第1章:なぜ作業時間の記録が必要なのか?
みなさんは、1日の中でどれくらいの時間を「本当に価値のある仕事」に使えているか、意識したことがありますか?
特に20代のサラリーマンにとって、仕事のスピードや正確さは評価に直結します。しかし、目の前の仕事に追われていると、自分が何にどれだけ時間を使っているかなんて、なかなか振り返ることができません。
作業時間の記録を行うことは、いわば自分の仕事の「家計簿」をつけるようなもの。何に時間を費やしているのかを可視化することで、自分の仕事スタイルを客観的に見直すことができます。
時間の使い方を「見える化」する重要性
たとえば、なんとなく1日中忙しかったのに「今日は何の成果も出てない気がする」と感じる日、ありますよね?
その原因は、タスクごとの時間配分が偏っていたり、実は無駄な作業や待機時間が多かったりすることにあります。記録をつけることで、そうした非効率な部分を発見するきっかけが得られるのです。
記録がもたらす3つのメリット
- 業務の改善ポイントが明確になる
タスクの所要時間を記録することで、本当に時間をかけるべき仕事と、そうでない仕事を切り分けられるようになります。たとえば、メール対応に1時間以上かかっていたら、テンプレートを使って効率化するなどの対処が可能です。 - 上司やチームとの共有にも役立つ
タスクの進捗管理や報告の際、「〇〇に1時間使いました」ではなく、「9:00〜10:00に会議資料作成、10:00〜10:30で提出」というように、具体的で説得力のある発言ができるようになります。 - 自分の成長記録が残せる
最初は2時間かかっていた作業が、次第に1時間でできるようになった、というように、自分のスキルアップの変化も可視化できます。モチベーションの向上にもつながります。
記録のコツは「シンプルに始めること」
「作業時間を記録する」と聞くと、面倒くさそうに感じるかもしれません。でも最初から完璧を求めなくて大丈夫。まずは1日1回、自分が行った主なタスクと所要時間をざっくりでも書き出すことからスタートしましょう。
Excelなど使い慣れたツールで簡単に記録する方法を次章でご紹介していきます。記録が習慣になりさえすれば、仕事の質は確実に変わっていきますよ!
第2章:Excelで記録するメリットとは?
作業時間の記録に取り組むとなると、専用のタイムトラッキングアプリやスマホの管理ツールを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、特別なソフトを使わなくても、Excelを使えば十分に作業時間の記録と分析が可能です。むしろ、Excelを活用することで得られる独自のメリットも多数あります。
1. すでに職場で導入されている安心感
多くの企業ではすでにMicrosoft Officeが標準導入されており、Excelも日常業務の一部として使われているケースがほとんどです。そのため、新たにアプリをダウンロードして申請する必要もなく、セキュリティ面や上司の承認のハードルも低いという利点があります。
また、会社のPCにインストール済みであることが多く、業務時間中にも抵抗なく使用できるのもポイントです。
2. 自由度の高い設計ができる
タイムトラッキング専用アプリは便利ですが、あらかじめ機能や入力項目が決まっており、「自分なりの記録方法」にカスタマイズしづらいという面があります。
それに対してExcelなら、自分が管理したい情報に合わせて自由に表を作成できます。たとえば、「プロジェクト名」「作業カテゴリ」「緊急度」など、自分の業務内容に合った項目を加えることができます。
3. 分析機能が豊富で、応用が利く
Excelにはもともと関数やピボットテーブル、グラフ作成機能など、分析をサポートする機能が豊富に搭載されています。記録した作業時間をもとに、週次や月次での変化をチェックしたり、部署ごとの比較をしたりと、使い方次第であらゆる視点から業務を振り返ることが可能です。
例えば「平均作業時間」や「1日の業務割合」のグラフをつくるのも、数クリックでできてしまいます。分析力を見せることで、上司への報告資料にも活用できるのは大きな強みです。
4. モバイルでも使える柔軟性
クラウド保存(OneDrive、Google Drive経由)しておけば、スマホやタブレットからもExcelファイルを閲覧・編集できます。外出先や移動中にサクッと記録をつけたいときに便利で、「記録の習慣化」が格段にしやすくなります。
5. コストがかからない
仕事でもプライベートでもExcelをすでに使っている人なら、新たなツールに課金する必要はありません。「無料で始められる」「学習コストが低い」といった面も、若手ビジネスパーソンにとっては大きなメリットの一つです。
このように、Excelは誰にでも身近でありながら、記録→分析→活用の流れを実現できる万能ツールです。次章では、実際にどのようにしてExcelで記録用の表を作るのか、初心者でも取り組める「基本のタイムトラッキング表」の作り方を紹介していきます。
第3章:基本のタイムトラッキング表を作ってみよう
