統計分析が苦手な人向けのExcel関数入門

統計分析が苦手な人向けのExcel関数入門 IT

第1章:そもそも統計分析って何?苦手意識をなくす第一歩

「統計」と聞くと、数字ばかりで難しそう数学が得意な人だけが使うものというイメージを持っていませんか?実際、文系出身のビジネスパーソンや、数字を扱うのが苦手な方からそうした声をよく聞きます。でも安心してください。

統計分析とは、「たくさんのデータを整理して、そこから何かの傾向や特徴を読み解く技術」のこと。複雑な計算をするというより、情報を見える化して、より良い判断を下すためのツールなのです。

たとえばあなたが営業部にいて、各チームメンバーの月ごとの売上額を集計しているとしましょう。ただ「○○さんは今月500万円で多かったね」と見るだけでは、どれくらい優れていたのか、全体の中で偏っていたのかは分かりません。
他の人のデータと合わせて見ていく中で、平均(AVERAGE)中央値(MEDIAN)ばらつき(標準偏差)などの指標を使うことで、「本当にすごかったのか」「たまたまラッキーだったのか」といった視点が生まれます。

つまり統計分析は、「データから正しい意味を読み取る力」であり、Excelと簡単な関数を使えば、多くの場面で役立つ武器になります。

ビジネスの現場での統計分析のちょっとした使い方

  • 営業成績の傾向を分析して、誰にどの案件を任せるべきか考える
  • 新商品のテスト販売データから、ヒットの可能性が高いターゲット層を見つける
  • アンケート結果から顧客満足度を数値で読み取り、改善ポイントを明らかにする

このように、結論を数字から導き出すことができると、マーケティング、企画、営業、人事など、あらゆる職種で活躍の幅が広がります。

しかもその ほとんどは、Excel関数で完結します。複雑な統計ソフトや、専門知識がなくても、基本的な考え方と関数の使い方さえ押さえれば、統計の基本分析はできるのです。

統計の知識=“分析力”ではない

ここでひとつ覚えておいて欲しいのは、「統計の知識があるだけでは足りない」ということ。きちんと使いこなすためには、数字の意味を読み解こうとするマインドが欠かせません。
つまり、「この数字は何を表しているのか?」と問いかけることが、統計分析の第一歩なのです。

「統計分析が苦手」と感じていたあなたも、考え方を少し変えて、「データから答えを引き出すゲーム」だと思ってみてください。必要なのは、関数の知識ではなく、“問い”を立てる力なのです。

次章からは、統計分析の第一歩として、Excelでかんたんに使える基本関数を3つ紹介します。ここを押さえておくだけで、日々の業務に活きてくるはずです!

第2章:まずはこれだけ!覚えておきたい基本関数3選(AVERAGE・MEDIAN・MODE)

統計分析の最初の一歩として、まず覚えたいのが「データの中心を見る」という考え方です。同じように見える数字の集まりでも、どこに重心があるのかを理解することで、情報のとらえ方がまったく変わります。
そのときに登場するのが、ExcelのAVERAGE(平均)MEDIAN(中央値)、そしてMODE(最頻値)という3つの関数です。

1. AVERAGE関数:「ざっくり平均」を出す定番中の定番

まずはみなさんおなじみの平均を求める関数、AVERAGEです。全体のデータを足し合わせて、データの数で割った値が「平均値」です。

=AVERAGE(B2:B10)

上記のように入力すれば、セル範囲B2からB10の平均を求められます。たとえば、ある週の売上やアクセス数など、数字のざっくりとした傾向をつかむには最適です。
ただし注意点として、極端に大きい(または小さい)値がある場合、平均が実態を正しく表さないこともあります。そんなときは、次の関数が役立ちます。

2. MEDIAN関数:「真ん中の値」で偏りをなくす

数字の偏りを排除して、ちょうど真ん中の値を取りたいときはMEDIAN関数を使いましょう。

=MEDIAN(B2:B10)

