標準偏差をExcelで求めてデータのばらつきを分析する方法

標準偏差をExcelで求めてデータのばらつきを分析する方法 IT
  1. 第1章:そもそも「標準偏差」とは?データ分析に役立つ理由
    1. ◆ なぜビジネスで「ばらつき」を見る必要があるのか?
    2. ◆ 数字だけで“ニュアンス”を伝える便利なツール
    3. ◆ 難しそう? 実はExcelでは一瞬で計算できます!
  2. 第2章:Excelで標準偏差を求める関数とは?STDEV.S と STDEV.P の違い
    1. ◆ STDEV.S(標本標準偏差)とは?
    2. ◆ STDEV.P(母集団標準偏差)とは?
    3. ◆ 関数の選び方の目安
    4. ◆ まとめ:用途に合わせて正しく選ぶことがカギ
  3. 第3章:実践!Excelで標準偏差を計算してみよう(例付き)
    1. ◆ サンプルデータの準備
    2. ◆ 平均を求める
    3. ◆ 標準偏差を求めてみる
    4. ◆ STDEV.S との比較も試してみよう
    5. ◆ 結果の見方と次章へのつながり
  4. 第4章:標準偏差から読み取れる「データのばらつき」とは
    1. ◆ 標準偏差が大きい vs 小さい:何が違う?
    2. ◆ 実務で役立つ「3シグマルール」
    3. ◆ データ全体の傾向を見極めるヒントに
    4. ◆ 標準偏差だけに頼らないことも大切
    5. ◆ 次章では「業務での活用法」へ
  5. 第5章:仕事で使える!標準偏差の活用シーンと注意点
    1. ◆ 活用シーン①:在庫管理での需要予測
    2. ◆ 活用シーン②:営業成績のパフォーマンス分析
    3. ◆ 活用シーン③:アンケート分析や品質管理
    4. ◆ 注意点①:外れ値に要注意
    5. ◆ 注意点②:分布の形にも気を配る
    6. ◆ 注意点③:使う関数を間違えない
    7. ◆ まとめ:標準偏差は「気づきのスイッチ」

第1章:そもそも「標準偏差」とは?データ分析に役立つ理由

突然ですが、あなたは「標準偏差」という言葉を聞いたことがありますか?学生時代に習った方もいるかもしれませんが、社会人になってから改めて直面すると、「なんか難しそう」と感じがちです。でも、じつはビジネスシーンでも非常に役立つ分析指標なんです。

簡単に言えば、標準偏差とは「データがどれくらいバラついているか(散らばっているか)」を数値で表したものです。平均だけ見ていても見落としてしまう情報が、標準偏差を見ることで「実はムラがあった」というように見えてくるのです。

◆ なぜビジネスで「ばらつき」を見る必要があるのか?

たとえば、あなたのチームが営業成績を追っていたとします。Aさんの成約数は月によって10件→3件→12件→5件とバラバラ。一方でBさんは、常に7〜8件で安定しています。
ここで「平均」を出すと、AさんもBさんも大体同じ。でも、どちらが安定して成果を出しているかは明らかにBさんですよね。
ここで役立つのが標準偏差。Aさんの標準偏差は大きく、Bさんは小さい。つまり、標準偏差が大きいほど「データにばらつきがある」=「安定していない」と評価できるわけです。

◆ 数字だけで“ニュアンス”を伝える便利なツール

数字の世界は一見冷たく見えますが、標準偏差を使えば「このデータはどのくらい安定してるのか」「異常値が多く含まれてないか」といった、“空気感”のような要素も把握することができます。
特に以下のような場面で重宝されます:

  • 売上の月別推移から「安定性」を見る
  • 製品の品質検査で「ばらつき」がないかを確認
  • アンケート結果の信頼性やバラツキをチェック

これらのシーンを見てもわかる通り、標準偏差は高度な統計の世界だけで使われるものではありません。Excelを使えば、だれでも簡単にこの「ばらつき」を可視化することができます。

◆ 難しそう? 実はExcelでは一瞬で計算できます!

