第1章:多軸グラフと複合グラフって何が違うの?
Excelを使ってデータを視覚的に伝える場面は、日々の資料作成や報告書の中で頻繁に訪れます。その中でも複合グラフと多軸グラフは、情報をコンパクトに分かりやすく伝えるのに非常に便利な手法です。でも、じつはこの2つ、似ているようで少しずつ役割が違います。
まずはこの章で、複合グラフと多軸グラフの違いとは何か?、そしてなぜ使い分ける必要があるのか?について解説します。
複合グラフとは?
複合グラフとは、異なる種類のグラフを1つのチャートに組み合わせたものです。例えば、「売上」を棒グラフで、「利益率」を折れ線で表現するといったように、一つのグラフ内で複数のデータを視覚的に整理できます。
主な使いどころは以下の通りです。
- 異なるタイプのデータを一目で比較したいとき
- 棒グラフでは変化が分かりにくい指標にラインを加えることで補完したいとき
- データの「バランス」と「傾向」を合わせて伝えたいとき
例:
月別の売上(棒グラフ)と利益率(折れ線グラフ)を一つにまとめることで、「売上は上がってるけど利益率は下がってる」といった厳しい現状を明確に伝えることができます。
多軸グラフとは?
一方で多軸グラフは、縦軸(Y軸)を2本以上使って、異なるスケールのデータを同時に表示するグラフです。たとえば、「広告費」と「来客数」のように、数値の単位やスケールが異なる指標を同じグラフに並べる場合に適しています。
多軸グラフの用途例:
- 数値の単位が大きく異なり、1つの軸では片方の変化が見えづらいとき
- 相関関係を同時に見たいけど、見せたい数値の幅が違いすぎるとき
例えば「広告費=数十万円」に対し、「来客数=数百人」であれば、同じY軸では来客数がほとんど見えなくなってしまいます。そんなとき、広告費は左軸、来客数は右軸に設定すれば、両軸の変化をバランスよく可視化できるのです。
最大の違いは「目的」と「軸の使い方」
要点を整理すると、
- 複合グラフ:異なるグラフ種(棒・折れ線など)を組み合わせて、1つの視点で関連付ける
- 多軸グラフ:スケールが違う指標でも同時に視覚化できるように軸を複数使う
つまり、表示する「データの性質」と「伝えたいメッセージ」に応じて、適切に選ぶ必要があるということです。
20代ビジネスパーソンなら使い分けは必須スキル
まだ業務経験が浅い20代のうちは、「とにかくグラフにして出す」が先行しがち。でも、本当に伝わる資料を作るには、グラフの種類や構成に意味を持たせることが重要です。
たとえば、上司に「売上は好調だけど利益頭打ちになってます」と報告するなら、複合グラフで推移を見せつつ、利益率をラインで強調するのがベスト。
逆に「コストパフォーマンスを見たい」という話なら、コストと成果を多軸で並べた方が説得力が上がります。
次章では、実際のデータを使って複合グラフを作る手順を図解で紹介します。
第2章:複合グラフの基本操作〜売上×利益を一つのグラフに
ここからは、実際にExcelで複合グラフを作成する手順を解説していきます。まずは、ビジネスシーンでも利用頻度が高い「売上(棒グラフ)」と「利益(折れ線グラフ)」の複合グラフを作ってみましょう。
ステップ1:グラフに使うデータを準備する
以下のようなデータがあると仮定します。
| 月 | 売上(万円) | 利益(万円) |
|---|---|---|
| 1月 | 120 | 30 |
| 2月 | 150 | 35 |
| 3月 | 170 | 40 |
| 4月 | 160 | 38 |
このように「売上」と「利益」が月ごとに並んでいるデータを、Excelのシートに入力しておきます。
ステップ2:複合グラフを挿入する
- データ範囲(例:A1〜C5)を選択
- Excel上部の[挿入]タブをクリック
- [グラフ]の中から[組み合わせグラフ]を選択
- [カスタム組み合わせグラフの作成]を選ぶ
カスタム組み合わせグラフのダイアログが表示されるので、以下のように設定してください:
- 売上:グラフの種類 → 「集合縦棒」、軸 → 「一次軸」
- 利益:グラフの種類 → 「折れ線」、軸 → 「二次軸」
これで、売上が棒グラフ、利益が折れ線として、1つのグラフに表示されます。
ステップ3:見やすさの整え方
グラフが完成したら、より見やすくするために以下の微調整を行いましょう。
- タイトルを追加:「月別 売上・利益推移」など目的がすぐ伝わるタイトルを
- 凡例を調整:色のバランスや位置を調整して視認性をアップ
- 軸ラベルを追加:単位(万円)を明記して、データの意味を明確に
Excelの「グラフ要素の追加」からタイトル・凡例・データラベルの追加が一括で可能なので、慣れておくと効率的です。
複合グラフを使うと得られる”実務的”メリット
このような複合グラフを活用することで、以下のような実務上のメリットが得られます:
- 売上と利益のバランスや傾向を一画面で可視化できる
- 「売上は伸びてるけど利益が鈍化してる」など、気づきの質が高まる
- 数値だけでは伝わりにくいメッセージに説得力をプラスできる
特に、20代サラリーマンの皆さんにとっては、「数字をただ並べる」から一歩踏み込んで、「数字で語る」スキルを身につけるチャンスといえます。
次のステップへ進もう
複合グラフの基本操作をマスターできたら、次は多軸グラフを習得することで、より柔軟なデータ分析や報告ができるようになります。
次章では、多軸グラフの作り方と、どう見せ方を変えられるかをステップ形式で解説していきます。
第3章:多軸グラフでデータの印象を操作するスキル
複合グラフの基本を押さえたら、次にマスターしたいのが多軸グラフです。とくに、売上や利益とは別に「顧客数」や「広告費」などスケールの異なる情報を伝える必要があるときに、多軸グラフが強力な武器になります。
ここでは、Excelでの多軸グラフの作成手順と、実際の業務で役立つ活用例をわかりやすく紹介していきます。
ステップ1:スケールが異なるデータを準備する
以下のようなデータを例に使って説明を進めます(単位:万円、人)。
| 月 | 広告費(万円) | 新規顧客数(人) |
|---|---|---|
| 1月 | 50 | 120 |
| 2月 | 80 | 150 |
| 3月 | 60 | 200 |
| 4月 | 70 | 180 |
広告費は万単位、新規顧客数は人数というように、データの桁が大きく異なる場合は、単一のY軸ではどちらか一方の値が潰れて見えにくくなってしまいます。
ステップ2:多軸グラフを作る手順
- 上記のデータ範囲(例:A1〜C5)を選択
- [挿入]タブから [組み合わせグラフ]をクリック
- [カスタム組み合わせグラフの作成] を選択
カスタム組み合わせグラフの設定画面が表示されたら、以下のように設定します:
- 広告費:グラフの種類 →「集合縦棒」、軸 →「一次軸」
- 新規顧客数:グラフの種類 →「折れ線」、軸 →「二次軸」
この設定により、一つのグラフ上で広告費(左軸)と新規顧客数(右軸)を見せることができるようになります。
ステップ3:伝えたい印象をコントロールする
多軸グラフには、見る人にどのようにデータを「感じさせるか」を操作できるという特徴もあります。たとえば、以下のような演出が可能です:
- 広告費はほぼ一定でも、顧客数が大きく増加傾向なら「広告の効率が上がっている」と見せられる
- 逆に、顧客数が横ばいでも、広告費の増加が目立つなら「費用対効果が悪化している」印象を与える
このように、目的に応じて注目させる軸を右にするか左にするか、折れ線か棒グラフか選ぶことで、伝えたいストーリーを強調できます。
多軸グラフの注意点
便利な一方で、見せ方を間違えると誤解を招くリスクもあるのが多軸グラフです。以下の点に注意しましょう:
- 軸の単位は必ず明示(例:「左軸:万円/右軸:人数」)
- 折れ線のスケールを過剰に強調しすぎないようにする
- 凡例や色使いを丁寧に設定し、見る人が混乱しないよう配慮する