MEDIANは、値を大きい順や小さい順に並び替えたときの「中央の値」を返します。たとえば次のようなデータがあるとします。

5, 6, 7, 8, 100

このとき、平均(AVERAGE)は 25.2 になりますが、中央値(MEDIAN)は 7 です。平均は100という極端な値に引っ張られてしまいますが、MEDIANは実際の傾向に近い位置を示してくれます。
つまり、ボーナス額や面接の評価点数など、一部のデータが異常に偏っている場面での集計に効果的です。

3. MODE関数:「よく出る値」=最頻値を知る

最後に紹介するのはMODE関数。これは最も多く出現する数字、つまり最頻値を教えてくれます。

=MODE.SNGL(B2:B10)

たとえば、商品レビューで「1〜5点」の評価が10件集まった時、最も多く選ばれた点数を知りたい場合などに使えます。
よくある使用例としては、以下のようなシーンがあります。

  • 社員の定期テストで、最も多かった点数帯を把握する
  • 販売個数データから、売れやすい価格帯を見つける
  • アンケートで最も選ばれた選択肢を確認する

なお、モード値が複数ある場合、MODE.MULTという関数を使うことで、すべての最頻値を表示できます(ただし、配列として扱う必要があるので、ある程度Excelに慣れてからでもOKです)。

それぞれの関数、どう使い分ける?

ではこの3つの関数は、どう使い分ければよいのでしょうか?以下に簡単な選び分けの指針を示します。

関数 見るべき場面 メリット
AVERAGE 極端な値がない、ざっくり把握したいとき 全体の傾向を素早く把握可能
MEDIAN 大きく偏ったデータがある場合 実態に近い「中心」を見つけられる
MODE 「よく登場する値」を探したいとき 人気の傾向や頻度を可視化できる

このように、たった3つの関数を状況によって使い分けるだけで、「なんとなくの数字」から、「意味のある判断」へと一歩進むことができます。
次章では、「データがどれくらいバラついているのか?」という視点から、分散と標準偏差についてExcelでの算出法を解説していきます。ここまで理解できたあなたなら、全く問題なくついてこられるはずです!

第3章:実は簡単!分散と標準偏差をExcelで求める方法(VAR.S・STDEV.S)

第2章では、データの「中心」を見極める3つの基本関数を紹介しました。しかし、同じ平均値でも「数字のばらつき具合」が違うだけで、見える世界はまったく異なります。ここで登場するのが、分散(VAR.S)標準偏差(STDEV.S)という関数です。

言葉だけ聞くと少し難しそうに感じるかもしれませんが、Excelの関数を使えば実にシンプル。しかも、「数字の安定性」や「異常値の検出」など、ビジネスでかなり使える分析視点になります。

分散・標準偏差ってそもそも何?

まずは、2つの意味をざっくり把握しておきましょう。

  • 分散(Variance):各データが平均値からどれくらい離れているかの「平均的な距離の2乗」。ばらつきの大きさを示します。
  • 標準偏差(Standard Deviation):分散の平方根。単位が元のデータと同じになるため、実際の数値感覚としてイメージしやすいのが特長です。

たとえば、社員の残業時間が「ほとんどの人が10時間前後」だったのか、「一部の人が30時間、それ以外は5時間未満」だったのかを知りたいとき。平均だけを見ると同じでも、ばらつきの度合いが違えば状況の解釈も異なりますよね。

分散を求める:VAR.S 関数

Excelで分散を求めるには VAR.S 関数を使います。これは「標本分散(sample variance)」を計算する関数で、以下のように使います。

=VAR.S(B2:B10)

たとえば売上データやアクセス解析データで、プロモーションの影響で大きな波があるかを確認したいときに便利です。分散の値が大きいほど、データが平均付近から大きく離れた数が多いということになります。

標準偏差を求める:STDEV.S 関数

標準偏差は、上述の分散の平方根なので、単位が元データと一致するのがポイントです。Excelでの使い方も簡単:

=STDEV.S(B2:B10)

この関数1つで、データの散らばり具合を直感的に把握できます。たとえば、社員の接客評価点(1〜5点)で、ある支店の標準偏差が「0.5」、別の支店が「1.8」と出たとしましょう。後者の方が、評価にバラつきがある=接客が安定していない可能性があると読み取れるわけです。