「標準偏差って便利そうだけど、計算が難しいんじゃ…?」と思ったかもしれません。でも安心してください。
Excelには標準偏差を一発で出せる関数がいくつか用意されています。使い方さえわかれば、複雑な公式を覚える必要はまったくありません。

次章では、実際にExcelで使用できる標準偏差関数「STDEV.S」と「STDEV.P」の違いと使い分け方について解説していきます。ここまでで「ばらつきを数値で見ることの重要性」がピンと来たなら、次はそれを実践する準備をしていきましょう。

第2章:Excelで標準偏差を求める関数とは?STDEV.S と STDEV.P の違い

前章では、「標準偏差」がどれほどビジネスに役立つかについてご紹介しました。ここからは実際にExcelで標準偏差を計算する方法を解説していきます。
Excelには標準偏差を求めるための専用関数が用意されており、主に STDEV.SSTDEV.P の2つが使われます。どちらも見た目はよく似ていますが、適用するケースが異なるため、違いをきちんと理解しておくことが大切です。

◆ STDEV.S(標本標準偏差)とは?

STDEV.S は「標本(sample)」の標準偏差を求める関数です。
ここでいう「標本」とは、母集団すべてを調べるのではなく、そこから一部サンプルとして抽出したデータのことを指します。

たとえば、ある製品の品質検査を行う際、全商品を検査するのは現実的ではないですよね?その場合、1000個ある商品の中からランダムに100個のサンプルを取り出して分析します。このような場合に使うのが STDEV.S です。

使い方:
=STDEV.S(数値1, 数値2, ...)
または、セル範囲を指定する場合は
=STDEV.S(A2:A11)

◆ STDEV.P(母集団標準偏差)とは?

一方、STDEV.P は「母集団(population)」全体の標準偏差を求める関数です。
つまり、調査対象となるすべてのデータを含んでいる場合や、限定された範囲の中で全件データを把握している場合に使います。

たとえば、チーム内5人の月間営業件数を全員分把握しているときや、10件のプロジェクトの所要日数など、調査対象が完全に揃っているなら STDEV.P を使うのが正解です。

使い方:
=STDEV.P(数値1, 数値2, ...)
または、セル範囲を指定して
=STDEV.P(B2:B6)

◆ 関数の選び方の目安

「どっちを使えばいいの?」と迷ったら、以下を参考にしてみましょう。

関数 データの前提 適したケース
STDEV.S 母集団の一部(サンプル) 調査対象が一部のみのとき(品質検査の抜き取り、アンケートの一部回答など)
STDEV.P 母集団全体 すべてのデータが手元にあるとき(チーム全員の実績、製品全件のデータなど)

どちらの関数も機能としては「ばらつきを測る」ことに変わりありませんが、「データの範囲」が違うだけで結果も微妙に変わることがあります。
間違った関数を使うと、せっかくの分析結果が誤解を招くことにもなりかねませんので、用途に応じて正しく使い分けましょう。

◆ まとめ:用途に合わせて正しく選ぶことがカギ

Excelには「初心者でも使える」便利な関数が豊富にありますが、標準偏差を扱う上では データの背景 を意識して関数を選ぶことが非常に重要です。
・部分的なデータ → STDEV.S
・全体のデータ → STDEV.P
このルールを覚えておけば、ほとんどのケースで正確な分析が可能になります。

次章では、実際にExcelを使って標準偏差を計算するステップバイステップの方法を、具体的なサンプルデータを使って解説していきます。関数の使い方も実践の中で確認してみましょう!

第3章:実践!Excelで標準偏差を計算してみよう(例付き)

それではいよいよ、実際のExcel操作を通じて標準偏差を求めてみましょう。今回は、あなたが営業成績を管理している従業員として、自分やチームの成果にばらつきがないかをチェックする、というシナリオをベースに解説していきます。

◆ サンプルデータの準備

まず、以下のような売上件数のサンプルデータを用意してください。これはある営業社員(例:Aさん)の直近10ヶ月間の営業成績です。

成約件数
1月 12
2月 9
3月 15
4月 6
5月 10
6月 14
7月 7
8月 11
9月 13
10月 8

このデータをExcelシートのA列(1月〜10月)、B列(各月の成約件数)に入力しましょう。例:A2:A11に月、B2:B11に値を入力。

◆ 平均を求める

まずはシンプルに平均値を出してみましょう。B列に入れたデータを対象に、以下の数式を使用します。

=AVERAGE(B2:B11)

