第1章:移動平均とは? まずは基本をおさえよう
Excelで移動平均を使いこなす前に、まずは「移動平均って結局なに?」という基本をしっかり理解しておきましょう。ビジネスの現場では、日々の売上やアクセス数、在庫数など、時系列で変化していく「時系列データ」を扱うことがたくさんあります。こうしたデータは日によって変動が激しいこともあり、パッと見ただけでは傾向や流れを把握しにくいこともあります。
そこで登場するのが「移動平均(Moving Average)」です。簡単にいうと、移動平均はデータの「平均値」を使って、全体の傾向(トレンド)をなめらかに見るための手法です。データのばらつきをならし、どのように値が上がっているのか、下がっているのかを視覚的に把握しやすくしてくれます。
たとえば、ある商品の直近7日間の売上が以下のようになっていたとします:
- 1日目:120個
- 2日目:130個
- 3日目:110個
- 4日目:145個
- 5日目:90個
- 6日目:100個
- 7日目:150個
このデータだけを見ても、「好調なのか不調なのか」「全体として増えているのか減っているのか」といった傾向はよくわかりませんよね。ここで「移動平均」を使って、たとえば「3日間の平均値」を計算してみると、以下のように変わります:
- 3日移動平均(3日目):(120+130+110) ÷ 3 = 120
- 3日移動平均(4日目):(130+110+145) ÷ 3 ≒ 128.3
- 3日移動平均(5日目):(110+145+90) ÷ 3 ≒ 115
- …以下略
このように移動平均を計算することで、データのばらつきをある程度ならして、全体のトレンドを見やすくすることができます。「最近どうなの?」といった抽象的な疑問にも、数字で明確に答える材料になるわけです。
ビジネスではこの移動平均が、月ごとの売上推移の分析、Webサイトのアクセス数の季節変動、在庫の最適数の予測など、あらゆる場面で使われます。株式チャートなどで移動平均線が出てくるのを見たことがあるかもしれませんね。まさに、“変化を見抜くための相棒”といっても過言ではありません。
このブログでは、Excelを使って移動平均を簡単に計算し、それを実際の業務にどう活かすかまでをステップ形式でご紹介していきます。次章からは早速、Excelでの具体的な操作方法について学んでいきましょう!
第2章:Excelを使った移動平均の算出方法(手動編)
ここからはいよいよ本題、Excelを使って実際に移動平均を算出する方法について解説していきます。この章では、Excelの基本関数「AVERAGE」を使って、手動で移動平均を計算する手順をステップバイステップでご紹介します。
Step1:データを用意しよう
まずは移動平均を計算したいデータを用意しましょう。今回は「ある商品の7日間の売上データ」を例にします。以下のような表をExcelに入力してください。
| 日付 | 売上(個) |
|---|---|
| 4/1 | 120 |
| 4/2 | 130 |
| 4/3 | 110 |
| 4/4 | 145 |
| 4/5 | 90 |
| 4/6 | 100 |
| 4/7 | 150 |
この状態で、別の列に「3日間の移動平均」を計算していきましょう。
Step2:AVERAGE関数で移動平均を計算する
「3日間の移動平均」を計算する場合、連続した3日間のデータの平均を求める必要があります。たとえば、3日目(4/3)からスタートして、以下のような数式を入力します。
例えば、売上データがB列(2行目から8行目)にある場合、3日目の行(4行目)に以下のように入力しましょう:
=AVERAGE(B2:B4)
これは、「B2からB4までの売上」を平均する計算で、「3日間の平均」を意味します。これを必要な回数だけ下にコピーすれば、毎日の3日間移動平均が表示されます。
Step3:移動平均列を追加して見やすく整理
B列に「日別売上」があるなら、C列に「3日移動平均」とタイトルをつけて計算結果を入力していきましょう。例えば:
| 日付 | 売上(個) | 3日移動平均 |
|---|---|---|
| 4/1 | 120 | (-) |
| 4/2 | 130 | (-) |
| 4/3 | 110 | =AVERAGE(B2:B4) |
| 4/4 | 145 | =AVERAGE(B3:B5) |
| 4/5 | 90 | =AVERAGE(B4:B6) |
| 4/6 | 100 | =AVERAGE(B5:B7) |
| 4/7 | 150 | =AVERAGE(B6:B8) |
最初の2行(4/1、4/2)はまだ3日分のデータがそろっていないため、平均を出すのは難しく、空白か「-」にしておくとわかりやすいでしょう。
Step4:期間を変えて別のトレンドを見てみよう
3日移動平均だけでなく、5日移動平均や7日移動平均など、違う期間でも試してみると面白いです。期間が長いほどトレンドはなめらかになり、短いほど変化に敏感になります。たとえば、以下は5日移動平均の例です:
=AVERAGE(B2:B6)
このように、AVERAGE関数とセル範囲だけで簡単に移動平均を計算できるのがExcelの強み。ここまでの操作ができれば、移動平均の基礎はバッチリです。