ここでは、Excel初心者でもすぐに使い始められる「作業時間の記録表」の作り方を、ステップバイステップで解説していきます。無理なく記録が続けられることを意識した、シンプルかつ応用の効くフォーマットを紹介します。
ステップ1:基本的なレイアウトを作成する
まずは、Excelを開いて以下のようなヘッダーを入力しましょう。
| 日付 | 開始時刻 | 終了時刻 | 作業時間(h) | 作業内容 | カテゴリ |
|---|
この6項目が、記録の基本になります。
・「日付」や「時刻」は、その日何をしたかを記録するためのベース。
・「作業時間」は自動計算で入力の手間を省きましょう(後述)。
・「作業内容」はざっくり「会議」「資料作成」「報告書提出」などでOK。
・「カテゴリ」は「打合せ系」「事務作業」「クリエイティブ」など任意の分類で構いません。
ステップ2:作業時間を自動計算する関数を入れる
開始時刻と終了時刻から、作業時間を自動で算出するには、以下のような数式を使います。
=IF(AND(ISNUMBER(B2), ISNUMBER(C2)), (C2-B2)*24, "")
※ここでは、B列が「開始時刻」、C列が「終了時刻」、D列に「作業時間」を出したい場合の例です。(C2-B2)で時刻差を出し、それに24をかけて時間単位に変換します。見やすくするためにセルの表示形式を「数値(小数点1位)」に設定するとよいでしょう。
ステップ3:見やすく整える
表を使いやすくするには、ほんの少しの工夫が大事です。
- 行ごとの色を交互に塗り分けると、視認性アップ
- 列幅を調整し、必要に応じて折り返して表示
- ドロップダウンリストを入れて「カテゴリ」欄を選択式にすると手間が省けます(
データ > データの入力規則)
ステップ4:テンプレートとして保存する
1日の記録が1行、1週間で7行程度で十分です。
ファイル名を「作業時間管理_テンプレート.xlsx」などにして、上書きしないようコピーして使いましょう。また、月単位で保存すれば過去の比較もしやすくなります。
Tips:手間を減らすための小ワザ
- ショートカットで時刻を入力:開始や終了時刻を入力するのが面倒なら、時刻入力には
Ctrl + Shift + :(現在時刻)が便利です。 - 曜日の自動表示:「日付」の隣に曜日を表示させたい場合は、
=TEXT(A2, "aaa")でOK。「月」「火」などが自動で表示されます。
このように、作業時間の記録表はシンプルな構成で十分実用的です。無理のない範囲で続けることが一番大切なので、自分のスタイルに合わせて少しずつカスタマイズしながら使っていきましょう。
次章では、記録したデータを使って作業傾向を「グラフ」で見える化する方法をご紹介します。数字だけでは見えにくい「時間の無駄」や「集中できている時間帯」も視覚的に把握できるようになりますよ!
第4章:記録データをグラフで「見える化」する方法
せっかくExcelで作業時間を記録しても、数字の羅列だけではなかなか自分の傾向や課題を発見できません。そこで力を発揮するのが、Excelのグラフ機能を使った「見える化」です。視覚的に時間の使い方を把握できると、業務の振り返りがぐっとやりやすくなります。
グラフ化で得られる3つの効果
- 全体の時間配分が把握できる
どんな作業にどれだけの時間をかけているのか、一目で分かるようになります。特に「カテゴリ」ごとに集計することで、自分の業務バランスが見えてきます。 - 無駄な時間や偏りを発見しやすい
思っていたより会議に時間を使いすぎていた、逆に資料作成の時間が足りていなかった、などのギャップが明確になります。 - 改善後の変化を可視化できる
記録を続けていけば、「先月よりも報告書作成にかかる時間が減った」といった進歩も見えるようになり、成長の実感につながります。
ステップ1:集計用の表を作成する
まずは、記録したデータからカテゴリごとの合計作業時間を集計する表を作りましょう。簡単に集計したい場合は、ピボットテーブルが便利です。
- 記録表の任意のセルを選択した状態で、
挿入 > ピボットテーブルを選びます。 - 「カテゴリ」を行ラベル、「作業時間(h)」を値に設定します。
- これだけで、「カテゴリ別の時間合計表」が完成します。
さらに、週単位・月単位でフィルターをかければ、期間ごとの傾向を比較することもできます。
ステップ2:グラフを挿入して可視化
集計表ができたら、それを基にグラフを作りましょう。
- カテゴリ別の合計時間を選んだ状態で、
挿入 > 円グラフまたは棒グラフをクリック。 - グラフのタイトルや凡例を自分用に分かりやすく編集しましょう。
- 色分けやラベル表示も工夫すれば視認性がアップします。
特に円グラフは、全体の時間配分を見るのに最適。棒グラフは、カテゴリ別の比較や時間の推移を時系列で見たいときに向いています。
ステップ3:1週間や1ヶ月の傾向を振り返ってみる
グラフが出来上がったら、以下のような視点で自分の作業を振り返ってみましょう。
- 「会議」に費やした時間が他と比べて多すぎないか?