業務のなかで、数字の「見せ方」に説得力が求められるシーンは多いものです。たとえば、上司に向けたコスト分析の報告や、施策の効果測定など。そんなとき、多軸グラフを使いこなせれば、「仕事ができるやつだな」と印象づけることができます。
まとめ:多軸グラフは“伝える力”を強化する武器
一つのグラフに複数の軸を持たせることで、Excelの中でも高度な見せ方が実現します。スケールの異なるデータセットを同時に扱う場面では、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。
次章では、複合グラフと多軸グラフを組み合わせた応用テクニックをご紹介。3つ以上の指標を1枚のチャートで表現したいときに役立つノウハウを解説します。
第4章:複合グラフ × 多軸グラフの合わせ技
複合グラフと多軸グラフ、それぞれを単体で使いこなせるようになったあなたへ、次はその「合わせ技」を伝授します。この章では、3つ以上の異なるデータ指標を1つのグラフにまとめ、情報の粒度を落とさず直感的に伝えるテクニックを解説します。
「売上」「利益率」「販売個数」を一つに集約
たとえば、次のようなデータを想像してください:
| 月 | 売上(万円) | 利益率(%) | 販売個数(個) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 100 | 25 | 500 |
| 2月 | 130 | 22 | 600 |
| 3月 | 120 | 28 | 580 |
| 4月 | 150 | 20 | 650 |
このように、金額・割合・数量とスケールや性質が異なるデータを一つのグラフで表すには、複合グラフと多軸グラフを組み合わせる必要があります。
ステップバイステップで作成してみる
- まず、上記のようなデータをExcelに入力
- セル範囲(A1〜D5)を選択
- [挿入]タブ → [組み合わせグラフ] → [カスタム組み合わせグラフの作成]を選択
ここからがポイントです。各データ系列に対して、「グラフの種類」と「軸」を個別に設定していきます。
- 売上:グラフの種類 → 集合縦棒、軸 → 一次軸
- 利益率:グラフの種類 → 折れ線、軸 → 二次軸
- 販売個数:グラフの種類 → 折れ線、軸 → 二次軸
このように設定すると、売上を棒グラフ、利益率と販売個数を折れ線グラフ(二次軸)として表示できます。
なぜこの合わせ技が有効なのか?
この手法のメリットは、一つに時系列的な推移 × 多面的な分析を同時に提供できる点にあります。
例えばこのグラフでは、
- 売上が順調に上がっているように見えても、
- 利益率が低下していて、
- 販売個数は横ばい、
といったように、「好調に見える裏の課題」まで可視化できます。つまり、表面的な数字の良し悪しではなく、データの背景にあるストーリーを伝える力がアップするのです。
見やすく、伝わるグラフにするために
複合×多軸グラフはリッチな情報を詰め込める反面、ごちゃごちゃして伝わりづらくなるリスクもあります。以下の工夫で見やすさを担保しましょう。
- 凡例に単位を明記:「売上(万円)/利益率(%)/数量(個)」など
- 色分け:同じ系列には同系色を避ける。例:売上=青、利益率=赤、個数=緑
- 系列名の変更:読み手にわかりやすい名前に編集する(特に利益率などは「利益率 (%)」と表記)
- データラベルの活用:特定の系列だけラベル追加するのもアリ
目的に応じて「どのデータを主役にするか」を意識しながら構成することで、説得力のあるグラフに仕上げることができます。
応用することで資料の圧縮&伝達力アップ
会社での資料作成やプレゼンで、「ページ数をなるべく増やしたくないけど伝えるべき指標は多い」なんて場面、ありますよね?
そんなときこそ、この「複合×多軸」の合わせ技が真価を発揮します。1画面で複数の視点を同時に示すことで、資料はコンパクトに、かつ深い分析視点を持った報告が可能になります。
次章では「見せ方の仕上げ」に注目!