ビジネス活用のポイント

これらの指標は「異常の発見」や「比較分析」にぴったりです。具体的な活用例をいくつか紹介します。

  • 店舗別の売上バラつき:標準偏差を使えば、どの支店が安定してパフォーマンスを出しているかが一発で分かる
  • プロジェクトごとのコスト超過率:分散が高いプロジェクトは、管理が甘い可能性大
  • オンライン広告のクリック率:標準偏差が大きい場合、広告ごとに成果が極端なので、一部のバナーが突出して効果的かも

平均だけでは見えない「リスク」を把握できる

平均や中央値は「結果の中心」を示してくれますが、それだけでは見えないのが「どれくらい安定しているのか」というリスク。分散や標準偏差を取り入れることで、単なる数値比較から、安定性や信頼性の評価へと分析の深みが増します。

ポイントをまとめると:

  • 分散(VAR.S)はばらつきそのものの大きさを可視化
  • 標準偏差(STDEV.S)は単位がそのままで、他の数値と比較しやすい
  • いずれもExcel一発で出せるので、手軽に「数字の意味」を探ることが可能

次章では、さらに一歩進んで、「2つのデータの関係性」を調べる相関分析へと進みます。売上と広告費の関係、気温と飲料の売上など、「何が何に影響しているか」を見抜く力が手に入ります。

第4章:相関関係を見抜け!CORREL関数でデータのつながりを読む

これまでの章では、データの中心(平均・中央値・最頻値)やばらつき(分散・標準偏差)をExcel関数で簡単に求める方法を紹介してきました。今回は、そこから一歩進んで、「2つのデータの関係性」を分析する方法に挑戦しましょう。

「売上と広告費に関係がある気がするけど、実際どうなの?」「気温の変化で来店数って増減してる?」—ビジネスの現場では、こうした“なんとなく関係がありそう”な感覚を、ちゃんと数値で証明することが重要です。

そもそも「相関」とは?

相関とは、2つのデータにどのような関係性があるかを表す概念です。もっと簡単に言うと、

  • 一方が増えると、もう一方も増える関係(=正の相関)
  • 一方が増えると、もう一方は減る関係(=負の相関)
  • 全く関係がない(=相関なし)

この「どれくらい関係が強いのか?」を数値として示したのが相関係数です。

Excelで関係性を調べる:CORREL関数

Excelでは、相関係数を簡単に求めるための関数が用意されています。それがCORREL関数です。

=CORREL(範囲1, 範囲2)

たとえば、広告費をA列、売上をB列に記録している場合:

=CORREL(A2:A13, B2:B13)

この式は、広告費と売上の関係性を数値で示してくれます。出力される値の範囲は -1 〜 1で、意味は以下のとおりです。

相関係数 関係の強さ 意味
1 完全な正の相関 一方が増えると他方も必ず増える
0.7〜0.9 強い正の相関 増減がだいたい連動している
0〜0.3 弱い正の相関 わずかに関係ありそう
0 相関なし 全く関係が確認できない
-0.3〜-0.7 負の相関 一方が増えると他方は減る傾向
-1 完全な負の相関 一方が増えると他方は必ず減る

ただし、相関関係=因果関係ではないという点に注意が必要です。例えば「アイスの売上と日焼け止めの販売には相関がある」かもしれませんが、それは「暑くなる」という第三の要因が影響しているからです。

ビジネスでの活用シーン例

相関分析はたくさんの場面で使えます。たとえば、

  • 広告費と新規顧客数:広告投資がどれだけ成果につながっているかを確認
  • 従業員教育の回数と売上成績:研修の効果測定に活用
  • 天気と来店数:飲食や小売業での需要予測に役立つ