- 「重要な資料作成」は十分な時間を確保できているか?
- 「雑務や対応系」の時間を減らす工夫はできないか?
こうした気づきをもとに、次の章で紹介する業務改善へのステップにつなげていきましょう。
Tips:視覚的に洗練された資料にするには?
- 企業ロゴや色合いを統一してプレゼン資料風に仕立てると、上司への報告にもそのまま使えます。
- 条件付き書式やスパークラインなども取り入れると、一気にプロっぽさが出ます。
グラフは数字の説得力に「わかりやすさ」を加える強力な武器です。自分の業務をしっかりと説明・報告するうえでも、ぜひ習得しておきたいテクニックですね。
次章では、この「見える化」したデータをどう業務改善に活かしていくか、具体的な活用方法と考え方を紹介していきます。
第5章:分析結果を活かして業務改善へつなげよう
作業時間の記録と可視化によって、自分の「働き方」に関する貴重なデータが蓄積されました。ではその情報を、実際の業務改善にどうつなげていくかが次のステップです。ここでは、記録・分析の結果を活用するための考え方と、すぐに試せる具体的なアクションを紹介します。
1. 時間の使い方を振り返って「ムダ」を見つける
まず大切なのは、記録したデータをもとに「ムダが潜んでいる時間帯」「本来もっと短くすべき作業」などを探ることです。たとえば、以下のような視点で振り返ってみましょう。
- 1日の中で生産性が低い時間帯はないか?
グラフを見て、「集中できていない時間」が特定できれば、そこはルーチンワークや軽い確認作業などに充てるべきかもしれません。 - 頻度が高い割に成果につながっていないタスクは?
会議やメール対応など、時間を多くとっている割に価値が低いと感じるタスクには、ルールの見直しが必要です。
「可視化されたデータ」による裏付けがあることで、なんとなく感じていた非効率が明確になり、行動に移しやすくなります。
2. 業務の優先順位を見直す
時間配分のデータを活用して、「本当に優先すべき業務」にもっと多くの時間を割けるよう調整しましょう。たとえば以下のようにアクションを組み立ててみてください。
- 優先度が高いのに時間が足りていない業務:
→ あえて朝一番など集中しやすい時間帯に配置し、時間ブロックで確保する。 - 対応に時間を食っているが価値が低い業務:
→ 手順を見直したり、自動化ツールやテンプレートで業務効率化を試みる。
記録は「業務の棚卸し」とも言えます。今の自分にとって、どの仕事が価値あるかを再確認する機会として活用しましょう。
3. チームや上司とのコミュニケーションに活かす
Excelで記録・分析したデータは、上司への報告やチーム内の業務改善提案にも役立ちます。「数字+グラフ」の形で示すことで説得力が増し、単なる印象ベースの話よりも実行に移してもらいやすくなります。
たとえば、
- 「週5時間を会議に費やしていますが、情報共有のみの時間が多いため、週1回にまとめるご提案です」
- 「資料作成の平均作業時間が他メンバーより2倍かかっているため、テンプレート導入を検討できます」
といった提案が可能になります。「主観」ではなく「データに基づいた提案」ができるビジネスパーソンは、年齢に関係なく信頼されます。
4. 習慣化して継続的な改善へ
1週間・1ヶ月と記録を続けていくと、自分のリズムやスキルの成長も見えてきます。継続してデータを取り続けることで、PDCAサイクルをまわしながらより良い働き方への改善ループが回せるようになります。
記録・分析・改善の流れを定着させるためには、以下のことを意識してみましょう。
- 週末に5分だけ「振り返りタイム」を設ける
- 月初に「先月の傾向と改善目標」を簡単にメモする
- 他の人のやり方を参考にし、テンプレートを進化させる
小さな改善が積み重なることで、仕事の質やスピードは確実に向上します。
Excelを使った作業時間の記録と分析は、単なる「作業の見える化」ではありません。自分の働き方を主体的にマネジメントする第一歩。転職やキャリアアップを目指すうえでも、こうした自己管理スキルは大きな武器になります。
まずは1週間、自分の作業時間を記録してみましょう。きっと新たな発見と、自分なりの改善ヒントが見つかるはずです。


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