ダルハン (Dalanzadgad)ってどんな街?!徹底解説!

ダルハン (Dalanzadgad)ってどんな街?!徹底解説! ライフスタイル

モンゴル国・南ゴビ県の県都ダランザドガド(Dalanzadgad)。ウランバートルから南へ約540km、空路で約1時間の場所にある、ゴビ砂漠観光の玄関口です。

人口は約2万6,000人(2018年、モンゴル国家統計局)と小さな街ですが、その足元には世界有数の銅鉱山と炭田が眠っています。そして2026年7月には、信州まつもと空港からこの街へ日本初の直行チャーター便が飛びました。この記事では観光・ビジネス・食事・宿泊・治安・お土産の6つの切り口からダランザドガドを整理します。

※本記事はモンゴル南部・南ゴビ県の県都ダランザドガド(Dalanzadgad)についての記事です。モンゴル北部の都市ダルハン(Darkhan)とは別の街です。
※数値・評価は2026年9月時点で公開されている情報に基づきます。Googleの口コミ評価・件数も同時点で確認したものです。

1章 観光:恐竜の卵が世界で初めて見つかった場所

ダランザドガドそのものに観光名所があるわけではありません。この街はゴビ砂漠の各スポットへ向かうためのベースキャンプです。移動は片道数時間、走行距離は数百キロ単位になります。

◆バヤンザグ(Bayanzag/フレーミング・クリフス)
赤い断崖が連なる化石産地。ここは1922年に米国自然史博物館の中央アジア探検隊が、世界で初めて恐竜の卵の巣を発見した場所です。UNESCOはこれを「世界の古生物学史の転換点」と位置づけており、同地はUNESCO世界遺産暫定リスト「Cretaceous Dinosaur Fossil Sites in the Mongolian Gobi」(2014年登録)の13構成資産のひとつになっています。

  • 同リストには「格闘する2頭の恐竜(ヴェロキラプトルとプロトケラトプス)」や「卵を抱くオヴィラプトロサウルス」の化石も挙げられており、恐竜の繁殖・行動の解明に決定的証拠を与えたとされています
  • 公式情報:UNESCO 世界遺産暫定リスト

◆ホンゴル砂丘(Khongoryn Els)
「歌う砂丘」と呼ばれる大砂丘。日本の旅行会社が催行する南ゴビ周遊ツアーでは、ここへの行程が片道走行約290〜320kmと案内されています。丸一日がかりの移動になるため、日程には余裕が必要です。

◆ヨル渓谷(ヨリン・アム)
断崖に挟まれた渓谷で、ゲルキャンプから車で約1時間半。砂漠のイメージとは真逆の、岩と氷の世界が広がります。

◆ゴビ・グルバンサイハン国立公園
上記のフレーミング・クリフス、ヨル渓谷、モルツォグ砂丘、古代の岩絵などを含む国立公園。モルツォグ砂丘でのラクダ乗りや、遊牧民のゲル訪問が実際のツアー行程に組み込まれています。ダランザドガド市内には恐竜博物館「DINO’s PARK」もあります。

なお、南ゴビ県を含む5県にまたがる大ゴビ厳正保護区(区域A約460万ha、区域B約90万ha)も暫定リストに載っており、UNESCOは合計面積を「スイスを上回り、世界最大級の陸上保護区」と表現しています。ゴビグマ、野生フタコブラクダ、ユキヒョウ、モウコノウマが生息する地域です。

2章 ビジネス:モンゴルの輸出の8割超は鉱物。その主戦場が南ゴビ

数字を並べると、この街の立ち位置がはっきりします。JETROの調査によれば、2025年のモンゴルの輸出総額157億6,078万ドルのうち、鉱物が133億3,944万ドル=84.6%。そして輸出先の89.3%が中国です。品目別では銅精鉱58億3,250万ドル(前年比75.7%増)、石炭57億6,880万ドル(同33.7%減)となっています。