これで、10ヶ月間の平均成約件数が求まります。たとえば、ここで平均が10.5件と出たとしましょう。

◆ 標準偏差を求めてみる

次に、ばらつき=標準偏差を計算します。前章で紹介した通り、「10ヶ月すべてのデータが手元にある=母集団全体」と考えられるので、ここでは STDEV.P を使用します。

=STDEV.P(B2:B11)

数式を入力すれば、自動的に標準偏差が算出されます。たとえば、2.87 と表示された場合、それがこのデータのばらつき度合いです。

◆ STDEV.S との比較も試してみよう

もし「この10ヶ月はあくまで全体の中の一部」という前提なら、STDEV.S を使っても良いです。以下のように入力します。

=STDEV.S(B2:B11)

STDEV.Sでは、若干数値が大きく出ることがあります。理由は「サンプルのばらつきは母集団より不確かだ」と想定して調整されるためです。実務でどちらを使うかは、データの捉え方次第です。

◆ 結果の見方と次章へのつながり

ここまでで、Excelでの標準偏差の基本的な計算手順はご理解いただけたでしょうか?標準偏差が大きいほど、成約件数の月ごとの差が激しく、「安定していない」状態と評価されます。

この結果は、チーム内の評価や課題発見に役立ちますし、業績改善の材料としても活用できます。ただし、数字が出ただけではそれが良いのか悪いのか判断できないことも…。
そこで次章では、「標準偏差の値から何が読み取れるのか」、つまり実際に出た数値の解釈方法について詳しく解説していきます。

第4章:標準偏差から読み取れる「データのばらつき」とは

前章では、実際にExcelで標準偏差を計算する方法を手順付きでご紹介しました。ただ計算するだけでなく、その“数値の意味”を理解することが、データ分析においてはとても大切です。この章では、「標準偏差の値がどのくらいなら、ばらつきが大きいと言えるのか?」といった判断の仕方や、数字の裏に隠れる実態をどのように読み取るかを解説していきます。

◆ 標準偏差が大きい vs 小さい:何が違う?

標準偏差の基本的な解釈は、「数値が大きければばらつきが大きい(安定していない)」、「小さければばらつきが小さい(安定している)」というものです。たとえば、以下のように考えると分かりやすいです:

  • 標準偏差が小さい(例:1.2) → データが平均値の近くに集中している(安定的)
  • 標準偏差が大きい(例:5.8) → データが平均から大きく離れがち(不安定)

同じ平均値でも、標準偏差が異なることで「実態」はまるで別物に見えてきます。営業成績が毎月バラつく社員と、常にコンスタントに成果を出す社員が「平均では同じ」でも、安定性という観点で大きな差があるのです。

◆ 実務で役立つ「3シグマルール」

統計分析ではよく「3シグマ(3σ)ルール」という考え方が使われます。これは、正規分布に従うデータの場合、

  • 平均 ± 標準偏差 → 約68% のデータがこの範囲に収まる
  • 平均 ± 2×標準偏差 → 約95% のデータが収まる
  • 平均 ± 3×標準偏差 → 約99.7% のデータが収まる

つまり、標準偏差の値を使うことで、データの「通常の範囲」や「異常値(外れ値)」を見つけやすくなるわけです。Excelで分析をしていて、「ある月だけやたら数値が高い」「なんだか極端に低い月がある」などがあった場合、それが偶然なのか異常なのかを判断する材料になります。

◆ データ全体の傾向を見極めるヒントに

たとえば、10ヶ月間の営業件数の標準偏差が「2.8」だったとしましょう。平均が「10.5」なら、8件〜13件程度に収まっていれば「まずまず安定している」と見ることができます。一方で、細かくみると「月によって8件のこともあれば15件のこともある」といった場合、ばらつきの原因を確認する必要があるかもしれません。

ここで重要なのは、標準偏差は原因そのものを教えてくれるのではなく、気づきの“きっかけ”をくれるということ。数字の上下を「見過ごさない」ためのセンサーとして使う意識が重要です。

◆ 標準偏差だけに頼らないことも大切

とはいえ、標準偏差だけを見てすべてを判断するのは危険です。たとえば、ほんの数件の異常値が大きくばらつきに影響を与えてしまうこともありますし、そもそもデータが「正規分布」に近くない場合には、標準偏差の意味が薄れるケースもあります。