今回で、データを「どう組み合わせて見せるか」の技術は身につきました。最後の第5章では、グラフの見栄えや伝わりやすさを高めるためのデザインTipsをまとめています。
色・フォント・ラベル・余白といった「細かいけど印象を左右する要素」までこだわり、あなたの資料を“デキる資料”に仕上げましょう。
第5章:資料が一気に映える!見栄えを整えるデザインTips
これまでの章で、複合グラフ、多軸グラフ、そしてその合わせ技まで、Excelのグラフを駆使した効果的なデータの「見せ方」を学んできましたね。
ここからは最終仕上げ。せっかく作成したグラフも、見にくい・読みにくい・分かりづらいでは台無しです。最終章となるこの章では、グラフに説得力と「分かりやすさ」を加えるための見栄えの整え方を、実践的Tipsに絞ってご紹介します。
1. 色使いは“主役”と“脇役”を明確に
まず意識したいのが「色のバランス」。何でもかんでもカラフルにすると、見ているほうが疲れてしまいます。
- 伝えたい主データは目立つ色(例:青や赤)
- 比較・補足データは淡い色(例:グレーや薄緑)
- 同じ色系統が隣接しないよう配置に注意
特に複数系列を並べる場合は、色の役割を固定するのもポイント。たとえば、売上は常に青、利益率は常にオレンジ、といった具合です。
2. 軸ラベルと単位は必ず明記
多軸グラフでは特にありがちですが、「どっちの軸がどれ?」問題を回避するのが非常に重要です。
- 左軸/右軸 それぞれに単位を入れる(例:「万円」「%」「個数」)
- Y軸ラベルは明確に(例:「月別 売上(万円)」など)
- フォントサイズを読みやすいよう調整(9pt以上が推奨)
プレゼン中に改めて口で単位を説明するのは手間ですし、見ただけで理解できるように仕込むのが“伝えるデザイン”です。
3. 凡例と項目名、意外と見逃していませんか?
凡例(グラフの右や下に出る色と項目名)は、視認性を左右する大事な要素。
- 略語は避けてフルで記載(例:「利率」よりは「利益率 (%)」)
- 日本語表記に統一(英語混在は読み手によってストレスに)
- 必要に応じて凡例を横配置や上配置に変更して見やすさを調整
なお、グラフが4系列以上になる場合は、凡例よりもラベル(各点の数値表示)を優先するとスッキリする場合があります。
4. ラベルとデータマーカーで「注視ポイント」を誘導
複合・多軸グラフでは、読み手が迷わないように視点誘導が必要です。そのために活躍するのがラベルとマーカー。
- 注視させたい数値にだけラベル表示(例:最も利益率が下がった月)
- マーカー(折れ線上の点)のデザイン変更で関心を集める
- 特定のポイントにコメントをつけて視点誘導(例:「広告費増にも関わらず顧客減」など)
“すべてを見せる”より“伝えたいポイントにフォーカスする”意識が、資料のメリハリを生みます。
5. 視線の流れを邪魔しないグラフレイアウト
日本人の視線は「左上から右下へ」と流れる特性があります。これを踏まえ、グラフの配置や強調も工夫しましょう。
- 強調したい指標をグラフの右上側で終わらせると印象に残りやすい
- 目立たせたい項目を最初または最後に持ってくる
- 複数グラフを並べる場合は、関連性が強い順に配置
見やすさだけでなく、「どんなストーリーを持ってこのグラフを置いているか」まで意識できると、説得力が一段アップします。
まとめ:伝えるグラフは「技術」+「美しさ」
Excelのグラフは、ただ数値を視覚化するだけでは終わりません。「何をどう伝えたいか」を考え抜き、丁寧に装飾・調整することで、“伝わるグラフ”へと進化します。
あなたが今日からできることは、小さな気配りの積み重ね。たとえば、「凡例のラベルを分かりやすくする」だけでも、見る人の理解度は劇的に変わります。
伝える資料・デキる資料を目指して、ぜひここまで紹介してきたテクニックを実務の中で活用してみてください。
そして次はあなたが、グラフを使ってチームや上司を納得させる番です。


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