kmと3kmの遊歩道が整備されていて、入園料は大人200バーツ・子供100バーツ。海だけで終わらせたくないときの選択肢です。

2章 ビジネス:EECの中核県。県内総生産の78%が製造業

ラヨーンを語るうえで外せないのがEEC(東部経済回廊)です。EECはチャチュンサオ県・チョンブリー県・ラヨーン県の3県で構成される国家プロジェクトで、対象事業にはBOIの優遇(法人税の減免など)が用意されています。現地の日本人会によれば、東部3県の域内GDPはタイ全体の15%超、インフラ整備予算は当初5年間で約1兆7,000億バーツにのぼります。

ラヨーン県そのものの数字を見ると、性格がはっきり出ます。タイ商務省ラヨーン県事務所の資料では、県内総生産(GPP)は857,191百万バーツ、人口は939,740人。そして産業構造は製造業77.90%、サービス・商業18.80%、農業3.30%。完全な工業県です。

主要な工業団地は次の2つです。

  • マプタプット工業団地(1989年設立、総面積8,558ライ)── タイ工業団地公社(IEAT)が運営する石油化学の一大拠点。深海港に直結しています。IEAT公式
  • イースタンシーボード工業団地ラヨーン(ESIE)(9,688ライ)── 361社超が入居する自動車クラスター。トヨタグループの25施設があり、世界トップ25の自動車サプライヤーのうち15社が立地しています。レムチャバン深海港まで30km、バンコクまで117km。WHA公式

インフラ側も動いています。マプタプット工業港フェーズ3は総投資936億バーツで、インフラ工事は2025年3月末に完了、運用開始は2029年の予定。ドンムアン・スワンナプーム・ウタパオの3空港を結ぶ高速鉄道(全長220km、最高速度250km/h)は2031年の全線開業を目指しています。ラヨーンの空の玄関口ウタパオ空港は正式名称を「U-Tapao Rayong-Pattaya International Airport」といい、事業会社は同空港を「バンコク第3の国際空港」と位置づけています。

3章 食事:シーフードの県であり、ナンプラーの産地でもある

TATはラヨーンを「新鮮なシーフード、トロピカルフルーツ、そしてタイ料理に欠かせないナンプラー(魚醤)の醸造」で有名な県と紹介しています。英語版サイトの表現は端的に「Seafood paradise」。バンペー市場ではエビペースト(カピ)、干しエビ、干しイカ、塩漬け魚が名物です。

◆レムチャロン・シーフード ラヨーン店(Pak Nam、海岸沿い)
バンコクの主要百貨店に30店以上を展開するシーフードチェーンの、ラヨーンの海沿いにある店舗。看板はスズキ(プラー・カポン)料理で、カレーや火鍋、エビ・イカ料理も揃います。Googleの口コミは★4.3・約5,100件と、県内でも突出した評価数です。

もう一軒挙げるなら、地元客の多いJea Pheung Seafood(Googleの口コミ★4.5・約2,800件)。どちらも予算感は1人200〜600バーツ台からで、日本の感覚では驚くほど安くシーフードが食べられます。

日本食が恋しくなっても心配は要りません。JETROの「2025年度タイ国日本食レストラン調査」によれば、ラヨーン県の日本食レストランは77店舗で全国11位。人口94万人の県としては相当な密度で、駐在員コミュニティの厚さがそのまま数字に出ています。

4章 宿泊:工業団地に寄せるか、ビーチに寄せるか

ラヨーンの宿選びは「仕事の場所」で決まります。マプタプットの工業団地に通うのか、ラヨーン市街で会議なのか、それとも週末をビーチで過ごすのか。

◆ホリデイ・イン・エクスプレス ラヨーン・マプタプット(858 Sukhumvit Road, Noen Phra)
公式サイトが「マプタプット工業団地の中心に位置する」と明記しているホテル。無料朝食、24時間利用のフィットネス、4階の屋外プール、EV充電器、無料駐車場を備えています。工場往復が主目的ならここが最短距離です。

◆ノボテル・ラヨーン・スター・コンベンションセンター(109 Sukhumvit Road, Tha Pradu)
ラヨーン市街の234室のホテル。会議施設が9会場あり、メインボールルームはカクテル形式で2,000名規模。公式サイトは「工業エリアまで車で30分圏内」「ウタパオ空港40km、スワンナプーム空港150km」と案内しています。セミナーや式典を主催する側になったときの候補です。