その銅を掘っているのが、南ゴビ県ハンボグド郡にある◆オユトルゴイ(Oyu Tolgoi)銅・金鉱山です。所有はリオ・ティント66%、モンゴル政府34%。

  • 2024年実績は銅142キロトン、金136キロオンス
  • 2028〜2036年のピーク時には年産50万トンの銅を見込み、これは年間600万台超のEVを賄う量に相当
  • 2030年までに世界第4位の銅鉱山になる見込み
  • 従業員約2万1,000人、うち97%超がモンゴル人
  • 公式情報:リオ・ティント「Oyu Tolgoi」

この開発が街を変えています。モンゴル国家統計局の調査によれば、南ゴビ県の人口は2008〜2018年の10年で26.4%増加。しかも増えているのは鉱山のある郡とその隣接郡だけで、その他の郡は減少しています(オユトルゴイのあるハンボグド郡は年13.1%増、タバントルゴイのあるツォグトツェツィー郡は年18.4%増)。鉱山が人を吸い寄せている構図が統計にそのまま出ています。

アクセスは、ウランバートルから空路で約1時間。長距離バスは朝発の1日1本、運賃44,700トゥグルグ(約1,800円)で、所要時間は情報源により7時間〜10時間と幅があります。そして特筆すべきが2026年7月、信州まつもと空港からダランザドガドへの日本初の直行チャーター便(途中給油あり、約7時間)が就航したことです。日本とモンゴルは2016年6月にEPAが発効しており(モンゴルにとって初のEPA)、新ウランバートル国際空港もJICAの円借款で建設され、三菱商事・成田国際空港・日本空港ビルデング・JALUXが運営に参画しています。

3章 食事:ゲルで出てくるものと、街で食べられるもの

ゴビの遊牧民のゲルを訪ねると、ふるまわれるのは自家製の馬乳酒、温かいミルクティー(スーテイツァイ)、伝統的な乳製品です。馬乳酒(アイラグ)は牛革の容器で500回以上撹拌して発酵させるもので、その製法はUNESCO無形文化遺産に登録されています(2019年)。祭事や祝福の儀式で用いられる「聖なる飲み物」です。

街の食事は思ったより選択肢があります。

◆KHOT AIL Restaurant & Coffee shop
ダランザドガドで最も口コミ件数が多い店。Googleの口コミは★4.0・約190件。カフェを併設しています。

◆Yuna Korean Restaurant(南ゴビ支店)
韓国料理店。Googleの口コミは★4.4・約110件。肉と野菜をしっかり食べたい日に。

◆Saikhan lounge, cafe and Japanese food
日本食を出す店。Googleの口コミは★4.6・約56件。ゴビ砂漠の県都に日本食があるというだけで、長期滞在者には十分な情報です。

市内のレストランの価格帯は1食500円前後という記録があります。なお酒については注意が必要で、外務省はアルヒ(ウォッカ)は度数30〜50度と高く粗悪品も出回っていること、深夜0時以降に屋外で酩酊していると留置場に勾留されること、冬季は酩酊による凍死者が発生していることを挙げています。

4章 宿泊:ゲルキャンプか、街のホテルか

南ゴビの宿泊は砂漠のゲルキャンプとダランザドガド市内のホテルに分かれます。ゴビの絶景を見に行くならゲルキャンプ、仕事で来ているなら市内が現実的です。

◆Three Camel Lodge(ゴビ・グルバンサイハン国立公園内)
高床式のゲルで、各ゲルに専用バスルームと石造りのシャワーを備えるという、ゲル宿泊としては最上位クラスの設備。薪ストーブ暖房、手描きの家具。レストラン、バー、スパ、ショップ、厩舎、恐竜展示ホールを併設し、ラクダ乗り、乗馬、ゲル組み立て体験、遊牧民式アーチェリー、星空観賞などのアクティビティが用意されています。

◆Gobi Mirage Lodge
「ゴビ砂漠で生まれ育った地元の人間が運営」を掲げるゲルロッジ。デラックスゲルとスタンダードゲルがあり、3日2泊から5日4泊までのツアー、車のレンタル、ガイド・通訳の手配にも対応しています。

市内なら◆Gobi Desert Guesthouse & Tours(Googleの口コミ★4.8・約64件)や◆Green Gobi Hotel(★4.5・約47件)といった選択肢があります。