そのため、実際の業務では平均値、最大値、最小値、中央値など複数の指標を併せて読み解くことがポイントです。標準偏差はあくまで“補助線”のような存在。全体像を捉えるための1つのツールと考えましょう。

◆ 次章では「業務での活用法」へ

この章では、標準偏差の値からどのように実務の課題や傾向を読み取れるかについてご紹介しました。次章ではさらに踏み込み、標準偏差をどのような場面で使えば効果的なのか、具体的な業務シーンでの活用法と、気をつけるべき点を解説していきます。

「データのばらつきを掴む」ことは、分析の出発点。ここからは、実際のアクションにつなげるフェーズに入っていきましょう。

第5章:仕事で使える!標準偏差の活用シーンと注意点

ここまでで、標準偏差の基本的な意味から、Excelでの計算方法、そして実際の数値の読み解き方までを学んできました。最終章では、いよいよ実務における「標準偏差の使いどころ」と、使う際に気をつけたいポイントを具体的に紹介します。

◆ 活用シーン①:在庫管理での需要予測

小売業やEC業界などでは、商品の在庫をどう管理するかが重要な課題です。ここで標準偏差が役立ちます。
たとえば、ある商品の過去6ヶ月の販売数をExcelで集計し、平均と標準偏差を出すと、どのくらい販売数が安定しているか分かります。標準偏差が小さければ、予測が立てやすく在庫リスクが低いという判断ができます。一方、標準偏差が大きい場合は、プロモーションの有無や季節要因など、変動要因をさらに深掘りして予測精度を高める必要があります。

◆ 活用シーン②:営業成績のパフォーマンス分析

営業チームの成績を管理するマネージャーにとって、「誰が安定して成果を出しているのか」を把握するのは重要です。
単純な平均値では見えない安定性の違いも、標準偏差を使えば一目瞭然です。平均が同じでも、標準偏差が小さい社員は「安定性が高く、計画的に行動できている」と判断できます。逆に標準偏差が大きい社員は、「波がある=改善ポイントがある」という視点でフォローアップができるでしょう。

◆ 活用シーン③:アンケート分析や品質管理

社内の満足度調査や製品の品質チェックなど、標準偏差は集計結果の「ばらつき」を可視化するのに非常に便利です。
たとえば、アンケートで「満足度5段階評価」の回答を集めたとき、標準偏差が小さければ評価が一定で、全体的に意見が一致している状態といえます。逆に大きければ、ユーザーによって評価が分かれているため、原因分析やセグメント別の対応が必要になります。

◆ 注意点①:外れ値に要注意

標準偏差は、極端な数値(外れ値)に大きく影響を受けるという特性があります。たとえば、9ヶ月は10件前後の売上だったのに、1ヶ月だけ30件だったという場合、標準偏差が不自然に大きく出てしまうことがあります。
このような場合は、平均や中央値、グラフなど他の指標と組み合わせて、「外れ値が分析を歪めていないか」をチェックしましょう。

◆ 注意点②:分布の形にも気を配る

前章でも触れましたが、標準偏差は正規分布(左右対称のベルカーブ)のような形のデータにおいて、最も意味のある指標です。
データが偏っていたり、階段状になっていたりする場合は、単純に標準偏差を見るだけでは正確に判断できません。
そのため、「分布の確認」は地味ですが非常に大切なステップとなります。Excelでは ヒストグラム を使って視覚的に分布を確認するのもおすすめです。

◆ 注意点③:使う関数を間違えない

第2章で紹介した STDEV.SSTDEV.P の使い分けも、業務で実践する上での重要ポイントです。
データが部分的(サンプル)か、全体(母集団)かを明確にし、それに応じた関数を正しく使う癖をつけましょう。

◆ まとめ:標準偏差は「気づきのスイッチ」

標準偏差は、ただの数値以上に、「データの裏にあるストーリー」に気づくための重要な指標です。
その数値をどう活用するかで、単なる集計から「分析」へと一歩進むことができます。

Excelを活用して、標準偏差から“安定性”や“ばらつきの原因”を読み解くことができれば、あなたの仕事の視野もぐっと広がるはずです。
まずは日々のレポートやデータ管理に、ちょっとした気づきとして取り入れてみてください。

標準偏差を使いこなすことで、数字の“手触り”が変わります。ぜひあなたの実務でも、活用してみてください!

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