◆Kantary Bay Hotel, Rayong(50 Beach Road, Paknam)
スタジオスイートから2ベッドルーム・スイートまで揃う長期滞在型。数週間から数か月の出張で使うならこのタイプが現実的です。

週末を海で過ごすならラヨーン・マリオット・リゾート&スパ(ビーチフロント、バンコクから車で約3時間、プール2種・スパ・レストラン5軒)。サメット島に泊まるなら、TATが紹介しているサイケオ・ビーチ・リゾート、アオ・プラオ・リゾート、パラディー・リゾート&スパなどがあります。

5章 治安:ラヨーン県に危険情報は出ていない。ただし隣県は違う

まず結論から。外務省の危険情報(2026年7月2日発出)でラヨーン県は対象地域に含まれておらず、危険レベルの発出はありません。一方、隣接するチャンタブリ県はカンボジア国境から30km以内がレベル3(渡航中止勧告)に指定されています。ラヨーンから東へ足を伸ばす予定があるなら、行き先を必ず確認してください。

レベルが出ていないことと、安全であることは別です。外務省は2025年のタイ警察統計として殺人(未遂含む)3,981件、強制性交等1,875件、盗難等34,961件を挙げ、「凶悪事件の発生率は、日本と比べ非常に高い水準」と明記しています。挙げられている主な手口は次のとおりです。

  • 「お金見せて詐欺」:外国人男性から「お金を見せてほしい」と声をかけられ、やりとりの間に現金やカードを抜き取られる。在タイ日本国大使館が2024年から2026年2月まで繰り返し注意喚起しています
  • 睡眠薬強盗:飲み物に薬物を入れられ、眠り込んだところで金品を盗まれる
  • 抱きつきスリ:数名の子供や女性がなれなれしく身体に触れ、その隙に盗む
  • ぼったくり・ロマンス詐欺:繁華街のカラオケ店での高額請求、交際相手を装った金銭要求

そしてラヨーンのような地方部で最も現実的なリスクは交通です。大使館の「安全の手引き」は、バイクの運転には自動車免許とは別にバイク免許が必要で、国際免許証が自動車のみの場合は小型バイクも運転できないと明記しています。飲酒運転の取り締まりも行われており、死亡・重傷事故が多いことも記載されています。レンタルバイクは返却時に「傷をつけた」として高額な修理代を請求されるトラブルがあるため、借りる時点で傷を撮影しておくのが定石です。

外務省は「『タイは安全』というイメージは危険」とはっきり書いています。旅券不携帯で職務質問された場合に罰金や身柄拘束の可能性がある点も、出張者は覚えておいて損はありません。

6章 お土産:GI登録のパイナップルと、魚醤の県

ラヨーンの土産は食べ物一択と言っていいくらい、農水産物が強い県です。

◆ラヨーン・ゴールドパイナップル(GI登録)
タイの地理的表示(GI)に登録された特産品で、登録番号 สช.62100124、登録日は2019年7月8日。加工用パイナップルの作付は23,517ライ・収穫138,756トンにのぼります。TATによれば、ラヨーン県のパタビア種は「シーラチャ・パイナップル」とも呼ばれます。

◆ドリアン・マンゴスチンなどの果物
ラヨーンはチャンタブリー県・トラート県と並ぶタイ東部の果物産地。ドリアンの作付は68,555ライ・収穫120,080トンで、ラヨーン産モントーン種ドリアンはGI登録の手続き中です。果物が最盛期を迎える5月には毎年「ラヨーン・フルーツ・フェスティバル」が開かれ、フルーツパレードや品評会が行われます。

◆ナンプラー(魚醤)と海産加工品
TATが「ナンプラーの醸造で有名」と挙げているとおり、魚醤は県を代表する産品です。バンペー市場ではカピ(エビペースト)、干しエビ、干しイカ、塩漬け魚が並びます。タイ商務省の資料では、県のOTOP(一村一品)商品として水産加工品、果物の砂糖漬け、真鍮製品、ハーブ薬が挙げられています。

まとめ

ラヨーンは、観光地としてではなく「働きに行く街」として名前を知るタイプの都市です。EECの中核県で、県内総生産の78%が製造業。トヨタグループだけで25施設が集まり、日本食レストランは県内に77店ある。

そのうえで、車で30分も走れば白砂のビーチがあり、船に1時間乗ればサメット島に着く。出張のスケジュールに半日空きができたら、迷わず海側へ向かうのが正解です。バンペー市場でカピか干しエビを買っておけば、土産の心配も片付きます。

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