重要な注意が1つ。外務省はゲル内での夜間侵入盗難や、ゲル宿泊者への強制わいせつ被害が実際に発生しているとして、「極力、貴重品を持ち込まない」「カバンに鍵を掛ける」「一人で泊まる場合は出入口に鍵がかかる施設を利用する」ことを推奨しています。雰囲気に流されず、施錠だけは確認してください。

5章 治安:危険情報は出ていない。問題は医療の遠さ

外務省の海外安全ホームページは、モンゴルについて「現在、危険情報は出ておりません」と明記しています。感染症危険情報もスポット情報もありません。

犯罪については、2024年の認知件数が44,673件で前年から約9,000件増加。ただし全犯罪の約70%はウランバートルで発生しており、最多は詐欺の15,889件(35%)です。手口としては、ナイフでカバンを切り裂いて貴重品を抜き取るスリ、認可外タクシー(白タク)の運転手がナイフで脅して現金を奪う事例、クレジットカードのスキミングなどが挙げられています。外務省は「万一、刃物を突き付けられ逃げられないと感じたら、身の安全を優先して、抵抗しない」としています。

法令面では、パスポートまたは身分証明書の常時携帯が法律で義務(違反は罰金)。軍事施設、火力発電所、駅構内や駅付近での写真撮影は禁止されています。また南ゴビ県は中国と国境を接しており、国境近辺への旅行には国境警備庁の許可が必要です。

そして、ゴビで最も現実的なリスクは医療です。外務省は「日本と同等の水準にある治療が受けられる医療機関はありません」とし、「地方都市では安心して受診できる医療機関を見つけるのは難しい」と明記。海外旅行傷害保険は3,000万円が目安で、日本への医療専用機での緊急移送は3,000万円以上かかることがあるとしています。ラクダ乗りや乗馬についても、「モンゴル人は乗馬でヘルメットを被る習慣がないため、乗馬施設であってもヘルメット等が準備されていないことがあります」という注意があります。

気候面では、モンゴル全体のリスクとしてゾド(寒雪害)があり、2009/2010年には全国で1,032万頭の家畜が斃死しました(JICA調査)。ちなみに日本に春先に飛んでくる黄砂の発生源のひとつがゴビ砂漠です(気象庁)。

6章 お土産:カシミヤと、UNESCO登録の楽器

◆GOBI(ゴビ社)のカシミヤ
モンゴルを代表するカシミヤブランドで、1981年にモンゴル・日本の協力によって設立されました。ウランバートルで5つの一貫生産工場を運営し、年間約250万点を生産、従業員1,200人超(71%が女性)、106の遊牧民世帯と提携しています。モンゴル国内には2,900万頭超のカシミヤ山羊がいます。

  • JETROによれば、モンゴルのカシミヤ輸出は年間およそ8,500トン。日モンゴルEPAで免税品目になっており、日本で買うより有利に入手できます
  • 公式サイト:GOBI Cashmere

◆馬頭琴(モリンホール)
モンゴルの弦楽器。その伝統音楽はUNESCO無形文化遺産に登録されています(2008年)。喉歌のホーミーも2010年に登録済み。単なる民芸品ではなく、世界遺産級の文化の担い手だという説明が付けられます。

そのほか、ゴビ地域に赴任したJICA海外協力隊員が挙げている現地の土産は、カシミヤ製品(「日本よりも安く売られている」)、モンゴル岩塩、フェルト製品(コースター、スリッパ、動物の人形)、デール(民族衣装)、インスタントのモンゴルミルクティー、干し肉、アルヒ(モンゴルウォッカ)など。軽くて日持ちするものを選ぶなら、岩塩とインスタントミルクティーが扱いやすい部類です。

まとめ

ダランザドガドは、人口2万6,000人の小さな県都でありながら、2030年に世界第4位になる銅鉱山を抱える県の中心であり、世界で初めて恐竜の卵が見つかった土地への入口でもあります。モンゴルの輸出の84.6%は鉱物で、その主戦場がこの県です。

行くなら、ウランバートルから空路1時間。バヤンザグの赤い崖とホンゴル砂丘を回り、夜はゲルで星を見る。ただし医療は日本の水準を期待できず、保険は3,000万円が目安。そこだけは押さえてから出発してください。

コメント

NewsTowerをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む