次の章では、このデータをもとにグラフを使った視覚化の手法をご紹介します。移動平均の効果を「見える化」することで、よりトレンド分析の力が高まります。
第3章:グラフで視覚化!トレンドラインを加えて分析力アップ
移動平均の計算まではできたけど、「やっぱり数字だけだとピンとこない…」。そんなときに役立つのがExcelのグラフ機能です。この章では、手動で算出した移動平均をもとに、元データと一緒にグラフとして「見える化」し、一目でトレンドを把握する方法を解説していきます。
Step1:データを選択して折れ線グラフを挿入
まずは、これまでに作成した「売上」と「移動平均」の列を一緒に選択して、グラフを挿入しましょう。以下の手順で操作できます。
- 売上日ごとの「日付」「売上(個)」「3日移動平均」の列を範囲選択します。
- 「挿入」タブをクリックし、「折れ線グラフ」>「2D折れ線」を選びます。
これで、元の売上データと移動平均のデータが重なった2本の折れ線グラフが表示されます。
このグラフでは、元データの生の動き(ばらつき)と、移動平均によるなめらかなトレンドラインの違いを直感的に見ることができます。売上の波の中で「どこで上昇傾向にあるか」「下降しているのか」がパッと見でわかるようになります。
Step2:グラフをカスタマイズして見やすくしよう
でき上がったグラフは、そのままでも見られますが、ちょっとしたカスタマイズでより説得力のあるビジュアルにすることができます。
- 凡例(ラベル)の名前を編集:
移動平均のラインに「3日移動平均」などの名前が表示されるよう、凡例をわかりやすく調整しましょう。 - 線の色やスタイルを変更:
元データの線を点線にしたり、移動平均の色を青に変えたりすることで、差が明確になります。 - タイトルや軸ラベルを追加:
グラフタイトルに「売上と移動平均の推移」などと付けたり、縦軸に「個数」と書いておけば、より分かりやすくなります。
Step3:トレンドラインも活用してみよう
実は、Excelのグラフ機能には、もともとトレンドラインを追加する機能も備わっています。これは統計的な回帰分析に使われる機能ですが、簡易的な傾向をつかむには便利です。
トレンドラインを追加するには:
- グラフ上の「売上データ」の線をクリックします。
- 右クリック >「トレンドラインの追加」を選びます。
- 種類を「移動平均」にして、期間(例:3)を指定すればOKです。
この方法は、Quickにグラフ上だけで移動平均を表示したい場合に便利です。セルに計算式を入力せずとも、変化の傾向をざっくり把握できます。
ただし、前章で解説したように、自分でAVERAGE関数を使って計算することで、移動平均のロジックを深く理解できるというメリットもあります。実際の業務では両方を使い分けるのが理想ですね。
Step4:ビジュアルで伝える力をアップしよう
Excelで移動平均を「グラフ化」することで、普段数字に強くない同僚や上司にも「ひと目で伝わる資料」が作れるようになります。売上の好不調や、マーケティング施策の影響なども説明しやすくなります。
ここまでくれば、単なる「表計算ソフト」としてのExcelを超えて、データからストーリーを引き出すツールとして使いこなせていると言えるでしょう。
次の章では、Excelの「分析ツールキット」を使った、さらに効率的な移動平均の求め方を紹介していきます。時間短縮や高度な分析がしたい方は、ぜひ参考にしてください!
第4章:分析をもっとラクに!分析ツールでの移動平均
これまでの章では、AVERAGE関数を使った手動の移動平均算出について解説してきましたが、「もっと簡単に、しかも正確に移動平均を出せないの?」と思った方もいるのではないでしょうか。そんなときに活躍するのが、Excelに標準搭載されている「分析ツール(分析ツールキット)」です。
この機能を使えば、少ないステップで手早く移動平均を計算でき、しかも結果をグラフ付きで出力することも可能です。ここでは、その使い方をわかりやすく解説していきます。
Step1:分析ツールを有効化しよう
「分析ツール」はデフォルトで非表示になっていることがあるため、最初に有効化する必要があります。
- Excelの「ファイル」メニューを開きます。
- 「オプション」>「アドイン」を選択します。
- 画面下部の「管理:Excelアドイン」横にある「設定」ボタンをクリック。
- 「分析ツール」にチェックを入れて「OK」を押します。
これで「データ」タブ内に「データ分析」というボタンが追加されるはずです。
Step2:「移動平均」ツールを使ってみよう
準備が整ったら、いよいよ移動平均の自動算出にチャレンジしてみましょう。
- 「データ」タブ > 「データ分析」ボタンをクリック。
- 「移動平均」を選択して「OK」を押します。
- ダイアログが表示されるので以下の情報を入力していきます:
- 入力範囲:売上データのセル範囲(例:
B2:B8) - 間隔:たとえば3なら「3日移動平均」になります
- 出力先:結果を表示したいセル(例:
C2) - グラフ出力にチェック:自動的に折れ線グラフも追加されます
「OK」を押せば、指定した間隔で平均化されたデータが一瞬で出力され、さらにはその変化を示したグラフまでついてきます。