ExcelのCORREL関数は、こうした「ありそうだけど、感覚では確信が持てない関係性」をクリアにしてくれる、非常に強力なツールなのです。

相関データをグラフで見える化してみよう

関数で相関係数を出すだけでなく、散布図(XYグラフ)を使えば、視覚的に“関係性の傾向”がつかみやすくなります。

  1. 広告費と売上など、2つの列を選択
  2. [挿入] タブ → [散布図] をクリック
  3. グラフを表示し、右肩上がり or 右肩下がりの傾きで相関傾向をチェック

慣れてきたら、「近似直線(トレンドライン)」を追加して、数式やR²値(決定係数)も表示してみましょう。これにより、どれくらいデータがトレンドにフィットしているかまで分析可能になります。

次章では、これまで紹介したExcel関数のまとめと、さらに一歩進んだ応用へのヒントをお届けします。データ分析は難しくない —— 少しずつ、自分の業務に取り入れていきましょう!

第5章:まとめと応用編〜データの力を味方につけるコツ

ここまで、統計分析が苦手な人でもすぐに使えるExcel関数として「平均・中央値・最頻値」「分散・標準偏差」「相関係数」について学んできました。
それぞれの関数が持つ意味や使い方、ビジネスシーンでの活用例を見てきたことで、数字を“なんとなく見る”から“読み解く”へステップアップできたのではないでしょうか。

ここまでの関数をおさらいしよう

これまで登場したExcel関数と、その役割を一度整理しておきましょう。

関数 役割 使う場面例
AVERAGE データの平均を求める 売上やアクセスの全体的な傾向を見る
MEDIAN 値の中心(中央値)を求める 偏った値を除いて傾向を把握したいとき
MODE.SNGL 最も多く出現する値(最頻値) 人気の選択肢や売れ筋商品を知りたいとき
VAR.S データのばらつき(分散) 業績の安定性を測る、異常値を探す
STDEV.S 標準偏差でばらつきの度合いを可視化 他の数値と比較したいときに便利
CORREL 2つのデータの関係性(相関)を見る 広告費と売上など、影響を見極めたいとき

この6つの関数をマスターするだけで、日々の業務が大きく変わってきます。報告書の説得力が増したり、データをもとにした改善提案ができたりするのです。

数字を見るだけで終わらせない!“問い”を持とう

大切なのは、これらの関数を「ただ使う」のではなく、「何が知りたいのか」という目的を明確にして活用する視点です。
たとえば、以下のような問いを立ててみてください。

  • なぜこの月だけ売上が急に伸びたのか?
  • この評価のバラつきは、特定の店舗や担当者の影響か?
  • 広告費をどこに集中させれば最も効果が高いか?

こうした問いがあると、データ分析はただの数字遊びではなくなります。「意味のある答えを導き出す手段」としてExcel関数が活きてくるのです。

さらに一歩進むなら?おすすめの応用ステップ

今回紹介したのは、統計分析の“基本中の基本”ですが、興味が湧いてきた方には以下のようなステップアップをおすすめします。

  • ピボットテーブル:大量のデータをサクッと集約・可視化できる超便利機能
  • IF関数やCOUNTIF、SUMIF:条件付き集計で「特定の条件だけ」抽出する分析が可能に
  • グラフ機能:線グラフ・棒グラフ・散布図を使って視覚的にデータの特徴を伝えよう

また、「統計」に少しずつ慣れてきたら、回帰分析(将来の売上予測など)やクラスター分析(顧客を似たグループに分ける)といった、さらに高度な手法にもチャレンジできます。その入り口として、まずは「関数の意味を知り」「目的に合わせて使う」ことが何より大切です。

おわりに:Excelは“考えるためのツール”

Excel関数は、「面倒な作業を効率化するツール」であると同時に、「数字を使って考える力を育てる道具」でもあります。
実務で活かすためには、完璧な知識よりも「この数字は何を意味しているのだろう?」という問いの姿勢がカギです。

苦手意識を持っていた統計分析も、Excelと少しの慣れがあれば充分に使いこなせます。ぜひ、あなたの仕事の“武器”として、今回の関数たちを活用してみてください!

さあ、今日からあなたも「なんとなくExcelを眺める人」から、「データで語れる人」へ。地道な一歩が、仕事の未来を変えていきます。

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