手動との違いと使い分けポイント
分析ツールを使った移動平均の大きなメリットは、なんといってもスピードと正確性です。「数週間分のデータ」など大量のデータを扱う場合でも、数クリックで移動平均計算&視覚化まで完了できます。
一方で、関数を使う手法のように、どの値がどのように平均化されているかを自分で確認しながら進めることが難しいという面もあります。ロジックを細かく理解したい場面や、応用的な処理を加えたいときにはやや不向きかもしれません。
しかし分析ツールは、定期レポートや共有用の資料作成など、繰り返し同じ処理を行いたい場面には最強の時短機能です。
注意点:空白セルや期間不足に要注意
分析ツールを使う際に注意したいポイントとして、以下のような点が挙げられます。
- 期間分のデータが最初から必要:たとえば3日移動平均なら、最初の2行には結果は表示されません。
- 空欄やエラー値があると計算できない:事前にデータをクリーニングしておくと良いです。
- 元データの順番:データが日付順に並んでいることを確認しておきましょう。
まとめ:分析ツールは時短と確実性の武器
Excelの「分析ツール」は、特に仕事で反復的なデータ処理を行うときに役立つ効率化の強力な味方です。クリックだけで移動平均が求まり、視覚的に結果を見ることも簡単なので、報告書やプレゼン資料作成にもぴったりです。
次の章では、こうして得られた移動平均をどのように実務に応用するかを具体的に解説していきます。売上分析やアクセス解析など、あなたの仕事や目標達成に直結する実践テクニックをご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
第5章:Excelで日々のデータを味方に!実践活用アイデア
ここまでで、Excelを使った移動平均の基本的な算出方法から、グラフ化、そして分析ツールでの効率的な活用手法までを学んできました。では、実際の職場でこの「移動平均」を使ってどう役立てればよいのでしょうか?この章では、20代のビジネスパーソンが実務で即使える活用アイデアを紹介します。
① 売上データのモニタリングに活用
販売やサービスに関わる部署であれば、まず思いつくのが「売上の推移管理」ですね。日々の売上はどうしてもバラつきが出ますが、3日、7日、30日といった移動平均を使うことで、季節性やキャンペーン効果の影響をならして傾向が見えてきます。 例えば:
- 毎週月曜に売上が下がるパターン
- 新キャンペーン開始後の3日平均が上昇している
- 月末に向かって右肩上がりかどうか
など、短期と中長期の両方の視点から成果を読み取ることができます。報告にも説得力が出るので、上司へのプレゼン資料にも最適です。
② WebアクセスやSNSの数値管理にも
マーケティングや広報に関わる方であれば、Webサイトのアクセス数やSNSのフォロワー数の動きをチェックしているはずです。これらも日によって大きく波がありますが、移動平均で一定期間のなめらかな増減を追えば、施策の成果も可視化できます。
例えば:
- ブログ投稿後の7日平均アクセスがどう変化したか
- Instagramリール動画投稿後のエンゲージメント推移
など、施策の前後でトレンドを明確にし、改善に結びつけるヒントになります。
③ 業務改善や作業効率の「見える化」に
営業成績やカスタマーサポートの応対件数、タスク完了時間など、「自分自身の作業データ」にも移動平均は使えます。たとえば日ごとのタスク完了数の3日移動平均を出してみると、徐々に処理能力が上がっているか、それとも落ち込み気味かが客観的にわかります。
近年では、自己管理やチーム改善のための「数値によるエビデンス(裏付け)」が求められていますが、移動平均によって、それがExcel上で簡単に表現できるのです。
④ プレゼン資料での活用ポイント
ただ移動平均を出すだけではもったいない!せっかくなので、グラフやチャートで「視覚的に訴える」スキルも身につけましょう。前章で紹介した折れ線グラフにトレンドラインを加えることで、
- トレンドが右肩上がりである
- 短期的には落ちている
- 安定期に入っている
といった「ストーリー」が生まれます。ただ数字を並べるだけでは伝わらないインサイト(洞察)を、移動平均+グラフ=見える化で一気に伝えることができるのです。
⑤ 自分なりの分析ロジックも開発してみよう
最後に、実務で移動平均を使いこなすうえで大切なのが、自分の業務に最適な“平均期間”を見つけることです。
たとえば:
- 日替わりで変動がある業務なら「3日平均」
- 週単位のパターンがあるなら「7日平均」
- 月末の偏りを見るなら「30日平均」
目的に応じて平均の期間や比較する視点を変えることで、一歩進んだ分析ができるようになります。ぜひ、Excelで蓄積されたあなたの“日々のデータ”を味方にして、効率的な働き方や成果向上に活かしてみてください。
これで「Excelで移動平均を算出してトレンドを把握する方法」の解説は終了です。日常業務の中で「データを読み解く力」を手にしたあなたなら、これからの仕事もグッとスムーズに、そして説得力あるものになるはずです!


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